学校日記

卒業証書授与式~校長式辞~

公開日
2026/03/16
更新日
2026/03/16

学校の様子

令和7年度 西京高等学校附属中学校 卒業式 式辞
厳しい寒さが続いた今年の冬も、梅の花のかすかな香とともに、ようやく春めいてまいりました。本日は、京都市立西京高等学校 附属中学校 第20回卒業式を挙行するにあたり、お忙しい中、附属中学校PTA 河野教真会長はじめ役員の皆様、保護者の皆様方のご臨席を賜り、心より御礼申し上げます。ただ今、西京高等学校附属中学校第20期生120名の皆さんに卒業証書を授与いたしました。まずは、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。私は令和4年度より中学の校長を高校とともに兼任することになり、この3年間皆さんの活動を間近で見ることができました。学校行事や授業におけるみなさんの取組を参観し、その主体的かつ創造的な活動に驚くとともに、みなさんの成長を日々実感してきました。
さて、みなさん、ここで中学校での三年間を振り返ってみてください。とりわけEPAにおけるM1らM9に至る取り組みは、附属中学校20期生のみなさんの誇るべき活動です。M8の西京祭文化の部では、脚本、演出に始まり、スケジュール作成から道具作り、情報発信、バックステージの運営管理、幕間の企画、各劇や学年全体における集団運営に至るまで、参加する皆さん一人一人が自分の役割を担いながら、みんなで盛り上がろう、繋がろうとする気持ちを見せて頂きました。
そしてM9の附属中学3年間の集大成となった東京FW。自分たちの知りたい、学びたいと思う企業や研究所、省庁を訪問し、社会で活躍している西京の先輩の話を聞く中で、自分の進路について考えることができたのではないでしょうか。主体的、対話的、協働的な活動を通して、「人と繋がる力」「社会と関わる力」そして「果敢に知と向き合う力」をつけながら、本校のめざす「社会人力」を身に付ける大きな一歩となったことと思います。また、皆さんにはCreativity(新時代の価値を創造・探究する姿勢)Responsibility(自己と集団の未来に対する責任を果たす姿勢)Diversity(多様化する社会の調和を希求する姿勢)といった資質能力を求めています。いわゆるCReDiクレディです。高校に進学してもこれらを追い求め続けてください。
西京高校附属中学校を巣立っていく皆さんにお伝えしたいことが2点あります。
一つ目は、本校のモットーである「おもしろおかしく」についてお話します。「学校は明るくて楽しくて面白いところでなければならない」と普段から皆さんに話しています。そして、西京のモットーは「おもしろおかしく」であるともお伝えしているところです。この「おもしろおかしく」は、株式会社堀場製作所の創業者であり、西京高校の初代学術顧問を引き受けていただいた堀場雅夫先生のお言葉です。堀場先生には、西京高校エンタープライジング科1期生から13期生まで、毎年入学式時に特別講演をお願いしてきました。演題は「おもしろおかしく」。私は、堀場製作所の会長室で2度ほどお会いしたことがありますが、豪快でエネルギッシュな方でした。「ただ単に進学するだけのしょうもない学校にしたらあかん。おもしろおかしくや。」とおっしゃった言葉を今でも忘れることはできません。
先生の著書の中に、「本当に嫌な仕事も、考え一つでおもしろくできる」という項目があります。おもしろい仕事は自分で作り上げるものであって、そこらにおもしろい仕事が転がっていたり、他人から与えられるものではない。おもしろく働くためには、自分の考え方を工夫することが大事である。と書かれています。例えば、嫌な仕事を嫌と思わず、この仕事を乗り越えたらもっとおもしろい仕事ができる、と考えたらおもしろくなりませんか。つまり、自分の考え方一つで楽しくもなれば苦しくもなるということです。
また、「おもしろく仕事をしていれば魅惑の青い鳥が見つかる」という項目では、情報収集に秀でている人は、常にアンテナを張ることで感度が高く、目新しいことに触れたらすぐに興味を持つことができると記載されています。情報収集能力は、仕事への情熱に裏打ちされていて、好奇心旺盛な人にその能力が高いといえます。しかしながら、与えられた仕事を淡々とこなすだけでは、良い情報、つまり青い鳥との出会いはないということです。ここで大切なことは、自分のやりたいこと、やるべきこと、やれることをしっかり持つことが大事だということです。
堀場先生のお話の中にしばしば登場する言葉で「イージーゴーイング」があります。日本語では「手軽」「気楽」と解されることが多いですが、単なる「のんき」ではなく、「何事にも前向きに、楽天的に考えよう」という意味です。失敗や困難に直面しても、「何とかなるさ」という楽天主義で切り抜けることができる。また、自分らしくのびのびと能力を発揮できる環境を作るために、上司も部下も細かいことにこだわらない度量を持つべきだと説かれています。何かの判断をするとき、人は時として正しいほうを選ぼうとしますが、どちらが正しいとかではなくどちらが楽しいか、おもしろいかという基準で選んだ方が「おもしろおかしく」なるのではないでしょうか。
これらのことは、私が西京高校・附属中学校で仕事をしてきた中で、大切にしてきたことの一部です。堀場先生からはたくさんのことを学ばせていただきました。今、堀場先生が西京をご覧になられたら、どのように言っていただけるでしょうか。「おもしろおかしい学校になったな」と言っていただけたら、最高ですね。
2点目。
皆さんは、たくさんの自分を持っています。頑張っている自分、落ち込んでいる自分、やり切った自分などなどです。その中で「できない自分」も大切にしてほしいということです。大人になればなるほど、できない自分と多く出合います。にもかかわらず、今までできていた自分が、できない自分を許せない人がいます。それは、とても不幸な行為だと思います。できない自分を逆にほめてあげてください。そして、どうしたらできるようになるかを考え行動することが、幸せにつながります。できない自分を知ることは、大変勇気のいることですが知ることによって、あなたは強くなり、困ったときに声をあげ、助けを呼ぶことができるでしょう。あなたは、けっして一人ではありません。そして失敗し、うまくいかないことが悪いことではありません。その失敗を次に生かすことが皆さんの成長につながるのです。そして、チャンスと可能性を自分から手放さないでください。あきらめずに挑み続ければ必ず道は開けます。本当の負けは挑戦することをやめたときです。
皆さんは、本日をもって小学校入学以来の義務教育としての学校生活に別れを告げることになります。したがって「自分の意志」で高校へ進学することになります。高校は、もはや義務教育機関ではなく、進学はみなさんの「高校で学びたい」という意思があって初めて成立することを忘れないでください。誰にも強制されることなく、自ら決断した結果としての高校入学があるのです。附属中学校の卒業という今日を一つの区切りに、もう一度高校入学という意味を確認し、新たな「決意と覚悟」を持って4月の入学式を迎えてほしいと思います。
最後になりましたが、保護者の皆様にひとことお祝いと、御礼を申し上げます。本校は京都の様々な場所から通ってくる生徒で構成されており、地域性がありません。したがって、入学時にはほとんど知り合いがいないという状況で、ご心配や不安に思われることも多々あったこととご推察申し上げます。それにもかかわらず、学校を信頼いただき、ご支援を賜りました事に、あらためまして感謝の言葉を申し上げます。本当にありがとうございました。そして、これからもどうぞよろしくご支援いただきますようお願い申し上げます。
本日はご卒業、誠におめでとうございます。
令和8年3月13日 京都市立西京高等学校附属中学校 校長 岩佐峰之