雨のちハレルヤ(2)
- 公開日
- 2014/05/29
- 更新日
- 2014/05/29
校長室から
「失礼します。〇年〇組の○○〇〇です。〇〇室の鍵を借りに来ました。」と,藤ノ森小学校の子どもたちは必ず職員室の戸を開けてこの台詞を言います。この台詞は,職員室の戸に掲示されているので,どの子もそれを見ながら言ってくれます。高学年の中には,この台詞をスラスラと言える人もいて,台詞が自分の言葉になっている人もいます。この話型は,本校の全教職員が徹底して指導しています。私が職員室に居る時は,出来る限り言っている子の顔を見て,しっかりと聞くようにしています。子どもたちには,職員室に入る時だけではなく,保健室や用務室に入る時も,どの部屋に入る時も,学校以外の場所であっても自然とこうした言い方の出来る人になって欲しいという願いを持っているのです。
学校は何故こんな面倒臭いことを,徹底して指導しているのでしょうか。それは,子どもたちの生活のほとんどの場面で,単語でしか喋らない子どもが増えているからに他なりません。喋れないのではなく,喋らないのです。子どもたちが幼児期の頃は,単語でしか喋れません。次第に友達やきょうだいと出会い,単語だけでは通じない経験を経て,「文」を獲得していきます。低学年の頃は,「先生あのね。」というように多くの子がお話好きで,聞いてもらいたくて仕方ありません。しかし,高学年になる頃には,家庭で「ご飯!」と言えば,「ご飯」が用意されます。あるいは,子どもが何も言わなくても,お腹の空いている子どもの顔を見ただけで「ご飯」が用意されているかも知れません。学校でも,「先生,紙!」と言う子どもに対して,「先生は紙ではありません。」と言い返さず直ぐに紙を渡してしまえば,子どもたちは「文」にして喋る必要を感じないのです。何でも簡単に分かり合える環境や何でも通じ合える仲間内だけでは,コミュニケーション能力は育たないのです。子どもたちには,いろいろな場面や状況,年齢の違った人や意見の違う人と出会う場を設定する。言い換えればなかなか分かり合えない条件下でなければ,本当のコミュニケーション能力は育たないのです。
「校長先生,失礼します。1年〇組の〇〇です。質問があるので,来ました。入ってもよろしいですか。」今日は,1年生の「校長室訪問」です。戸が開くと,そこには沢山のニコニコ顔の1年生達が,並んでいました。