最新更新日:2024/06/11 | |
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卒業証書授与式(3)〜旅立ちの言葉〜
旅立ちの言葉
昨年三月。突如流行した新型コロナウィルス。私達にとって最後の1年間を大きく変えました。それでも時は流れ、見慣れた景色が春の色に染まり始めました。 期待に胸を膨らませ、中庭の桜並木を歩いた入学式の日から、早くも三年の月日が経ちました。小学校とは違う生活に戸惑うことも多くありましたが、クラスの仲間、先生方に支えられながら、慣れていきました。自分よりもずっと大人に見える先輩の存在に憧れていたのを覚えています。 進級し、助けられてばかりだった私達に後輩ができたことで、あこがれの先輩に少し近づけたような気がした二年生。より一層勉強や部活動、行事に力を入れるようになりました。 そして迎えた三年生。新型コロナウィルスの影響によって一変した日常。長い休校期間。予期せぬ出来事の連続に、何気ない毎日を過ごせることが、いかにありがたいかということを実感させられました。新しいクラスでは、全員でスタートを切ることができず、限られた登校日の中で仲を深めていきました。新たな生活様式に慣れることで精一杯でした。 少しずつ慣れてきた頃にやって来た体育祭。全校生徒が色別のマスクを着けて競技に参加する光景。一番印象に残っているのは、クラス対抗リレーです。クラス全員でつないだバトンがゴールテープを切った瞬間、数少ない登校日数を埋め尽くしてしまうほどの、互いを想う気持ちと感動に溢れました。クラス、学年の壁を越えて、全校の絆が深まる一日となりました。 太秦文化の日は、生徒会のダンスに始まり、劇団「衛星」さんによる演劇、体育館での合唱コンクール。生徒会本部執行部では、例年通りとはいかない状況下で何ができるのかを考えました。全校生徒で開催できなくとも、心を一つにみんなで文化祭を盛り上げようと決めたスローガンは、「絆〜離れていても心は一つ〜」です。 みんなが楽しみにしていた修学旅行、延期を重ね、ようやく行くことができた十一月。この状況下で、それぞれ思うことはあったはずです。しかし、みんなが安全に楽しめる三日間になるために、一人ひとりが考え、行動することができました。一緒に過ごすことで、今まで知らなかった友達の一面に触れ、より仲が深まりました。 どの行事においても、開催するに当たって多くの制限があり、戸惑いや不安を感じました。しかし、それらを乗り越えていく中で、できないことを嘆くのではなく、何ができるのか、どうすれば良いのか、あきらめずに考え続けること。当たり前だと思っていた日常は、当たり前ではなく、尊ぶべき大切なものであるということ。前を向いて進み続ける中で得た気づきは、何事にも変えがたい私達の力となりました。 そんな激動の一年間を支えてくださった教職員の方々、地域の皆様、本当にありがとうございました。この一年間だけではありません。困ったときや辛いとき、優しく話を聞いてくださったのも、ときに厳しく叱ってくださったのも、何より新たな一歩を踏み出す私達を応援してくださったのも、先生方でした。 この春から三年生全員、夢や目標の実現に向けて、新たなスタートを切ることになります。そこには楽しいだけでなく、悩みを抱え、うまくいかないこと、辛いことが待ち受けているでしょう。そんなとき、みんなに思い出してほしいのは、「自分は一人じゃない」ということです。私達には仲間がいます。辛くなったときは、一人で抱え込まずに、周りを頼ってください。この三年間、みんなには人と関わることで感じる温かさや繋がりを教えてもらいました。本当にありがとう。 これまでの十五年間、私達を慈しみ、育ててくださったお父さん、お母さん、家族のみんな。家では怒られて、素直になれず言い返してばかりでした。それでも、私達を信じて応援してくれました。・・・お父さんやお母さん、・・・大人の人たちも辛いことで一杯だったはずなのに、いつも私達を心配してくれました。家族のみんな、今日まで本当にありがとうございました。九年間の義務教育を終えようとしている今、私達はそれぞれの道へと向かいます。大人になって恩返しできるように、日々未来を見据えて進み続けます。もう少し見守っていてください。 これから先、何が起こるかなんて誰にもわかりません。平和に過ごせる時間や何気ない日常を大切にしていきたいです。この太中で学んだ私達は絆を大切にします。だからこそ、自分の選んだ道を力強く進み続けることができるはずです。 後輩のみんな。今日、この場にはいませんが、この想いが伝わることを信じて。これからの太中を頼みます。感謝の気持ちと仲間との繋がりを大切にする太中生。ずっと応援しています。 みんなと別れるのは寂しいですが、心はいつもそばにあります。またいつか会える日が楽しみです。今日までありがとう。 最後となりましたが、太秦中学校の更なる発展を願い、旅立ちの言葉とさせていただきます。 後輩たちへ これが、先輩からの最後のバトンです。 受け取ってください。 そして、未来の太中へつないでください。 |
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