今日の終学活時に、放送で5月の「憲法月間」にちなんだ話をしました。放送が聞き取りにくかった部分もあるとのことですので、話の要旨を掲載します。生徒の皆さんは、もう一度内容を読んで、考えてみてください。
「憲法月間」の話
−一人ひとりが安心で楽しい学校生活を送るには−
1.「憲法月間」とは
・5月は「憲法月間」です。これは,5月3日の「憲法記念日」にちなみ,5月を私たちの社会生活の中心にある「日本国憲法」のことを国民みんなで考える月にしようと考え,定められたものです。今日は,「憲法月間」にちなんで,「日本国憲法」と皆さんの学校生活について,一緒に考えてみたいと思います。
・昭和22年(1947年)の5月3日に「日本国憲法」が効力を発しました。「憲法」は日本の国の最高の法律です。日本には,憲法以外にもいろいろな法律がありますが,社会の様々なルールを決めた全ての法律は,「日本国憲法」の目指すところと同じ方向を目指して作られています。
・「憲法記念日」や「憲法月間」があるのは,この機会に「日本国憲法」の内容を知り,「日本国憲法」が目指している社会を私たち一人一人が考え,自分たちがその社会を作る主人公であることを自覚する,そのことを毎年確かめるためなのです。
2.「基本的人権の尊重」とは
・憲法には3つの大きな柱があります。国の主役は国民であるという「国民主権」,戦争をしない,戦争のための武器を持たないという「平和主義」,そして「基本的人権の尊重」です。今日はその中の「基本的人権の尊重」について少し話したいと思います。
・憲法が効力を発した年,昭和22年の8月に発行された,中学校1年生の社会科「あたらしい憲法のはなし」には,「基本的人権の尊重」のことがこのように書かれています。
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人間がこの世に生きていくからには,自分の好きなところに住み,自分の好きなところに行き,自分の思うことを言い,自分の好きな教えに従ってゆけることなどが必要です。これらのことが人間の自由であって,この自由は決して奪われてはなりません。我々は人間である以上,みな同じです。人間の上にもっと偉い人間があるわけではありません。みな同じ人間であるならば,この世に生きてゆくのに,差別を受ける理由はないのです。この一番大事な人間の権利のことを「基本的人権」といいます。憲法は,この「基本的人権」を,侵すことのできない永久に与えられた権利として記しているのです。
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・現在の日本の社会は,本当にこのことが実現できていると思いますか?全ての人が差別
を受けずに生きていると思いますか?
・残念ながら,社会には,どこで生まれたか,どこに住んでいるか,男か女か,国籍はどこか,肌の色は何か,病気や障害があるか,など様々な「差別」が今もなお存在しています。
・「憲法」で「基本的人権の尊重」が保障されているのにもかかわらず,なぜ差別はなくならないのでしょうか。
3.自分の生活の「いじめ」
・最近,「いじめ」についての報道が多くなされています。「いじめ」を苦にしてに自らの命を絶ってしまった人もいるのです。
・これは決して「よその出来事」ではありません。皆さんの日常生活を振り返ってみてください。学級や学年,友だちの中で「いじめ」や「仲間はずれ」「嫌がらせ」はありませんか?
・ここで,昨年度の「全国中学生人権作文コンテスト京都大会」で「優秀賞」を受賞した作品を紹介します。
◎平成24年度
「全国中学生人権作文コンテスト京都大会」優秀賞
『自分の弱さと向き合って』
・皆さんはこの作文を聞いて,どう感じましたか?
・皆さんの学校生活にこのような「いじめ」や「仲間はずれ」「嫌がらせ」はありませんか?何気ない言動で悩んでいる友達はいませんか?
・「いじめ」や「仲間はずれ」「嫌がらせ」を見たとき,皆さんは「いじめられる人にも問題があるのでは・・・」と思った経験はありませんか?「いじめられる人」や「仲間はずれになっている人」に問題があるのでしょうか?
・先生は,「いじめる人」がいるから「いじめ」があり,「差別をする人」がいるから「差別」があるのだと思います。
・人間には「顔かたち」「体の特徴」「性格」など,人間の持っている様々な「違い」があります。その中には,「いいところ」もあるし,「良くないところ」もあります。それはあたりまえのことです。違いがあるから人間なのです。それをお互いに認め合うことが,一人一人が安心して生活するために必要であり,それが「人権」を尊重する第一歩であるのです。
・しかし人権の尊重は,憲法で守られているから守らねばならないのでしょうか。そうではなく,皆さん1人1人の生活は,皆さん自身が守っていかねばならないのです。この烏丸中学校の生徒全員が「安心」で「楽しい」学校生活を送れるように,まず自分自身が今から何をすればよいのか,よく考えてみてください。