学校日記

第55回 京都市中学校弁論大会 W・Kさん 最優秀賞受賞!!(ちょっといい話—144—)

公開日
2013/11/05
更新日
2013/11/05

学校の様子

 11月2日(土)午後1時30分から,京都市総合教育センターにて「第55回京都市中学校弁論大会」が行われました。本校から3年生のWさんが出場し,見事,最優秀賞を受賞しました。18校からの出場がありましたが,その第1位に輝きました。おめでとうございます。
 「うちなあ,看護師になりたいねんかあ」(以下に全文を掲載します)を弁論のテーマに,気持ちを込めた堂々のスピーチでした。何回か聞く機会がありましたが,本番当日も心震えるスピーチでした。他校の先生から,「心にジーンときたスピーチで大変感動しました」という賞賛のお声もたくさんいただきました。是非,本校生徒の皆さんにも聞いてもらいたいと思っています。また,皆さんの前で弁論してもらう機会を考えています。
 その他,弁論大会当日,補助役員として頑張ってくれました陸上部有志の皆さん,裏方として大会を支えてくれたことに感謝します。ありがとうございました。
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         「うちなぁ、看護師になりたいねんかぁ」

                     京都市立春日丘中学校 W・K

 「うちなぁ、看護師になりたいねんかぁ」
 フィリピンから日本にやってきて2年。私の将来の夢、ずっと秘めていた本音を、口に出して言うことがようやくできたのは、3年生になった7月のことでした。
 もともと私は、コミュニケーションが大好きな明るい中学生でした。でも、日本にやってきたころの私は、そうではなくなっていました。

 私とまわりのクラスメイトとのかかわりは、冷たく、何を考えているのかが全く通じない不安の中で始まりました。もちろん、言葉はほとんどわからない。でも、それだけではない。表現の仕方がまるで違う。自分との間に壁を作り、本音をかくして、表面だけで接しているみたい。
 日本では、学校での過ごし方もまったく違いました。集団で体育の授業なんて受けたことがない。数学の問題も、初めてのものばかり。修学旅行でみんなと一緒にお風呂に入るなんて、なにそれ!? 知らないこと、信じられないことばかりで、私の自信はどんどんなくなっていきました。はじめは気になっていたはずの周りからの壁。でも、気が付くと、私も、自分から壁をつくるようになっていました。

 小集団で勉強をしていても、クラスメイトと関わることが苦手だった私。そんな私が、自分自身で「かわった」と感じたのは、2年生の冬のこと。英語の授業で困っている仲間に勇気を出して声をかけると、笑顔がたくさんかえってきたのです。

 「Kさん、これできる?」「すごい!!」「また教えてくれる?」

 こんな私がだれかの役に立っている。私と話して喜んでくれる人がいる。私のまわりの笑顔が日に日に増えて、気が付くと、休憩時間でも笑いながら話している仲間がいました。学校の外でも、「おはよう!!」「今日も元気??」「おかえり」といつも声をかけてくれるご近所の方々がいる。日本にも、こんなにあったかい人のつながりがあったんだ!!
 私を取り巻く苦しい大きな壁は、次第になくなっていきました。いつも元気にしゃべっている自分をとりもどしていったのです。
 だれかの役に立つことは、私の喜び。人のために働いて、みんなを笑顔にしたい。ずっと心の中に秘めていた「看護師になりたい」という夢が、具体的なものになりはじめました。
 日本で看護師として働きたい。言葉、勉強、まだまだ困難を抱える私がそんなことを言っても、だれもそんな夢が叶うなんて思ってくれないかもしれない。それでも、人を助ける仕事をしたい。自分を大きく変えてくれたこの日本で。
 日本には夢があります。フィリピンにいた自分には考えもしなかったような大変な経験が、想像もしていなかったような自分の成長につながりました。つらい思いをした分、たくさんの人の気持ちをわかってあげられる、私だけにできる私らしい看護師になりたい。
 先日、私は体育の授業で右脚を骨折しました。教室も、体育館も、日本語教室も、いつもは簡単に移動できるのに、松葉づえでの生活は、想像以上に大変!! しかし、今の私には、こんなつらい経験も、夢に向かって進む大切な一歩だと考えられます。
 治療をさぼると、家族のように本気でしかってくれるお医者さん。私の努力を一生懸命に支えてくださる先生方。たくさんの出会いが、ずっと逃げてきた自分を、どんなことにでもチャレンジできる自分に変えてくれました。2年間を振り返ってみると、日本に来てから、感動したことがたくさん浮かびます…

 「うちなぁ、看護師になりたいねんかぁ」

 …今なら、自信をもって、堂々と言えます。希望に満ちたこの一歩を、私は力強く歩んでいきます。