学力を身につけること
- 公開日
- 2013/09/02
- 更新日
- 2013/09/02
校長室から
京都市立日野小学校 山本 泉
今の日本は世界の多くの国々と比較しても,大変文盲率が低い国です。それはつまり,ほとんどの人が「読み・書き」ができるということです。このことは,義務教育制度がしっかりと定着し,全ての子ども達に学ぶ機会が与えられているからにほかなりません。
しかし,このところ若者の「読解力」が低下しているといわれています。新聞は言うに及ばず,雑誌なども内容によっては理解できないことが多い,しかも,それは決して専門的な内容だからではなく,普通誰でもわかりそうな内容であっても読めないそうです。
その理由は,漢字が読めない,言葉の意味がわからないということらしいのですが,義務教育に携わる私たちの責任を感じざるを得ません。今の風潮ともいえる若者による「造語」や「短縮語」といったおかしな文化も,正しい「国語力」が定着していないからゆえの現象かもしれません。日本の将来を憂いずにはおられない今日この頃です。
3年に一度実施されるPISA調査(義務教育修了段階の15歳児が,そのもっている知識や技能を,実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度対応できるかを評価する調査)でも,世界の中でその順位が以前より下がっているという結果も出ており,これからますます平均的な学力低下が予想されます。私たち教育に携わるものはもちろんこれを水際で食い止める覚悟ですが,家庭の支えなくしてはとても成し得るものではありません。
ところで,一生懸命勉強して進学するのはなぜでしょうか?それは,一つには多くのことを学んで身につけ,自分が進む方向の選択肢を広げるためです。そして,その中から自分に合った職業を選び,安定した生活を手に入れるための勉強です。
ただ,学校の勉強は必ずしも将来役立つこと,必要なことだけを学んでいるわけではありません。事実,学校で勉強したことのほとんどは今の生活に特に役立っているとは思わない,とおっしゃる大人の方はたくさんおられると思います。
しかし,たとえ知識だけのことでも世の中のことで「特に自分には関係ないけれど,知っている」ということがたくさんあるのと,「自分に関わりがあることしか知らない」というのとでは人生の豊かさが違います。これを一般に「教養」という言葉で表したりするわけです。
将来,子ども達が自分の進みたい分野に進み,しかも「教養」を身につけてゆとりある生活をするために,今必要な「学力」を身につけることがとても大切であるということを,私自身ももう一度思い直して,学校ですべきことや家庭でできることを考えていきたいと思います。