最新更新日:2024/04/30 | |
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2年生EEP特別講演会を行いました!
5月21日(木)7限,7階大講義室にて,2年生EEP特別講演会を行いました。
講師は株式会社川島織物セルコン・織物文化館館長の辻本憲志先生で,演題は「織の先駆者二代川島甚兵衞と織物の発展」です。 EEP特別講演会では,理系・文系を織り交ぜて様々なテーマで各界の方々からお話しいただいています。今回は「日本文化や京都について知る」シリーズの一つで,昨年度に行いました株式会社「千總」代表取締役社長の仲田保司様による「そめ」(友禅染)を中心とした御講演に続き,「おり」(美術織物)をテーマにしています。 辻本館長は帯地部門の営業に長く携わってこられた方で,本日は川島織物の沿革,特に明治期の第二代川島甚兵衞氏が取り組まれた綴織における技術改良と当時の海外展開を中心にお話し下さいました。 川島織物(現:株式会社川島織物セルコン)は,明治期から京都・西陣において織物業を営み,綴織の技術を確立するなど,室内装飾織物の分野において先駆的な役割を果たしてきました。現在も劇場の緞帳製作では屈指の企業です。 特に二代目の当主で日本における美術織物製作の基礎を築いた人物として知られる二代川島甚兵衞氏は,明治19年(1886)に品川彌二郎子爵がドイツ駐在公使として赴任される際,同行してヨーロッパの織物を研究することを勧められ(出発前日に告げられたそうです!),博物館・美術館・宮殿や多くの織物工場等を見学されました。ゴブラン織の研究にも取り組み,帰国後その特徴を綴(つづれ)織に採用して綴織製美術織物の大作を次々と製作しました。二代目甚兵衞氏は西陣織の芸術的価値をいっそう高め,宮廷室内装飾やタペストリー,緞帳等は世界的にも高い評価を得るまでになり,日本の織の文化に多大な貢献をされました。 明治期の各種博覧会への出品作から近年の皇居宮殿や京都迎賓館における装飾品に至るまで,豊富な写真資料をもとにお話し下さいますとともに,緞帳やカーテンの見本(緞帳はなかなか触ることができないものですが,重さや質感を直接確かめることができました。カーテンは一般的なものと比べて格段に繊細な織りあがりの手触りや色合いがよくわかりました)も生徒たちに回覧して下さり,大変わかりやすく講演を進めて下さいました。 締めくくりに,「ものづくりに対するこだわりを追求した川島甚兵衞の姿勢は西京高校の校是である“進取・敢為・独創”そのものであり,生徒の皆さんも未来に向けて着実に頑張っていって下さい。」と激励をもって御講演を終えられました。 生徒の感想の一部です。 ・爪綴や割杢(隣同士の色糸を織りの現場で2本に割り,新しい組合せ として撚り直すことでその中間色を出す,ぼかしの技法)にはとても 驚いた。 ・グラデーションや立体的な柄の織物は絵や写真のようで,露やグラス に反射した光までも織物で表現できるというのは驚きで,凄いな と思った。 ・大津事件の際の,ロシアへの日本からのお詫びの品を突貫作業で 川島織物さんが作り上げたという裏話をはじめて聞き,一つの織物で 歴史が動くこともあると知って驚いた。 ・明治時代にヨーロッパやアメリカに行き,そこで目にした水力発電を 琵琶湖疏水に導入するという提案を行ったのもすごいと思った。 ・自分の気に入らない出来の商品を店頭に出せないようにはさみを入れ たというエピソードにプロ根性を感じ,ただただ尊敬。 ・川島織物さんが歩んでこられた歴史は,まさにアイディアを作り出す 時の手本となっていると思った。 ・お話の中で「他から学ぶ」というところが印象に残った。他から学ぶ には,それだけ広い視野,たくさんの視点で世界を見なければいけ ないと思う。狭い世界にとらわれずに,いろいろなところに目を向け ていきたい。 辻本館長,お忙しい中御来校下さり,誠に有り難うございました。 |
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