シリーズ 全国学力・学習状況調査 1
- 公開日
- 2015/09/09
- 更新日
- 2015/09/10
校長室から
その1 学力低下からの脱却
8月末に,この春実施された全国学力学習状況調査の結果が公表さ
れました。京都府の状況は全国平均を上回り,小学校、中学校共に,
上位の結果となりました。
平成15年頃から,学力低下が社会問題にもなり,マスメディアで
大きく取り上げられたところです。これは次の2つの調査の結果か
ら導き出されていました。
一つは,国際教育到達度評価学会(IEA)が行う,小・中学生を対
象とした国際比較教育調査である,いわゆるティムス(TIMSS)調査
です。過去のトップレベルからセカンドレベルに下がったことで,我
が国の高学力神話が崩れたというものでした。
もう一つは,OECDが進めるPISA(Programme for International
Student Assessment)と呼ばれる高1を対象とする国際的な学習到達
度に関する調査です。この調査では,読解力(課題設定力,情報収集力
,相互交流力,活用力等)といった,問題解決型の世界標準の学力を図
る調査です。この調査において,我が国の順位が10位以下に落ち込み,
危機感が煽られました。
そして,これらの結果から,「ゆとり教育」が批判されるようにな
りました。本来,「ゆとり教育」というような呼称は教育現場では用
いておりません。マスコミが勝手につけた呼称です。私見では,国際
標準の学力を育てるために,学習内容を少し削り,その時間を「総合
的な学習の時間」として,身の回りの世界や,ひいては現代社会等に
おける課題を見つけ,その課題解決に,習得した知識や技能を活用し,
問題解決力を身に付けさせようとしたのです。
この「総合的な学習の時間」には教科書はなく,指導者である教員
がその趣旨についていけずに,この時間本来のねらいを達成する授業
が展開できなかったことが問題の本質であったと考えています。
現在の教育課程(学校教育の目的や目標を達成するために各学年の授
業時数等において,学習指導要領に示される学習内容を効果的に編成
した教育計画)は現行の学習指導要領(国の教育基準)に裏付けられてお
り,いわゆる「ゆとり教育」の課題を克服する組み立てになっている
といえます。
2003年に10位以下に転落した読解力が,2012年の調査結果では4位に
返り咲き,我が国の学力が見事V字回復していることは案外知られてい
ません。マスメディアは,「批判」には遺憾なくその力を発揮され,社
会的合意を形成されますが,「褒め称える」ことにも力を入れていただ
き,教職員のやる気を引き出していただければありがたく存じます。
下の図をご覧いただきますとお分かりのように,日本のGDP比の「公」
教育支出はOECD諸国の最下位レベルであるといえます。これを「私」教
育支出が補うことで,日本の総教育支出は何とかOECD加盟国中最下位レ
ベルを免れているといえます。
手前味噌ではございますが,このような中で世界トップ水準の学力を
保証していることは,正しく我が国の学校教育が如何に優れているかと
いう証であり,教員の指導力が世界トップ水準であるということの証で
も有るのです。
全国学力学習状況調査の結果をお伝えする前に,ご理解いただきた
い内容をお伝えいたしました。
添付した以下の表・グラフの出典は次の通りです
●ウィキペディア「OECD生徒の学習到達度調査」
●OECD諸国との教育支出の比較から見る日本の教育課題
畠山勝太 / 国際教育開発