幼稚園日記

休日参観(6/19)でのお話より

公開日
2016/06/25
更新日
2016/06/25

園長室より

19日の日曜日は,休日参観でした。保護者の皆様には,お忙しい中,お休みの日に早朝よりご来園いただきまして有難うございました。

参観や親子製作など終了後に遊戯室で,ご参加いただいた皆様にお話させていただきました『幼稚園教育で大事にしたいことについて』と話し切れなかったことについて加えて,綴らせていただきます。

子どもたちの遊んでいる様子を参観していただいたり,親子でぽっくりや一本歯下駄,竹馬をご一緒に作っていただいたりしていただきました。
初めての幼稚園でのお子様の様子をご覧になられた方や何度もお越しいただいている方などいらっしゃると思いますが何度お越しいただいている方でもその時々のお子様の様子は違っていらっしゃるのではないかと思われます。
それは日々子どもたちが成長されているからこその姿です。そんな風にお子様の姿をとらえていただけると嬉しいかと思います。

 今年度のもえぎ幼稚園教育の大事にしていきたいことについてお話をさせていただきます。今年度のもえぎ幼稚園の教育目標は
たくましく心豊かな子どもの育成 〜主体的に環境に関わり,夢中になって遊ぶ心豊かな幼児の育成を目指して〜と設定しました。
 
 子どもたちが「主体的に」「夢中になって」「遊びこむ」ということが大変重要なことであると私たちは考えています。もえぎ幼稚園の子どもたちにそんな力を育てていきたい・・・と考え,今年度の教育目標に設定いたしました。

 今,幼児期の子どもたちに必要とされている力,小学校に進学するまでに身につけておきたい力として,「非認知能力」もしくは「社会情動的スキル」といういい方で言われている力があります。
 IQなどで数値化される認知能力と違って目に見えにくいのですが,「学びに向かう力や姿勢」とも言い表せるものです。目標や意欲,興味・関心をもち,粘り強く,仲間と協調して取り組む力や姿勢が中心になるとお考えいただければいいのかなと思います。

 非認知能力の重要な要素である粘り強さや挑戦する気持ちなどの育成はそれほど重視されていませんでしたが,京都市立幼稚園では従来から着目し,いろいろな場で大事にしてきていました。竹ぽっくり,一本歯下駄,竹馬などはできることだけが目的ではありません。まさしくあきらめずに取り組む粘り強さや何度でも挑戦する気持ちを育てるには大変ふさわしい遊びだと考えます。一人一人の興味関心に応じて取り組んでいけるようにかかわっていきたいと考えています。
 それから,認知能力と非認知能力は絡み合うように伸びるということのようですが,特に幼児期に非認知能力を育てておくことが認知能力の育ちにもつながるということが言われています。幼児期に十分非認知能力を培っていきたいと考えます。
 
 そして実はこのことは今年度だけのことでなはなく,平成25・26年度にもえぎ幼稚園は,国立教育政策研究所の研究指定をうけ,「幼稚園教育要領を踏まえ,幼児の自立心とともに,自己発揮と自己抑制の調和のとれた自律性を育てるための教育課程の編成,指導方法等の工夫改善に関する実践研究の研究課題」から幼稚園としての研究テーマを「幼児が自己を発揮しながら人と折り合いをつけ,気持ちを調整する力が育つための教師の援助や環境の在り方を考える〜自立心・自律性が育つようにするための教育課程の編成を通して〜」と設定して,幼児が自分の気持ちを調整する力を培うにはどのような過程を経て,どのように身につけていくのだろうということを子どもたちの姿のエピソードをとってそれを下に話合い,分析をして研究を行い,子どもたちが人や物やことと向き合い,思いをだし,繋がるということが大事であるということを導き出しました。

 もちろんそこには,先生たちのいろいろなかかわりやそのような言動を醸し出すような雰囲気や環境づくりなどがあったのですが,子どもたちの成長のためにはまず先生たち自身が子どもと向き合い,変容に気づき適切なかかわりをしていくということが何よりの大事なことだと学びました。
 そんな2年間の研究を「折り合い」というリーフレットとしてまとめました。そしてその研究にかかわってご指導くださっていただいた京都教育大学の古賀松香先生を通して,「幼児期には非認知能力を培うことが大事である」とおっしゃっておられる幼児教育会で大変著名な白梅学園大学の無藤隆先生にももえぎ幼稚園にきていただきこの研究発表会に講演をしてくださったご縁もあって,このたび本としてまとめさせていただきました。
 
 ちょっと脱線しましたが,子どもたちが気持ちを調整する力を身につけていくにはまずは自分の思い,気持ちを出すこと・嫌なこと,悲しいこと,うれしいこと,困ったこと,してほしいことなどすべてはまずそんな気持ちを出すことから始まります。
 友達の持っているもの、目に見えるものすべてが自分のもの,自分がほしい自分が使いたい・・・ということから始まるのです。今が正しくその時期なのです。各クラスでちょっとしたトラブルが多数発生しています。「貸して」「いや」「あかん」「だめー」・・・よくよくあることです。

 そんな時どうすればいいでしょうか?すぐにやめさせたほうがいいと思われますか?
大人が大人の解釈で結論付けてことなく終わらせるのはその気になればできることだと思います。「はいAちゃんも使いたいね,Bちゃんも使いたいね。じゃあAちゃんが先に使ってBちゃんに代わってあげるんだよ」「うんわかった」・・・

 そんな大人のいうことを素直に聞くのでいいのでしょうか。大人にとっては楽かもしれません。しかしそれは解決にならないのです。いつも大人に解決方法を教えてもらい,大人のいうとおりにしか動けない子どもになってしまいます。そして大人が道しるべをつけてくれないといつまでもいつまでも同じことの繰り返しで,自分の主張ばかり通す子どもになってしまいます。私たちが目指す主体的に行動する子ども,人やモノと折り合いをつけながら気持ちを調整する力を身に着けた子どもとは真逆の子どもを育てることになります。

 3歳児も4歳児も幼稚園や今のクラスの集団にようやく慣れ,自分以外の人の存在に気付き始めています。でもまだうまく言葉で自分の思っていることを伝えられないのです。
 気になる人やことをみると「おもしろいことしてはるな」「自分もやってみたいな」「なんか好きやな」「私も好きやな」「私もやらせて」「貸して」「仲良しになろう」と思って近づこうとします。
 逆に「私と遊びたかったら,〜して」「僕のいうとおりにして」「今○○してるのやし,そんなことせんといて」「○○ちゃんとは遊ばへん!」と自分の思いを強く主張しすぎる子どももいます。そんな時「だって私,こんなこと考えたんやもん」「あかんて言わんといて」など言えたらなんの問題もないのです。

 もえぎ幼稚園では,すぐに大人が解決してしまったりはしません。子どもたちの思いが出せるようにとことん付き合います。双方の思いを聞き出しながら子どもとともに解決方法を導き出すようにしています。そんな時どうしたらいいのか子どもたちはいろいろ頭を巡らせて考えるのです。

 先日,PTAの運営委員会があり,もえぎ幼稚園のいいところはという話になりました。その時に「もえぎ幼稚園のいいところは,思いっきり遊ばせてもらえることです。遊ぶために子どもはいろいろ頭を巡らせて考えないといけない,その中でいっぱい学んでいることがある」と言ってくださいました。
 まさしくその通りなんです。子どもたちは遊んだり,生活したりする中で一所懸命頭を使って学んでいるのです。遊びこめば遊びこむほど自分たちで解決方法を考えれば考えるほど子どもたちは学んでいるのです。
 このことが初めにいいましたような非認知能力を育てることとなり,もえぎ幼稚園の子どもたちの遊びや生活の中にはその要素がいっぱいあふれているのです。そんなことを大事にしながら,遊びこみ,主体的に行動する子どもたちを育てていきたいと考えています。

 今のこの子どもたちが社会に出て働こうというころには,今はない職業に就くだろうといわれています。というか今ある職業のほとんどは,ロボットやコンピューターにとってかわるだろうといわれているようです。言われたことを言われたように動く指示待ち人間では,そんな時代についていけません。
 そんな未来に,自分で考えて自分で行動できる子どもたちを育てていくために,子どもたちの遊びやトラブルを大切にしていきたいと考えます。

 それでも皆さまの中には,「これは心配だな」「いつもやられているのと違うかな」「いつもけんかしてばかりしているのかな」「いじめられているのでは」「わが子が標的になっているのでは」などご心配になっておられる方がいらっしゃるかもしれません。
お子さんの様子に一喜一憂されることもたくさんおありかと思います。

 小学校は,時間割によって学習の時間と休み時間とに別れていて休み時間には遊ぶことで気持ちを切り替えたりしています。
 幼稚園はというと9時から2時までがすべて遊びであり,すべてが学習の時間であるのです。幼稚園の教育時間がよく短いといわれるのですが,子どもたちが全力投球をするにはこれがMAX最大の時間なのです。
 MAXの時間をMAXで遊ぶので,子どもたちはそれなりに緊張したりしてもいますから,大変疲れます。幼稚園で疲れたのをお家で癒して子どもたちなりにバランスをとっています。だからお家ではぐずぐずいうことがあったり,機嫌が悪くなったりまた逆に甘えたりするということもあって当たり前なのです。

 この話を聞いていただいて「ああそうなのか」と思ってくだされば有難いですが,それでも気になる…とおっしゃる方はどうぞ担任や私たちにご相談ください。どうぞよろしくお願いします。

 幼稚園の遊びの大切さをお話しさせていただきましたが,その遊びや生活を支えるのはご家庭では保護者の皆さまであり,もちろん幼稚園の先生たちであります。しかし幼稚園の先生だけではことが足りないこともたくさんあります。子どもたちの生活や遊びを支えていただいているのは,まずは一番身近にPTAの役員やクラス委員の皆さんです。先日もプール清掃にお世話になりました。そして恒例の夏祭り,ことしは夏の集いに名称変更をしようといってくださっていますが,夏の集いの係りの方とともにもえぎパドリもえぎ幼稚園おやじの会の皆さまにもお世話になっています。

 それからもうひとつ,もえぎ幼稚園学校運営協議会もえぎティンクルという組織があります。ティンクルは,地域の方にも多数参画していただき,幼稚園の子どもたちにより豊かな経験ができるように,また親子体験などで保護者の方にも様々な体験をしていただくなど幼稚園と地域を結ぶ窓口となっていただいたり,幼稚園教育に参画し支援をしてくださったりしていただいています。なかなかティンクルのことを皆様にお伝えする機会がなく,あまり認知されていないようにも思われますので,今日は少し知っていただく機会を設けさせていただいております。もえぎティンクルは平成17年度に発足し,まる10年を超えました。
 この間のいろいろな事業に対して,昨年12月3日に文部科学省から「学校支援活動に優れた成果を収めた団体」として表彰を受けることができました。
これは素晴らしいことです。

 子どもたちの成長を願ってこれからもご家庭と幼稚園が一緒の方向を向いて,両車輪で頑張ってまいりましょう。これで私の話を終わらせていただきます。
今日は有難うございました。どうぞよろしくお願いいたします。

* この日は,もえぎティンクルの委員長様にもお越しいただき,ティンクルのお話もしてくださいました。そして保護者の先輩として,「焦らなくてもあわてなくてもいいですよ。3歳児は3歳児の時をしっかり過ごしてから4歳児になればいいのです。その時期その時期をしっかりと過ごすことが大事です」とお話してくださいました。保護者の皆様もゆっくり大きくうなずいていらっしゃいました。

 本当にその通りだと思います。一人一人の子どもたちの興味や関心のもち方,成長や発達の様子や速度は様々です。ほかのお子さんと比較するのではなく,一人一人のお子さんの成長をゆっくり見守っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします