学校日記

ちょっといい話−33−

公開日
2011/05/10
更新日
2011/05/10

学校の様子

 水泳部を除き、春体も終わり少しほっとしている今日この頃ですが、ゴールデンウィークの疲れも出やすいときです。急に暑くなったり、雨による蒸し暑さも増しています。体調には十分に気をつけてください。体調を整えてもらうためには、心にしっかりと栄養を補給しなければなりません。今日は心の栄養となる「ちょっといい話」を紹介します。

 〜「仕事より、お金より、あなたに生きていて欲しい」〜

 タクシーに乗りました。行き先を告げます。
「かしこまりました。○○です(ドライバーさんの名前)。よろしくお願いいたします」マニュアル通りとはいえ、なかなか、礼儀正しい方だなと思いました。ふと見ると、後部座席の前に、プラスチックのカゴがぶら下がっています。その中には、キャンディが入っていました。
 「これ、いただいてもいいんですか」
と訊くと、「どうぞ、どうぞ」と言われました。
個人タクシーではありません。名古屋では大手のグループです。他のタクシーでは見たことがありません。
 「自腹でやっていらっしゃるのですね」 「はい」 「素晴らしいですね」
 「いえいえ」 「私は初めてですよ」
最初は、言葉少なだったのですが、私があまりにも褒めるからか、こんなことを話し始めました。
 そのドライバーさんは、3年前まで、自営業の仕事をしていたそうです。ところが、資金繰りにつまり、精神的に追い詰められて、毎晩、一時間くらいしか眠れなくなってしまった。その一時間も、1万円札に押しつぶされる夢を見て、ハッとして目が覚めるという状態だったといいます。ついには病気になって入院。それも重篤で、一時は心肺停止に陥ったそうです。幸い、死の淵から生還。奥さんに言われました。
 「仕事より、お金より、あなたに生きていて欲しい」
その一言のおかげで会社を畳む決心がつき、タクシーの仕事を始めたのだそうです。その時、思ったこと・・・。
 「タクシーはサービス業である」
ということ。自営業をしていたときには、お客様のことを一番に考えるのが当たり前。それをタクシーでも実践したいと思った。快適にお客様に乗っていただくためには、どうしたらよいか。キャンディーの他にも、ウエットテッシュを常備。おかげでご指名も多いそうです。
 そんな話を聴いている最中のことです。信号待ちの時、急にドライバーさんが、前を向いたまま、両手を合わせて拝む格好をしたのです。それはまるで、お寺に行ってお参りをするときのように見えました。(え?ひょっとして、死にかけて生き返れたことに感謝しているのかな)と思いました。苦しかった当時のことを思い出してしまって・・・。
 いえ、違いました。その手を合わせた斜め前方を見て、わかりました。舗道で、私が乗っているタクシーに手を上げている男の人がいました。その人に向かって、「ごめんなさい。この車はお客様を乗せているんです」
 と謝っていたのです。そんなタクシー初めてです。たいていは、右手を左右に振って、「ダメダメ」ということを合図するか、両手で×のサインを作る。中には無視されることもあります。もちろん、信号待ちというタイミングもあるのでしょうが、このドライバーさんの優しい気持ちが乗っている私にも伝わってきました。「タクシーはサービス業である」というその言葉に嘘はなかったのです。代金を支払って降りるとき、つい、
 「また逢いましょう」
と言ってしまいました。