京都市立学校・幼稚園
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外務省高校講座を行いました!

 11月27日(金)7限目に,7階大講義室にて,2年生全員を対象として,外務省による「高校講座」を行いました。

 この「高校講座」は平成7年度から始まった外務省の事業で,全国の高校に外務省の職員を派遣して,御講演を実施してくださっています。(本年度は,全国の119の高校で実施)講演を聴くことで,高校生の外交・国際問題に対する理解を深めるとともに,今後の進路を選択する際の参考となるよう,外務省及び職業としての外交官に対する理解の促進を目的として行われているものです。
 本日の講師は,外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部不拡散・科学原子力課 兼 国際科学協力室 首席事務官の松井宏樹先生で,「世界から見た日本」という演題でお話し下さいました。

 冒頭に,「テーマは2つ,『日本は世界からどのように見られているか』と『外交とはどういうものか』です。」として,お話を始められました。
 日本の外務省は職員数約2,300人(在外公館には約3,500名)で,英・中・米の外務省(それぞれ約6,000名,約10,000名,約20,000名)に比べると,少ない人数で業務に当たっている。年間に交わされる電信は約540万通にのぼる。
 パスポートは外務省が発行しているということ(パスポートを生徒全員が取得済みということに驚かれた様子でした)や,首脳会談やその後の記者会見で総理が何を発言するかは外務省で検討されている,ということなどをお話しくださり,身近な話題に生徒たちも興味深く聞いていました。
 また,国土面積やEEZ(排他的経済水域),人口,GDP,外貨準備高などの世界ランキングを見ると,日本はいずれも上位にあり,客観的に見ても「日本は小国ではなく,いかに大きな国であるかということを知ってほしい。」とおっしゃっていました。人口の面では,国内にある程度のマーケットがあるということが戦後に経済成長することができた理由の一つであり,今後の人口の減少傾向を見据えて,いろいろと考えていかなければならないといったことも示唆されました。
 昭和39年以降の訪日外国人や出国日本人数の推移を示したグラフから,「ニクソン・ショック」「プラザ合意」「リーマンショック」等,日本がいかに世界の動きと結びついているかを知ってほしいとおっしゃっていました。
 そして,非核三原則を掲げる日本は,核兵器を「作れない」のではなく「作らない」のであり,世界に対して情報を公開し,日本の方針を明らかにしていく努力が必要であるという見解に,大きくうなずいたり,驚いたりする生徒もいました。
 その後日本のエネルギー需要や電源構成の推移等を示され,「これって外交の話? と思うかもしれないが,これぞ外交の話。内政と外交とは切り離せない。時間軸を見据えていかに解を見つけるか,外務省は各府省と調整を重ねながら,オーケストラの指揮者のように全体として良い音が出るように判断していくところである。」と熱く語られました。
 最後に,現在の日本を取り巻く国際情勢を理解するためには,「国際法の知識を持つ」「歴史を知る」「大局的視点(個人との交流,文化的なつながり,経済的影響など)を持つ」「個人の能力(感受性・発想力,論理力,表現力)を高め,情熱を持つ」ことが必要であると述べられ,生徒たちは熱心にメモをとっていました。
 結びに,夜の地球を衛星から撮影した画像を流され,経済格差はすなわちエネルギー格差であるということ等を,わかりやすく示して下さいました。


 また,松井先生は,御講演の後,16時45分から3階同窓会会議室にて,希望生徒12人との「座談会」も行って下さいました。さまざまな質問が出され,30分程度という当初の予定を大きく超えて,18時頃まで,丁寧にお答え下さいました。以下はその一部です。

 ・最後に流した画像について・・・毎年更新して見ている。10年前と
  比べると大きな違いがあるので,確かめてみてほしい。また,2分程
  度に編集された映像であり,NASAがどのような観点からその地域を
  切り取ったのかその意図も考えながら見てほしい。
 ・政治的影響力について・・・イギリスの人口は日本の半分程度。しか
  し,政治的影響力は大きい。日本は経済的には大きいのだが・・・。
 ・政策上の質問に対して・・・物事には両面があるので,バランスをよ
  く見る必要がある。外交は勝ち負けではない。100あったら,51
  を取って49を相手に取らせればよい。
 ・外務省の「専門職」「総合職」の違いについて・・・専門職はスペ
  シャリストとして,43の言語の中の一つを専門にして深く分析す
  る。総合職はゼネラリストとして,広い視野で全体を見渡しながら
  判断する。この両者のハーモニーで政策が形作られていく。
 ・勤務時間について・・・時差の関係などもある。仕事にやりがいや
  生きがいを感じるので,誇りを持って頑張っている。
 
 外務省と自分たちとはあまり関わりがないと思っていた生徒たちも,今回の御講演で身近に感じるとともに,客観的に日本と世界とのかかわりを考えることで,また一つ新たな視点を得たようです。また自分たちも世界で活躍したいという希望を強くしていました。

 生徒の感想です。

◎講演会

 ・外務省は僕たちと何のかかわりもないと思っていましたが,詳しい説
  明のおかげでよく分かりました。すごく面白かったです。
 ・外務省の方々が日本の外交を支えているのだなということがよく分か
  りました。経済的な話も面白かったし,日本は世界の中で大きな影響
  力を持つ国だということを改めて実感しました。
 ・日本にいて思っていることと海外から見た日本とでは違うことが分か
  りました。いろいろな観点から日本を見ていくと日本の国の良さが分
  かってくると思いました。
 ・日本は小さい国だと言われているけれど,EEZや人口,GDPなどをみ
  ると全然小さくないという話が印象的でした。
 ・経済をエネルギーの視点から見るなど自分が考えつかないような視点
  で世界を見ることができてよかったです。
 ・人の動きやエネルギー利用の推移のグラフが年表とすっかり重なるこ
  とがとても面白いと思いました。
 ・今日の国際情勢は複雑になっていて,テロや紛争など,ありきたりの
  平和論では考えきれなくなっていると思います。その中で,これから
  の世代がよく考えて世界を動かしていかなければならないと感じまし
  た。
 ・印象に残ったのは,「外務省はオーケストラの指揮者」ということで
  す。外務省の役割がよくわかりました。
 ・自分の役割をしっかりと認識して,誇りをもって仕事をしていらっし
  ゃるのだなということが,よく伝わってきました。
 ・最後にお話し下さった「個人の能力を高める」というお話で,発想力
  も論理力も表現力も自分はまだまだ足りないと感じたので,これから
  伸びるよう努力して,世界的レベルで物事を考えられるようになりた
  いと思いました。

◎座談会

 ・座談会において,私たち高校生の質問にとても丁寧に答えて下さった
  ことが,うれしかったです。領土問題や移民のこと等,国政に直接関
  わられている方のお話を直に伺うことができ,貴重な経験となりまし
  た。
 ・アメリカでは大統領選挙の時には市民も演説をするということを聞
  いて,日頃の自分は,外国どころか日本国内のことすら無関心であっ
  たのだと気づき,何も知らない,何も興味がない若者のままではいけ
  ないと危機感を覚えました。大学生になったら,一度留学してみよう
  と思います。自分のためにも,社会のためにも,知識を蓄えて,考え
  ることをやめないようにしたいです。お話を聞いてたくさんの気づき
  があり,自分を見つめ直すことができました。本当に有り難うござい
  ました。
 ・お話の中で,とても印象に残っていることがあります。それは,「情
  報はたくさんあるから,私たちはそれらを取りにいく努力をするべき
  だ」というお話です。私たちは,世の中の情報に対して受け身になり
  すぎなのだと気づかされました。これからは正しい判断をするために
  必要な情報を積極的に収集し,自分の考えを持てるようにしたいと思
  います。


 松井先生,御多忙の中御来校・御講演下さり,誠に有り難うございました!


[写真]
 上段左 御講演前に生徒代表が歓迎の言葉を述べる様子
 上段右〜中段 御講演の様子
 下段左 座談会の様子
 下段右 座談会終了時に生徒代表がお礼の言葉を述べる様子
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