最新更新日:2024/06/07 | |
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日文研の出前授業(6)
1月21日(金)今日は5年1組に講義をしていただきました。「万国博覧会と日本人」というテーマでした。
昨年開催された「上海万博」は189カ国が参加し,入場者数も最高を記録した事は記憶に新しいです。S准教授も上海を訪れ,その時の写真も見せていただきました。各国の個性的な建物そのものが,その国の文化を表しているといいます。人気のあったイタリア館は,「おしゃれの国」をアピールすべくスーツを作る職人やまたオーケストラをイメージする楽器が壁いっぱいに展示されていたそうです。 日本館では,お正月や七夕などの行事の模型が展示されたり,ヴァイオリンを弾くロボットが待ち受けていたり,長い時には5時間待ちの列ができるほどの人気ぶりだったといいます。 ところで,この万博はいつごろ,どこで開催されたのでしょうか。 1851年 イギリス ロンドン万国博覧会 1853年 アメリカ ニューヨーク万国博覧会 1855年 フランス パリ万国博覧会 1862年 イギリス ロンドン第2回万国博覧会 1851年頃のイギリスは,当時「大英帝国」と名乗り,世界で最も技術や文明が発達していた国でした。インドやアフリカやオーストラリア等を植民地支配していたのです。その頃の日本は,江戸時代。鎖国をしていた頃です。もちろん世界の国々との行き来はありません。(一部の国を除いて)その2年後,1853年に開国をせまった黒船が来航します。国内で大論争が起こります。日本はまだ世界の外にいたのです。もちろん,人々は万国博覧会なんて知るよしもありません。 日本が初めて万博に参加したのが,2回目のロンドン博1862年でした。この様子が絵に描かれています。当時は写真という技術はありませんでしたが,画家が詳細に描写してるものが残されています。着物の侍の姿(写真 中)が見えます。30名が1ヶ月もの航海を経てロンドンに渡ったのです。その中に福澤諭吉もいました。日本の展示物は小物でした。「JAPAN」の文字が見えます。(写真 右) そのロンドン万博を見聞きした人が後に日記を綴っています。その多くが,「日本のコーナーは他の国と比べると,みすぼらしかった」と。しかし,市川 渡氏(若い侍)だけは,このように綴りました。 「只 漆器ノ精巧ナルノミハ 万国貨物中ニ於テモ 亦 類ヒナク見エタリ」と。 漢字とカタカナ混じりの文章に時代を想起させます。「漆器の器の美しさ, すばらしさは,万国の出品の中でも,それに匹敵するものはない」と自国の文化に自信を持った文章が綴られていました。その自信が後世,世界から褒め称えられる作品となっていくのです。 万国博覧会と聞けば,日本で開催された大阪万博や淡路博や愛知博を思い出します。今までお祭りのムードでパビリオンを廻っていましたが,ただの品評会だけでなくそれぞれの国のよさを見つけ,よりよい国際関係を築くものでなくてはならないのおもいを強く持ちました。 専門的に研究されている日文研の先生のお話を伺うことはとても興味深いです。楽しみながら参加させていただいた講義も,後1回を残すのみとなりました。次回は来週26日(水)です。またみなさんに紹介したいと思います。 |
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