7月(文月) 夏は夜
- 公開日
- 2010/07/06
- 更新日
- 2010/07/06
校長室から
岩倉川に螢が飛び交う季節となりました。闇の中に,ほのかな光が漂い出すのを眺めていると,幽玄の境地に誘われてしまいます。和泉式部が「あくがれいづる魂かとぞみる」と表現したのもなるほどと納得できます。
また,清少納言は枕草子に次のように記しています。
「夏は夜 月のころはさらなり 闇もなほ 螢の多く飛び違ひたる また ただ一つ二つなど ほのかにうち光りて行くもをかし 雨などの降るもをかし」
この文章などは,今頃の季節感をとらえたぴったりの表現だと思います。ただ,平安時代の夜は,今と違って,月と星の明かりしかない闇夜です。本当に真っ暗であったと思われますから,夜道を歩くのも勇気がいったでしょうね。でも,その分,螢の光も今よりひときわ明るく美しく感じられたのかもしれません。時代を超えて息づく日本人の季節感。これからも大切にしていきたいものです。
さて,学校では水泳学習が始まり,毎日,プールから子どもたちの歓声が聞こえてきます。七月も後半になれば,梅雨明けの気配が感じられるようになります。
そして,中心街では祇園祭の鉾も立ち,いよいよ,暑い暑い,本格的な京都の夏の訪れです。
陽に焼けた子どもたちの笑顔がはじける季節。夏は,子どもたちの季節。思いっきり健康にたくましく成長してくれることを期待して,星に願いを託すことにします。
七月の歌
庭の面はまだかわかぬに
夕立の空さりげなく
澄める月かな
源 頼政
平安末期の武将。平家に付き従うふりをしていたが,ついには以仁王をかついで乱を起こす。御所に夜な夜な現れるという怪鳥「鵺」を退治したという伝説でも有名。
以前はどこでも味わえた夕立の後のさわやかな空気。今ではコンクリートとアスファルトの保熱効果のためか街中で感じることはほとんどなくなった。
もの思へば
沢の螢も我が身より
あくがれ出ずる魂かとぞ見る
和泉式部
平安時代の恋多き女流歌人として有名。「和泉式部日記」を著す。
この歌は京都洛北の貴船川詠んだとされています。「恋しい人のことを強く思っていると,私の心が螢になって漂い出てしまうような気がします。」
さて,こんな歌を贈られた男性は,どう思うのでしょうか。