「かきつばた」
- 公開日
- 2011/05/09
- 更新日
- 2011/05/09
校長室から
毎年、ゴールデンウィークが終わるころに美しい花を咲かせる北区上賀茂にある大田神社のカキツバタ(杜若)を見てきました。大田神社のカキツバタは平安時代の歌人藤原俊成が「神山の大田の沢のかきつばたふかきたのみは色にみゆらむ」と和歌にも詠んでいるように、自生種として約1200年の歴史があり、国の天然記念物に指定されています。この大田の沢のカキツバタの特徴は、「花の色が濃すぎず上品で、背が高くしっかりと伸びた茎」で、切り花にない野生種の美しさだそうです。しかも1つの株に3回花を咲かせるということで、これから見ごろを迎えて、しばらくの間は花が楽しめそうです。
カキツバタと言えば、以前の教科書にも有名な和歌が載っていたことを思い出して、図書室で確認してみました。歌物語として有名な伊勢物語にこんな一節がありました。
主人公たちが旅の途中、三河の国の八橋(今の愛知県東部)という所で、沢のほとりに腰を下ろして休んでいますと、目の前にカキツバタが大変美しく咲いていました。それを見てある人が、「かきつばたという五文字を句の頭に置いて、旅の心を詠みなさい。」と言ったので、その男はこう詠んだ。
からころも きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる 旅をしぞ思ふ
(大意)新しい着物を段々と着慣れたように、慣れ親しんだ妻を都に残して、はるばるこんな遠くまで来てしまったものだなあ。
この歌を聞いて、一緒に旅をしていた人々も皆涙を流したというものです。
たくさんの物語や不思議な世界などに出会える「図書室」を大いに利用したいものです。