最新更新日:2017/03/31 | |
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くじ引き屋さん
ある日のことです。ほとんどの子ども達が外で遊んでいるのですが,部屋の中でなにやら楽しそうにものを作っている女の子が2人いました。実に楽しそうに何かの用意をしているので,何をしているのかたずねました。そしたら「くじ引き屋さん」だというのです。しかし,せっかく用意したのに,お客さんはまったくいません。園庭で遊んでいるお友達を誘いに行ったらよいのではないかと声をかけました。何事もなかったかのように,私の言ったことは聞き流されて,お客さんにしてくれました。いや,お客さんにされた…というのが正しいかな。誘われるままにくじ引きをしました。くじを引いたら「はずれ」と書いてありました。その時に,女の子ははっとしたような顔をして,「まだまだくじはひけます。」と言ってくれました。それで,私はくじをもう一度ひこうとしたら,なぜかもう一人の女の子がさっとくじをひいてくれて「あたり」でした。「はい。当たりです。これ,あげます。アイスクリームです。」と言って,手作りの景品をくれました。かなり,強引なくじ引き屋さんです。お客さん,何もしていません。お客さんの言っていること,聞いてくれません。しかし,景品にもらった小さく切った画用紙に描かれたアイスクリームの絵を見て,私はとても温かい気持ちになりました。はじめに「はずれ」のくじを引いた時,女の子のはっとした表情は明らかにこれはまずいという気持ちが表れていました。「当たり」をひいてほしかったのだと思います。そして,きっと気をつかってもう一度と言ってくれたのだと思います。かなり強引ですが,やさしいくじ引き屋さんです。このくじ引き屋さんが,ひそかに繁盛することを願っています。
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