七夕のねがい…
- 公開日
- 2017/07/14
- 更新日
- 2017/07/14
校長室から
七夕のねがい…
夏本番を前にしたこの季節になると楽しみなのが「七夕」です。3月3日の桃の節句や5月5日の端午(たんご)の節句などとともに、日本の五節句の一つでもあります。最近では、いろんな考え方の違いから、学校で行っていないことも多いですが、宮山は竹の産地でもあり児童会活動の一環として毎年行っています。横の山からとってきた竹に、各クラスで笹飾りを作り、短冊にそれぞれのねがいを書いていきます。
のぞき見するようで申し訳ないのですが、子ども達のお願いを見るのが楽しみで、「そうやったのか…」とか、「やっぱり!」とか、それぞれの思いを感じることは、私たちの子どもらに対する大きなエネルギーになります。
「サッカー選手になってワールドカップに出たい」とか「パティシエになってみんなによろこんでもらいたい」とか、がんばって!と応援したくなるものもありますし、「イズミヤにあったかわいい靴がほしい!」とか「家族で回るお寿司を食べに行きたい…」とか、ちょっとしたことがその子にとって切なる願いになるんやなと、それぞれの背景にあるものを考えさせられ、ハッとすることもあります。
以前、こんなことがありました。放課後、クラスみんなで七夕飾りや短冊づくりをしていた時のことです。
「もっと書いてもいい?」とみんながうれしそうに短冊に書いているのに、ある女の子だけがお願いが書けません。「何でもいいから書いてみ…」といっても、なかなか鉛筆が動かず、「漢字が得意やし、漢字博士になる!はどうや」とかいろんな提案をしながら書くようにうながしました。それでもじっとしたままでした。
ふだんは活発でにぎやかな子なのに、なんやろ?と思っていましたが、2〜30分ほどたって、やっと短冊を持ってきました。ぽつりと「書いても、かなわん…」と言いながら…。
そこに書いてあった言葉は、「おかあさんとあいたい」でした。瞬間、頭が真っ白になりました。数年前に病気でお母さんがおられなくなった子でした。
言葉を失った私は、しばらくその子を見ることもできませんでした。黙って出ていった子の後ろ姿にハッと我に返ったので、追いかけて「いい短冊やな、ありがとう!」とだけしか言えず、抱きしめたときの乾いた汗の匂いを覚えています。
今はその子も成人になって、結婚して子もできたようです。2年生の時の七夕の願いはかなわなかったのですが、その子の祈りは、母親になった自分の子どもへの祈りとして形を変えて通じ、かなっていくと信じてやみません。
子ども達それぞれの夢や願いがこめられた短冊をながめながら、それぞれの言葉の背景にある、小さいながらも一生懸命に生きる尊い一人一人の「いのち」を、少しでも支え、輝かせることができる学校や教師になりたいと感じるこの七夕の季節です。