学校日記

ちょっといい話—81—

公開日
2012/07/27
更新日
2012/07/27

学校の様子

 連日の猛暑日です。暑いのは当たり前なのですが、水分補給をしっかりとし、体調には十分に気をつけてください。
 今日の「ちょっといい話」は、偶然と呼ぶにはあまりにも偶然過ぎるお話です。あってはならない交通事故ですが、その中にあって、2つの大切な命が奇跡的に助かったというお話です(「泣ける話・感動する話」より)。
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                『貸し借り』

 小5のとき、通学路の交差点を渡っていたとき、右折車が横断中の俺めがけて突っ込んできた。催眠術にかかったように体が動かず突っ込んでくる車を呆然と見ていたら(あらぬ方向を見ているドライバーの顔まではっきり見えた)、後ろから突き飛ばされ、俺は難を逃れた。が俺を突き飛ばしてくれた大学生は車に跳ね飛ばされた。泣きながら近所の家に駆け込んで救急車と警察を呼んでもらい、自分は警察の事故処理係に出来る限り状況説明をした。後日、家に警察から電話があり大学生の入院先を教えられ、母親と見舞いに行って御礼を言った。

 中学1年のとき,父親の仕事の都合で同県内の市外(というか、山の中)へと引っ越した俺は、そこで先生となっていた例の大学生と再会した。お互いに驚き再会を喜びつつ、3年間面倒を見てもらって(なんせ田舎の分校なので、先生はずっと同じなのだ),俺は中学を卒業し、高校進学とともに市内に戻った。

 地元の教育大学に進学した俺が教育実習先の小学校へ向かう途中の交差点で,自分の前を渡っている小学生の女の子に右折車が突っ込もうとしているのをみた。今度はドライバーが携帯電話で喋りながら運転しているのが見えた。
 スローモーションみたいに流れる情景に「ウソだろ・・・」と思いつつ、とっさに女の子を突き飛ばしたら、自分が跳ね飛ばされた。コンクリートの地面に横たわって、泣いている女の子を見ながら、あのとき先生もこんな景色を見たのかな・・・とか考えつつ意識を失った。

 入院先に、俺が助けた女の子の親が見舞いにやって来た。彼女の親は中学時代の恩師であり、俺の命の恩人そのヒトだった。

 「これで借りは返せましたね」と俺が言うと
 「バカ・・・最初から、借りも貸しも無いよ」と先生は言った。

 ベッドの周りのカーテンを閉めて、俺たち二人、黙って泣いた。