最新更新日:2024/09/24 | |
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FOUNTAIN(校長室だより)No.12
京都市立桂坂小学校 山本 泉
冷たい冬の風が吹く日の中に,何となく日ざしの明るさが感じられることがあります。そんな日は,枯草の野原がうっすらと緑っぽく見えるようにもなったりします。 それとははっきり気づかないけれども,春が身近に思えるようになったころ,私はよくクラスの子ども達に「春見つけ」をさせました。もう15年も前のこと,まだ私が学級担任をしていたころの話です。 春が来たのだなあとわかることや春を感じるものを見つけてみようと話して,学校中を見て回らせたり,登下校の時に気をつけてさがすよう約束したりします。 色画用紙を短冊形に切って何枚か渡しておき,「春」を見つけたら短冊に日付を入れて記録しておくよう指示します。次の日には,子ども達からいろいろな報告があり,短冊が集まります。教室の後ろの掲示板にコーナーをつくって短冊を張りつけていきます。 「日かげに残っていた雪がとけてなくなっていました。」「桜の木の芽がふくらんでいました。」「観察池に,この前まで張っていた氷がなくなっていました。」「沈丁花の花が咲いていました。」「ぼくの家のカメが,最近よく動くようになりました。」など,私も気づかなかった春を見つけてきます。しばらく続けていくと,短冊がどんどん増えていき,だんだん春らしくなっていくようすがわかります。 中学年を担任した時は,子ども達が集めてきた短冊の言葉を使って,春をあらわす「詩」を作ったりしました。 高学年では,写真なども入れて記事を作り,春をテーマにした「かべ新聞」作りをしました。きっと今なら,デジタルカメラなどを使ってスライド写真を入れたり,その風景を表現するナレーションを入れたりして,春をテーマにした番組作りなどをしてみるだろうと思ったりします。 1年生なら,難しいことは考えないで,ただ春を感じるものを見つけたら,その場で「ここにも春があったよ!」と,大きな声で言ってごらんと指示するかも知れません。きっと,校庭の片隅に小さく咲いた花や,土手の草むらからのぞいているつくしんぼなどを見つけてくれることでしょう。 私は,昔から生活の中に感じる「日本の四季」が大好きで,小学校は行事や学習のみならず学校生活そのものが「季節」に密着しているということが,小学校の教員になった理由のひとつに挙げられるくらいです。 「風物詩」という言葉があるように,昔は日常生活そのものが季節に密着していたもので,子ども達も季節感を持って生活していたと思うのですが,今はどうかというと,暑さ・寒さ以外に季節を感じることが少なくなってきています。しかし,季節感がなくなってきたこのごろであるからこそよけいに,子ども達に自然の不思議さに目を向けさせたいものです。身近な自然に目を向け,自然の小さな息吹や営みを感じとり,そしてそこから生まれる感動が,子どもの心を豊かにしていくに違いないと思います。また,私たち教師自身も,そうした自然に驚きや喜びを感じる心を持ち続けることも大事なことだと思っています。 一年間,ありがとうございました。 |
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