ちょっといい話—71—
- 公開日
- 2012/06/12
- 更新日
- 2012/06/12
学校の様子
梅雨に入り、じめじめとした天候が続いていますが、天候に左右されずに、元気ハツラツと学校生活を送って欲しいものです。
さて、ワールドカップの最終予選が始まり、日本は2勝と出だし好調です。選手の1つ1つのプレーに思わず歓声を上げてしまっています。何とか全勝でワールドカップに行ってほしいと願っています。
今日はそのワールドカップにちなんだ「ちょっといい話」です。さすが一流の選手は、その技術のみならず、たくさんの人に夢を与えてくれます。そんな心温まる話を紹介します。(「心温まる話より)
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「ワールドカップのデンマーク代表トマソン選手の話」
ワールドカップが日本で開催された年に、デンマークのサッカーチームが和歌山県に合宿をしたそうです。他国のチームのほとんどはチームの練習は非公開で行われていたのですが、デンマークのチームは、オルセンという監督みずからがキャンプ地を提供してくれた和歌山の町の人々が喜ぶことになることは何でもしてあげることが私たちの仕事だと言い、それは試合に勝つことよりなによりも大切だとの考え方により、すべての練習を公開し、さらにその後には、少年達をグランドに呼び、ミニサッカーゲームをしたり、サイン会や握手会を続けていたそうです。
その時の選手で、トマソンという選手がおりました。(当時は小野選手と同じチームでオランダリーグで活躍していた)ある日、トマソン選手が、いつもと同じく練習後のサイン会をしていたそうです。その時は、トマソン選手のサインが欲しく、たくさんの子どもたちが、列をなして並んでいたそうです。順番が来て、一人の少年がトマソンの前で、何も言わず、もぞもぞトマソンの前に立ち尽くしていたそうです。トマソンはその少年が気になり、「どうしたの?」と聞くと、その少年は1枚の紙切れを出しトマソンに渡したそうです。その手紙は、学校の先生に書いてもらった英語の手紙で、
「ぼくは小さいころに、病気にかかって口と耳が不自由です。耳は聞こえません、話すこともできません。だけどサッカーだけは大好きです。僕はトマソン選手が大好きなのです。」
とその手紙に書いていたそうです。
その手紙を見たトマソンは、にっこり笑い
「君は手話ができますか?」と手話で語りかけたそうです。
しかし、手話は世界共通ではないので、デンマークの人の手話は、日本人には通じなかったそうです。すると、トマソンは横に立っていた通訳の人に、
「僕は今から、彼と筆談で話をしたいので、手伝っていただけますか?」と許可をもらいさらに、後ろの列で並んでいる子供たちにも
「彼と話をする時間を僕に下さい」と言い断りをいれ、少年との筆談が始まったそうです。その筆談の中で、トマソンは「君はサッカーが好きですか?デンマークを応援して下さいね。」と書くと少年はうなずき、そして「トマソンさんはどうして手話ができるのですか?」と尋ねると、トマソンは「僕にも君と同じ試練をもつ姉がいます。彼女のために、僕は手話を覚えたのです。試練は君にとってつらいことだと思いますが、同じように君の家族もその試練を共有しています。君は一人ぼっちじゃないということを解っていますか?」と少年に優しく語りかけたそうです。すると少年は黙ってうなずくと、トマソンは
「解っているならOK!だれにも辛いことがあります。君にも僕にも、そして君のお母さんにも…それを乗り越える勇気を持って下さい」
その光景を横でみていたお母さんは、泣き崩れていたそうです。
さらにトマソンはこう言ったそうです。「ぼくは今大会で1点を君のために必ずとります。その姿を見た君が、これからの人生をがんばれるように僕は祈っています」と筆談で語りかけたそうです。すると少年が「はい。応援しますから頑張ってください」と答え会場を後にしたそうです。
その後、この大会で、トマソンは4点取ったそうです。しかし、デンマークはイングランドに負けたため、自国に帰ることになり、和歌山の人々は、デンマークのサッカーチームが大好きだったので、さよならパーティを開催することになったそうです。そのさよならパーティーの会場で、トマソンはその少年を即座に見つけ、自分の所に呼び、少年に
「せっかく応援してくれたのに、負けてごめんなさい」と謝ったそうです。
少年は、「負けたけど、とてもかっこよかったです。約束通りに点を取ってくれて僕はとても嬉しかったです。」と筆談で渡すと、トマソンは「僕から君に言える言葉はこれが最後です。よく聞いて下さい。君には前にも言った通り、試練が与えられている。それは神様が決めたことだから今からは変えられない。神様は君に試練を与えたけれど、君にもゴールを決めるチャンスを神様は同様に与えてくれるはずです。そのチャンスを逃さず、ちゃんとゴールを決めて下さいね。」
と言い、最高の笑顔で2人は写真に納まったそうです。