最新更新日:2024/09/20 | |
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「五山送り火」今夏は大幅に規模縮小 縮小するが
毎年8月16日に行われる京都のお盆の伝統行事「五山送り火」。今年はコロナウイルス感染拡大防止のため、規模を大幅に縮小して行われることになりました。京都五山送り火連合会の長谷川英文会長は、大幅な規模縮小の理由について「市民や観光客の密集、そして保存会会員の密接を回避するため」と記者会見で話されました。いずれの送り火も市街地から望める例年通りの規模にはなりません。点火されるのは、「大文字」は大の字の中心部と頂点、端の合計6カ所。「鳥居形」は上部2カ所。「左大文字」は大の字の中心1カ所。「船形」は頂点1カ所。「妙」「法」はいずれも中央部のみです。新型コロナの関係で、盆の伝統行事も例年通り実施できない異例の事態となりました。
五山送り火は、江戸前期には京都の盆の精霊を送る代表的な行事として、文献や絵図でも広く紹介されました。1943〜45年には、戦争によって五山とも点火を取りやめたことがありますが、その後徐々に行事が復活し、1948年からは五山そろって点火しているそうです。その中で、五山ともそろって規模を縮小するのは、市が把握する限り初めてとか。 京都三大祭りの「葵祭」行列は中止、「祇園祭」の山鉾巡行も中止になっています。この中で、規模を縮小し、文字の形がわからなくても「五山送り火」は実施しようとされています。それはなぜなのでしょう。 京都市街地を囲む山に、「大文字」「妙法」「船形」「左大文字」「鳥居形」の文字や形をともす五山送り火には、「お盆に迎えた先祖の霊を見送る」意味があります。8月16日夜には、文字や形を望める京都市内の河川敷や橋の上に毎年多くの市民が集まります。そう考えると、たとえ一部分の点火であっても点火して、今の自分につながる命に想いをはせ、先祖の霊に感謝を伝える機会を残さなくては。こうした気持ちが中止ではなく、部分的でも点火を決意させたのではないでしょうか。 京都市の門川大作市長は「京都市民にとって身近で大切な伝統行事。今年は例年どおりとは違う形になりますが、本来の意義を考える機会とし、コロナ禍で亡くなられた方の鎮魂、闘病されている方のご回復を祈り、よりよい社会をつくっていく決意の機会としたい」というコメントを発表されました。 「御精霊(しょうらい)様を送るために点火はするが、できる限り外での見物は控えていただき、自宅で手を合わせていただければ」(京都五山送り火連合会)。 私たちの心の目で、たくさんの火を灯しましょう。 |
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