学校日記

子育てと体育について(1)

公開日
2015/01/16
更新日
2015/01/16

校長室から

                     日野小学校長 山本 泉

 昔から,教育の大きな三本柱として「知育」「徳育」「体育」が挙げられます。京都市の「学校教育の重点」の中にもこの3つを「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」という言葉に置き換えて掲げられています。今回はこの3つのうち「体育」について,子育てに関わってのお話をしたいと思います。
 テレビのニューストピックで家庭教師のことを話題にしていたのを思い出しました。それも一般の教科学習ではなく,体育の家庭教師の話でした。最近,月に3〜5万円も月謝を払って,体育の家庭教師を子どもに付けている家庭が増えているということでした。なるほど,やはり「体育」は子育てにおける一つの大事な要素だと改めて思いました。
そこで今回は,私自身の子育ての反省も交えて,子どもの運動能力の向上をテーマに「体育」について述べてみたいと思います。
 人間には,あらゆる能力において個人差があります。このことは人生において,誰もが何度も感じることです。そして,多くの人が,自分にできないことができる人を「うらやましい」と思い,自分もそうなりたいと思って努力します。そして,努力を積み重ねることでできなかったことが少しずつできるようになります。これを「学習」といいます。
いうまでもなく,このことは運動能力にも当てはまります。野球が上手くなりたいから野球の練習をする。サッカーが上手くなりたいからサッカーの練習をする。バレーボール,テニス,などなど…誰でも考えることです。ところが,同じことをしても他の人と違い,すぐにできるようになる人がいます。
 そういう人をよく「運動神経がいい」などといいますが,正しくは「運動能力または身体能力が高い」というべきでしょう。多くの人は,これを生まれつきの能力と思っているようですが,必ずしも先天的なものだけではなく,むしろ後天的な要素が大きいといわれます。適切な時期に必要な能力を育成することが大切なわけです。「少しくらい運動ができたって,大人になれば何の役にもたたないよ。」などという声も聞かれますが,健康面・安全面からも運動はよくできるに越したことはないでしょう。
 さて,子どもには,成長期だからこそ育むべき身体能力があります。それは,上手・下手,器用・不器用ともいわれる「巧みさ」です。巧みさは,脳・神経系の発達が著しい成長期に働きかけを行うと大きく伸びるといわれます。走る・跳ぶ・投げる・蹴る・転がる,といった「動きの巧みさ」を育んでおけば,いろいろなスポーツにつなげることができます。
 ところで,自分事で恐縮ですが私には3人の息子がいます。3人とも運動が嫌いではないし,運動全般的には苦手ではないようです。ところが,3人そろって球技はあまり得意な方ではないと言います。これは,親である私の責任だと反省しています。
 私が子どもの頃は毎日のように野球をして遊んでいました。もちろん本格的なものではありませんが,振り返れば随分ボール感覚が養われたような気がします。しかし,我が子らにはそういった環境がありませんでした。ならば,せめて休日にキャッチボールの相手ぐらいしてやればよかったと,今更ながら思います。つまり,適切な時期に必要な能力が育つようにしてやれなかったということです。
 冒頭で述べたように,知育・徳育・体育というのが,子どもが育むべき三大要素であれば,単に「運動が苦手な子もいて当たり前。」という一言で片付けられるほど,「体育」は軽視されるべきものではありません。(次号に続く)