最新更新日:2024/09/19 | |
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2年生「環境教育講演会」を行いました!
12月11日(木)7限ロングホームルームの時間に,7階大講義室にて,2年生EEP特別講演会を行いました。テーマは環境教育で,京都大学名誉教授の西本清一先生(一般社団法人びっくりエコ発電所・理事)を講師にお招きし,環境や太陽電池についてお話しいただきました。
「一般社団法人びっくりエコ発電所」は京都市の「市民協働発電」運営団体の一つであり,その第1号の施設として,本校屋上に昨年3月,ソーラーパネルを設置されました。昨年度は,その発足を記念して本校で5月下旬に「環境シンポジウム」を当時の1年生[現2年生]を対象に行い,尾池和夫先生(一般社団法人びっくりエコ発電所理事・京都造形芸術大学学長)が基調講演を,本校マネジメント会議委員の浅利美鈴先生(京都大学環境科学センター助教)が「びっくり! エコリンピック」と題したクイズ大会を行って下さいました。 今回の講演会は,そのフォローアップの取組として2年生の皆さんに再び環境について考えてもらうため,「びっくりエコ発電所」様の御協力により実現したものです。 冒頭,浅利美鈴先生から講師の西本先生の御紹介と,「エコ俳句」「エコ川柳」応募の呼びかけがありました。 西本清一先生の演題は「太陽電池をめぐる三題噺」で,光・電気・エコロジーを軸に,物理,化学,生物の各分野から,光や発電,太陽電池に関する内容をかなり詳しく説明して下さいました。文系の生徒はもちろん,理系でもなかなか難しく感じるところはあったようですが,観察・実験をはさんだり,金魚が実は人間と同じ色を見ている等のトピックスなどを織り交ぜながら,太陽電池について多くの知識と考え方を教えていただきました。 1つ目の噺は,「光と物質が織り成す色の科学と心理学」。 2年生は物理の光学分野をまだ学習していませんので,初めて耳にする話題が多かったと思いますが,ラスコーやアルタミラ洞窟の壁画から始まり,民族によって光の色の認識に違いがあること,実は光には色がついていないこと,脳が色を見せていることが紹介されました。「光に色はない」という言葉に半信半疑であった生徒達も,補色残像の実験(ある色をしばらく見つめ続けた後,その色を視界から消去すると,視覚上にはその補色[赤であればシアン,緑であればマゼンタ,青であればイエロー]が残像として残ります。今回は,赤色と緑色の丸印で実験を行って下さいました。)で本当の色は白なのにぼんやり補色が見えることに驚き,少なからずどよめいていました。 モルフォ蝶の羽には色がついていないのに,光沢がかった綺麗な青色として見えるのは,実は光の干渉によるものであることを,身近な例としてコンパクトディスクの裏面が美しく光る様子を示しながら説明され,生徒たちはなるほどと納得していました。 2つ目の噺は,「化学反応で電気を創る/光で電気を創る」。 ここでは主に化学分野について解説が行われました。人類が発見してきた数々の発電の仕組み,例えば化学反応により発電するダニエル電池の仕組みや,電磁誘導現象を応用して発電する仕組みを発見したファラデーの話を経て,今注目の発光ダイオードと同種のPN接合型半導体の仕組みから,太陽電池の発電原理に至るまで説明されました。その中で,「炭酸ガスと水蒸気はどちらがより光を吸収するか」と生徒に問いかけられ,実際には環境問題で取りざたされやすい炭酸ガスではなく水蒸気の方が光の吸収率が高いのであり,実は温暖化に関わっているのは水蒸気である,というところにまで言及されました。 3つ目の噺は「太陽光発電のエコロジーとエコノミー」。 実際に太陽電池で発電したときの売電収入と電力会社から購入した電気料金との収支といった経済的な観点や,電気の変換効率といった工学的な話題を中心に説明されました。西本先生のお宅はオール電化だそうで,実際の毎月の売買電力量や売買電力価格の推移をグラフ化して示され,積算すると年間では黒字になっているとおっしゃっていました。 課題としては,直流で発電された電気を売るためには交流に変換しなければならないのですが,変換効率(60%から70%程度だそうです)の関係からエネルギー量が落ちること,さらには,家庭で使用する際には交流から直流に再変換するわけで,結局最初から考えると36%程度しか活用できていないということになります。エコを実践するのに太陽電池は有用なのですが,解決すべき問題が山積しており,今後に期待したいとおっしゃっていました。その一つとして,「高効率エネルギー利用システム」の構築に向けた取組についても御紹介下さいました。 最後に,アリストテレスの「教育の根は苦いが,その実は甘い」という言葉を示され,講演を終了されました。 (生徒の感想の一部です) ・光に色がついているのではなく,私たちが物を見る際に脳神経が勝手に色をつけているということにとても驚いた。他の動物の場合は,人間が美しいと思っている動物−例えば鳥や蝶など−をどのような色として捉えているのかが気になった。 ・太陽電池について,私たちが知っていることはほんの一握りなのだとわかった。 ・エコって奥が深いと思った。 ・半導体や電磁波などまだ習っていない分野の話もあったが,とても興味深い内容で,高校生にもわかりやすく面白く話して下さったので,習うのが楽しみになった。 ・私たちは環境問題の原因を一本化しがちだけれど,複雑に様々な要素が絡まりあっている。だからこそ,多角的にあらゆる面で自分たちにできることをしていかねばならない。 この貴重な御講演を聴いたことで,環境に関する取組にも,各自がいかに生きるかということについても,少しずつでも生徒たちの考えが深まり,実際の行動に移していってくれればと思います。 11期生の皆さんの今後の成長と活躍に期待しています。 |
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