創造性を引き出す教育とは?
- 公開日
- 2015/11/06
- 更新日
- 2015/11/06
校長室から
京都市立日野小学校 山本 泉
よくいろいろな所で,「教育で大切なことは創造性を引き出すことである。」という言葉を耳にします。それは確かにその通りだと思います。
しかし,創造性を引き出す教育を大事にするあまり自由にさせすぎて,「読み」「書き」「計算」などの基礎・基本を身につけるということを忘れることは大変危険です。
創造性を引き出すことを急ぐことで,基礎・基本の学力をつけることを怠ると,大量の基礎学力を持たない青年たちを生み,教育者たちの希望とはうらはらに,日本の文化のみならず経済をも危うくすることにつながります。
物事を学ぶにあたって,「守」「破」「離」という教えがあります。もともと「能」を学ばせるにあたって世阿弥が説いたものであるといわれていますが,これは学問をはじめ,何か物事を学ぶときに大事にしなければならない3つのステップと考えられています。
「守(しゅ)」の段階では師が身につけている型を,できるだけそれに近づけることを目標に学び,「破(は)」の段階に至ると,その型に少し工夫を加えて変形し,「離(り)」の段階に達すると,師の型から離れて自分独自のものを創り出すという,3つの段階を意味します。
このことは,学問や芸術,そして武道や書道など,あらゆることを学ぶのに通じることです。例えば,一見素人目には理解しにくい絵画で知られる「パブロ・ピカソ」のデッサンは,誰が見ても上手いとわかるほど写実的で繊細です。
つまり,型をしっかり学ばずして,最初から素晴らしい創造はできないということです。
創造性とか,すぐれた発明,発見というものは頭脳の中に貯えられた大量の優れた知識の創造的な組み合わせに他ならないということです。
ある発明家の言葉ですが,「新しいものを創造する基本は,量・量・量,知識の量に比例して新しい案がでるのである。もし,発明上手になりたいと思ったら,先人がどのようにして発明したか,その具体例をできるだけ多く知ることだ。」と言っておられます。また,有名な作詞家によい詩を書く秘訣を尋ねると,「できるだけたくさんの詩を暗唱することです。」という答えが返ってきたそうです。
学校の勉強がどれだけ将来役に立つのか?という疑問はよく耳にすることですが,学んだことがそのまま役立つということよりも,身に付けたものを自分の中で知らず知らずのうちに組み合わせたり応用したりして,新しいことを創造するのに役立っていくのではないでしょうか。