最新更新日:2024/05/17 | |
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3年生学年合唱 「小さな勇気」
3年生が合唱コンクールで歌う学年合唱曲「小さな勇気」の作詞作曲の栂野(とがの)先生は、今、東京で音楽の先生をされています。以前は京都に住んでいて、小学校の先生をしていらっしゃいました。その関係で大淀中の山岡先生が連絡をとってくださり、3年生へのメッセージをお願いしたところ、快くみなさんにメッセージをくださいました。
この曲に込められた思いを感じ取って、自分なりの気持ちを込めて歌いましょう。 大淀中学校3年生の皆さんへ 初めまして 今回は「小さな勇気」を学年合唱で歌ってくださるということをお聞きしました。練習を通して少しでも気に入ってもらえたら嬉しいです。私なりに皆さんの力になれたらと思い、今日はこの曲を作った時のことをお伝えしようと思います。 あの日、そう、東日本大震災が起きた3月11日。私は都内の学校に勤めていました。皆さんもご存知とは思いますが、交通機関はすべて止まり、大勢の人々が帰宅困難者となりました。私も家に帰ることができず、学校で一夜を明かしました。翌朝、少しずつ電車が動き始めたのを知り、意を決して学校を出て駅に向かいました。そこで見た光景を私は一生忘れることはないと思います。 運行を再開したといっても、電車はいつ来るかわからない状態。駅は、不安な一夜をそれぞれどこかで過ごし、自宅に帰ろうとする人たちであふれかえっていました。おそらく、数百人もの人がいたでしょう。けれども、誰一人として、いらだって文句をいったり、押し合ってもめたりする人がいないのです。お互いまったく知らない者どうしなのに、誰もが疲れ果てているのに、声をかけ合い、お互いをいたわり合って、駅員の放送に耳を傾け、整然と列を作り、電車の到着を待っているのです。 私も列の中に立ちながら、一人考えていました。なぜだろう?こんなに世の中が大混乱しているのに、なぜみんなこんなに自分を制していられるんだろう?この状況って、もしかしたらすごいことなんじゃないか。海外で災害が起こると、暴動が起こったりパニックになっていたりする様子をよくニュースで目にするけれども、少なくともこの光景はそれとはまったく違う。私たちはなぜそうならないでいられるんだろう? ひたすら電車を待ち続けた間に、私なりに出した結論。それがこの「小さな勇気」の歌詞です。私もこんな体験をしなければ気づかなかったかもしれません。なんだかんだと不平不満を口にしながらも命の危険にさらされるわけでもなく、今日と同じ明日が当たり前のように来ると思って生活していました。でも、そういう平和な毎日が初めからあったわけじゃない。私たちの前の時代を生きた人々のたくさんの犠牲と努力の上に成り立っているのであり、それを守り続けてきたからこそ今があるんだと、あの日、気づかされたのです。そして、今まで人生の先輩たちが教えてきくれたことは、それを守っていくために必要なことだったんだということも・・・。 学校生活でもそうだと思いませんか? 学校のルールやクラスの約束なんてくだらないと思っても、みんなが守っているなら安心して生活できます。でも、誰かが「イヤだ」とか「バカバカしい」といって投げ出したら、簡単に崩れていきます。みんなで同じように少しずつの我慢とやさしさをもっていれば、笑顔でいられる空間を作っていけるのではないでしょうか。それが「共に生きる」ということだと思うのです。 これからの社会を作っていくのは、皆さんです。人任せにして愚痴をこぼすのではなく、未来の一員として、小さな勇気を胸に、進んでいってくれたらと思います。 だからこそ、歌うときには、歌詞をよくかみしめて歌ってもらえると嬉しいです。特に、「わけ合い〜つなぎ合い〜感じて動く」「届けて〜受け止めて〜思いを寄せ合う」という心のバトンタッチを、歌の上でも大切に表現してほしいと思います。 そして、人に感謝する気持ちを忘れずにいてほしいのです。皆さんが、それぞれ誰かのことを思い浮かべながら、感謝の気持ちを届けるつもりで最後の部分を歌ってみてください。聴いている人たちに、思いはきっと伝わるはずです。 皆さんにとって、中学校生活最後の合唱コンクールが最高のものになることを祈っています。頑張ってください! 栂野 知子 栂野先生、ありがとうございます。 |
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