京都市立学校・幼稚園
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校歌

冬休みを迎えようとする昨年の12月21日,京都市立京都堀川音楽高等学校の生徒たちや先生方の多大なるご協力をいただいて,本校校歌の録音を行いました。

本校の歴史は,明治41年に創立された京都市立高等女学校から始まりました。その後,大正11年に第一高等女学校,昭和3年に堀川高等女学校に改称され,昭和23年に,学制改革により現在の校名である堀川高等学校となりました。当初は4課程(普通,商業,家庭,音楽)により発足しましたが,家庭課程,商業課程の廃止を経て,昭和38年より2課程(普通,音楽)となりました。平成9年には音楽課程が独立本校化され,現在は堀川高等学校と京都堀川音楽高等学校に分かれています。たまにですが,本校に「今日の演奏会は何時からですか」といった問い合わせがあったり,本校が演奏会の会場だと間違えられて来校されたりもします。

昭和55年,それ以前に存在していた校歌を新たにし,現在の校歌が校旗とともに生まれました。

 堀川の空の雲は   比叡染めゆく窓に飛ぶ
 ひらく窓よ 高く  謳え 理想の空
 しろい雲のある窓に 

 堀川の笛の花は   みどり肩くむ庭に咲く
 ひびく庭よ 尚く  光れ 文化の笛
 わかい花の咲く庭に

録音当日の午前10時に音楽高校を訪問し,音楽ホールへ。校舎が移転新設されて12年とのこと。さぞ丁寧に扱われておられるのだろう。とても落ち着いていてすばらしい空間である。高校生のみならず,大学生やプロの演奏者などによるさまざまな会が催される荘厳なホール。静けさの中に豊かな音色が響くのであろうと,素人の私にも感じられる。舞台の中央には演奏者を待つ1台の立派なグランドピアノが佇んでいる。ホールの中でその存在感が一層際立っている。

私は300席ほどある客席の中央あたりに座って,期待感を膨らませながら,照明に照らされる舞台や高い天井をぼんやりと眺めていた。しばらくすると,男女14名の生徒たちが次々と舞台に現れてくる。ピアノを中心にして緩やかに弧を描くように配置に着き,各々が黙々と楽譜などの準備にかかる。指揮とピアノは先生が担当する。指揮者の指示に応じて各パートの練習が始まる。録音機器の調整が繰り返される。

いよいよ本番。機器担当の方による合図によって指揮者が動き出す。静寂の中,生徒たちは凛と立ちながら,視線をその手に集中させている。しなやかな体の動きによって奏でられるピアノの伴奏とともに,生徒たちの歌声がホールに響く。私の想像をはるかに超える調和と迫力,そして上品さ。

何度も言うが,素人の私にとってはすでに完成されたものに思える。しかし,専門家の先生や声楽を学ぶ生徒たちには不十分なようで,その改善に妥協はない。1回1回の録音が終わるたびに,先生が歌詞をなぞりながら,より豊かな表現に向けた修正点を指摘する。五月雨に続く一言一言を聞き漏らさないという生徒たちの集中力がうかがえる。また,ある生徒が自分の納得のいかなさを伝える。「先生,もう一度お願いします。“ぶんかの”の“ぶ”が…。」その指摘に応じて,全体がキリっとした表情に一変し,次のテイクに向かう。録音が始まってから1時間を優に超えている。何回のテイクが繰り返されただろうか。

正午に差しかかった頃に,ようやく録音が終わった。さすがに疲れた表情を浮かべる生徒たち。突き詰めようとする集中力と粘り強さ,妥協を許さない姿勢,生徒のみなさんから教わった気がします。私は舞台上にいるみなさんに感謝の意を述べた。「心を打たれました。みなさんの声を末永く大切にさせていただきます。」

帰り際,協力してくれたある生徒にあらためて感謝を伝えるとともに,少し話しかけてみた。

「京都の人ですか?」
「いえ,私は他県から来ました。1人で下宿をしています。」

中学生の時にはすでに志を持ち,覚悟が決めて学んでいる。その表情は明るかった。

「将来の夢は何ですか?」
「まだはっきりとは決めていないですけど,芸術大学には進むつもりです。でも,法律の勉強もいいなと思っているんです。小学校で日本国憲法をすべて覚えた時から興味があって。」

多様な関心から自分の道をまだまだ広げようとしている。世界に通用する声楽家をめざすのか,新しい目標を掲げるのか。それとも,いくつもの世界を眺め究めようとするのか。

あらためて,京都市立京都堀川音楽高等学校のみなさんに感謝申し上げます。本校と起源を一とする高校のみなさんにご協力いただけたことは感慨深く,大変うれしく思っております。思いを込めて作成していただいた音色を響かせ続けたいと思います。

新しい年を迎えました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

橋詰 忍
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