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最新更新日:2025/12/29 |
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【校長室から】固定観念を更新するということ(その2)
研修の夜は更けてゆく。
想像以上に、私たちは心のエネルギーを費やしながら日々を過ごしているらしい。気づかぬうちに消耗し、気づいたときにはその残量が僅かになっていることがあるのかもしれない。子ども(生徒)にとっての学校がそうであるように、大人にとっても学びの場に参加することで、知識・技能、自己の能力を高めることができる。しかし、それと同じかあるいはそれ以上に、対話をし、互いにその存在を肯定し、学びを通して人と人との温もりを循環させる場に自分を接続する意味合いを持つ営為であるのかもしれない。その場に傍観者として存在するのではなく、関与する主体、つまり当事者として立ち戻る。その瞬間、学びはさらに加速する。 学習とは、学びとは、固定観念の更新であるという。固定観念を更新する際には、「橋を架ける」ことがポイントであると言われる(心理学で言う「ブリッジング」をすること)。誰かの話を聞いたとき、「自分ならどうするだろうか」と考えてみる。つまり、他人事を自分事へと引き取って考えることであり、他人事と客観視していたことを、当事者意識で捉え直すことを指す。評論家は評論をするが、当事者意識がないため、解決も創造もしない。当事者として物事を捉える。学習、学びが深まるのは、この瞬間であり、知識が自らの行動や判断と結びついた時、固定観念は更新され、思考は立体的になる。そこに創造が生まれる。 子ども(生徒)の学習も、大人の学びも、本質は変わらない。経験を重ねるほど、人は自分なりの見方や判断基準を確立していく。それは確かな強みとなる一方で、無意識の固定観念にもなりやすい。だからこそ、大人にとっての学びは、「新しい知識を得ること」以上に、「これまでの自分の前提を問い直すこと」へと重心が移っていく。 研修は深夜に及ぶ。参加者には、高名な研究者や、先だって開催されたデフリンピックのメダリストも同席していた。生成AIが急速に広がる時代に、私たちはいかに生きていくべきか。知識の伝達や情報処理は、今後ますます人工物が担う領域となっていく。そのとき、人に残される役割は何か。感情を感じ取ること。対話を通して温もりを伝え合うこと。他者の立場を想像し、関係性を編み直すこと…。それらはすべて、固定観念という堅牢な城に閉じこもるのではなく、自己を柔らかく更新し続ける力と深く結びついているのではないか。そんな想念が脳裡をかすめる。 夜の研修会場を出ると、冷たい空気が頬に触れた。 また、やってやろうと思う。固定観念という堅牢な固まりと、闘ってやろうと、やる気が漲る。ある一日の学びが、明日を劇的に変えるわけではないのかもしれない。世界が一変するような答えが、すぐに手に入るわけでもない。だが、確かに言えることがある。今日の学びは、これからの日々の会話や判断のどこかで、「本当にそうだろうか」と、立ち止まる一瞬を生み出してくれるだろうということ。その一瞬こそが、固定観念に小さな亀裂を入れる。学習とは、学びとは、そうした微細な揺らぎの積み重ねなのだと思う。 年齢や立場が異なっても、学習とは、「自分はこうだと信じていた」という前提を問い直し、必要に応じて書き換えていく営みである。それは勇気のいる作業でもあるが、同時に、人を自由にする営みでもある。固定観念を更新することは、一度きりで終わるものではない。恐れず、急がず、対話と省察の中で、何度も繰り返されていく。その過程で、人は他者とも、また自分自身とも出逢い直す。学習とは、学びとは、そうした往復運動の中にこそ息づいている。子ども(生徒)の学びと大人の学びが相似形であるならば、まず、固定観念を更新することから始めようではないか。 冷たい空気の中で感じたこの手応えを、そっと持ち帰り、新しい年に向かって歩みを進めていこう。 船越 康平 ![]() ![]() 年末最後の1日![]() ![]() ![]() 1年生は、数学でクラスをミックスした新しい仲間と学び合ったり、2年後に控えた英語の共通テストに挑戦したりしました。 2年生は、英語では大阪大学の二次試験に挑戦するなど、直観的判断ではなく、根拠と構造に基づいて考える力を意識して学ぶことができたのではないかと思います。 そして3年生。16:00終了の最後の授業まで参加し、移動教室から戻って来るクラスメイトを待ち、各教室での最後の終礼前。生徒2人が、「さっきの国語でな〜」「え?ポップコーン?」「国語!」と微笑ましい会話をしています。「生きる意味は、他者の中に自分の必然を感じる瞬間に感じる、って内容やってん」「何それ難しいな〜」「いや、例がわかりやすくて、怠惰な看護師の人が患者さんのところで、休憩して寝てばっかりいる。患者さんは寝たきりだけど、他の看護師さんが通りかかってばれないように、その看護師さんが病室に来て寝ている時には、意識がはっきりする、っていう話やってん。何か深いな〜と思って」「へ〜なんかいいなあ」点数が気になるはずの共通テストの読解ですが、豊かな学び方をしているな〜と感じました。 受験に向け、一人ひとり緊張が高まる中、友人との会話やホームルームでの時間が、3年生を支えているのではと思います。最後の終礼でも、担任の先生の言葉に笑い、お互いに「メリークリスマス!よいお年を!」と話していました。 本日が、堀川高校に生徒、教職員が集う今年最後の一日でした。明日からは学校閉鎖日となります。新年は、1月5日の3年生の共通テストシミュレーションから始まります。 今年も1年ありがとうございました。みなさまもよいお年をお迎えください。 【英語部】第11回 PDA高校生即興型英語ディベート全国大会に挑戦!(2日目)
「第11回 PDA高校生即興型英語ディベート全国大会」への参加、二日目となりました。本日は、朝から本戦出場の8チーム含む、上位入賞チームが発表されました。
残念ながら、本校代表チームは入賞を逃したものの、昨日の最終戦は勝ちをもぎ取り、最終結果は2勝2敗で今大会を終えました。 準々決勝から決勝までは、ハイレベルな試合となりました。生徒たちはその試合を観戦する中で、自身ならどう論を組み立てるのか、出場チームの論の良い部分や改善部分などそれぞれが考え、次につなげようとしていました。 また全国大会は地域を超えた学校間の交流も兼ねています。試合後の判定結果を待つ間も他校のチームと交流の時間があり、休憩時間中など昨日対戦した学校ともコミュニケーションをとる中で、練習試合の申し込みや、普段どんな練習をしているか等、やり取りを行っていました。これらの経験を、次に生かすべく、意識を高く最後まで参加者として何かを得て帰ろうという姿勢が印象的でした。 先ほど、京都駅にて無事解散しました。応援ありがとうございました。メリークリスマス! ![]() ![]() 【27期生冬の全員学習】町田奈緒士先生による講演会
12月24日(水)午後、27期生冬の全員学習の4限目にあたる午後から、奈良女子大学 研究院 人文科学系 専任講師の町田奈緒士先生をお招きし、講演会を実施しました。町田先生には、以前にも教職員向けの研修会でご講演いただき、その際には「学校現場へのジェンダー学的感性の導入」という主題でお話をいただきました。今回は、生徒達に向けて、LGBTQについての基礎的な知識や、そこから理解できることや、当たり前だと思っていることが、ほんの少し視点を変えることで考え方をあらためて行くべき事象になることなどを丁寧にお話いただきました。
27期生の冬の全員学習の目的には、「視野を広げたり、少し先のことを考えたりするきっかけとする」とあります。この冬、いつも通りのことを丁寧に積み上げる事も大切にしつつ、いつもと少し違うこと、視点を変化させて気づいたことなどを大切に、過ごしてくれることを願っています! ![]() ![]() 【26期生】AcaPro交流会の様子
本校は「前期・後期」の2期制を採用しており、それに合わせて、総合的な探究の時間「探究基礎」も、半期ごとに内容が変わります。
1年生は、クラス単位が中心の授業「HOP」から、10名程度の少人数講座(ゼミ)に分かれる「STEP」へ、2年生は、STEPからのゼミを継続しつつ個人探究に取り組む「JUMP」から、1年半で培った「探究する力」を主体的・自主的に発揮して取り組む「Academic Project」へそれぞれレベルアップします。 12月24日(水)、26期生は、全員学習の3限目にあたる時間に、探究基礎委員会によるAcaPro(Academic Project)交流会を実施しました。 まずは、同じゼミ同士で内容の共有をし、探究分野での広がりについて交流を深めました。その後、座席を入れ替え、次は違う分野同士での共有をしました。ここまで生徒たちの探究活動を支援してくださった大学院生TA(ティーチングアシスタント)の皆さんにも来ていただき、交流の際に一緒に考えてもらったり、助言をいただいたりなどし、さらに良い刺激をうける場となっていたと思います。最後に探究基礎委員長から、10月に行われた「京都探究ポスターセッション2025」の際に、小学生が生き生きと発表しているのを見て感動したこと、探究の初心を忘れずに愉しんでいこう、3か月後の発表会に向けて、頑張っていこうと、強く熱いメッセージがありました。1年次からの集大成として、探究での愉しさをそれぞれのやり方で、深めに深めてほしいと思います! ![]() ![]() ![]() Marry Christmas!2年生世界史講座教会見学フィールドワーク![]() ![]() ![]() 聖アグネス教会では、牧師の方から、教会が地域社会の中で果たしてきた役割や、建築の文化的特徴について丁寧な説明を受けました。特に、ステンドグラスに見られる幾何学的な文様について、三角形が三位一体を、四角形が聖書の四つの福音書を、円が包括や完全性を象徴していることなどを学び、生徒たちは宗教的思想が建築や美術表現にどのように反映されているのかを具体的に理解することができました。 その後、京都御所周辺を通ってカトリック河原町教会を訪れ、異なる雰囲気の教会空間を見学しました。同じキリスト教に基づきながらも、教派によって建築様式や空間のあり方に違いがあることを体感し、宗教や文化が歴史的・社会的背景によって多様な形をとることを考える機会となりました。 今回のフィールドワークを通じて、生徒たちは世界史で学んだ内容が、過去の出来事としてではなく、現在の社会や文化とつながっていることを実感しました。本校では今後も、教室内の学習にとどまらず、実際に「見る・聞く・感じる」学びを通して、歴史を多角的に考える力を育んでいきたいと思います。 【英語部】第11回 PDA高校生即興型英語ディベート全国大会に挑戦!
12月23日(火)、24日(水)の2日間で行われる「第11回 PDA高校生即興型英語ディベート全国大会」に、英語部より本校代表チームが出場しています。1日目が予選、2日目が本選という日程で、全国から101校のチームが参加する大きな大会です。東京大学の生産技術研究所のメイン会場にて、全国の高校生と熱いディベートを繰り広げました。
本日は、1日目で、生徒たちは4戦し、そのうち上位校が明日の本選に出場できます。予選では、3名のチームメンバーそれぞれが高い集中力で、精いっぱいがんばりました。4戦目の結果は明日発表ですが、1勝2敗と全国から集まった強豪校と対等に戦い、今後の学びへとつながる貴重な経験となりました。 ディベートのテーマは多様です。大学の入試制度について、雇用の問題、オーバーツーリズム、など、幅広い知識と深い思考が求められます。試合後には、審判から勝敗の判定だけでなく、一人ひとりへのフィードバックがあります。論の展開の仕方、根拠を示す際の具体性、指摘や質問に至るまで、細やかなフィードバックがあります。生徒たちは、次の試合で生かすためにまた話し合い、試合をこなすごとに大きな成長を見せてくれていました。 ![]() ![]() ![]() 【吹奏楽部】京都河原町ガーデンクリスマスライヴに出演!
さる12月20日、今年も京都河原町ガーデンクリスマスライヴに本校吹奏楽部が出演しました。11時からと12時からの二公演、冬至を前にしながら暖かな昼どき、街ゆく人たちに少し早いクリスマスソングをお届けしました。
翌21日には第58回京都府アンサンブルコンテストに出演し、管楽四重奏(Tp.Eu.A-Sax.B-Sax)の編成で金賞を戴きました。年内の主な活動はこれで終了となりました。来たる新年も佳き音楽づくりに精進していきます。引き続き、本校吹奏楽部に応援をよろしくお願いします! ![]() ![]() ![]() 【「灯」の27期生(1年生)】第5回宿泊研修アセンブリ「灯の跡」![]() ![]() ![]() 「灯の跡」は、1.探究テーマ、2.なぜその探究テーマにしたのか、3.現地でどのように探究するのか、の構成で、これまでの探究の軌跡とこれからの探究の道筋を整理しています。本日は、「灯の跡」をパネルに掲示し、そこに他コース・他班の生徒たちが付箋を貼って、探究への感想やアドバイスを表現しました。 例えば、タイコースのある班の「日本の商店街が廃れていくのに対し、タイの水上マーケットが残り続けるのはなぜか」という問いに対しては、「水上マーケットが観光地化されているなら、錦市場と比較してみては」などのアドバイスが書かれた付箋が貼られていました。生徒たちは、積極的に付箋を貼り、各班の探究を興味深く眺めていました。今後、「灯の跡」のパネルは、アトリウムに掲示され、2・3年生や教職員からもアドバイスをもらい、今後の探究テーマの精選に進んでいきます。 「灯の跡」の交流後は、全生徒が講堂に集まり、船越校長先生、濱田学年主任から現地研修へ向けてのお話がありました。最後に、宿泊研修委員会委員長から、これから現地研修に向けて、現地の言葉を学ぶこと、日本で事前にしっかり調べることなど、冬休みの時間に宿泊研修の学びを深めようという話がありました。 今週3日間、旅行社(JTB株式会社)の担当添乗員の方々と、すべての生徒が班別に打ち合わせを行っています。オンラインや書籍では調べられない点を、直接旅行社の方々に相談し、班別研修に活かします。教員以外の外部の方との打ち合わせを前に、服装を再度整え、「緊張する」「こんなん聞いて大丈夫かな」など、班員と相談していたり、すでに現地語の辞書を自費(5,000円!)で購入したという生徒がいたりと、自らつくる宿泊研修に向け、一人ひとりが気持ちを高めているのがよくわかります。 「灯」の27期生宿泊研修、現地研修まで残り3ヶ月を切りました。「一灯照隅」、ますます一人ひとりの「灯」を大きくし、互いに照らし合い、世界を広げていく豊かな“ソウゾウ”を期待しています。 京都賞講演会報告会
さる11 月11 日、第40 回(2025)京都賞講演会が国立京都国際会館で開催され、堀川高校からは7名の生徒が参加しました。
京都賞は、科学や技術、思想・芸術の分野に大きく貢献した方々に贈られる日本発の国際賞です。「科学や文明の発展と人類の精神的深化のバランスをとりながら、未来の進歩に貢献したい」。創立者である稲盛和夫氏のそのような願いが込められています。 京都賞は、【先端技術部門】【基礎科学部門】【思想・芸術部門】の3部門からなり、各部門はそれぞれ4分野で構成されます(合計12分野)。京都賞の大きな特徴の1つは、「科学」と「思想・芸術」の分野が併存していることです。これは「人類の未来は、科学の発展と人類の精神的深化のバランスがとれて、初めて安定したものになる」という稲盛和夫氏の考えに由来しています。 今回、講演の内容について、校内でも共有の場を設けたいという動きがあり、京都賞講演会報告会という形で、12月18日(木)の放課後、有志の27期生3名と、引率、参加した先生2名とでそれぞれの部門の報告をしました。有志の生徒が報告してくれたのは、甘利俊一博士。人工知能と私たちとのかかわりや、これからの未来について、自分たちの考えも交えて、丁寧に報告をしてくれました。 先生からは、アジム・スラーニ博士(生物学)とキャロル・ギリガン博士(心理学)について、それぞれの専門分野とも重ねながら、熱い思いで、また、理解しやすい形で報告をしていただきました。生徒にとって、このような学校外で刺激を受ける場、空間は、とても大切なものだと思います。また、その場で感じたことを、校内で共有し、他者と議論したり、共感することは素晴らしいことです。そのような校内の雰囲気を醸成する意味でも、大切な報告会であったと思います。 ![]() |
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