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最新更新日:2025/11/20 |
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【27期生宿泊研修】金沢・能登方面研修、3日目の様子です。
3日目。2泊3日の事前学習もいよいよ最終日となりました。本日は金沢大学人間社会研究地域創造学系の青木賢斗(あおきたつと)准教授より、能登半島地震のメカニズムおよび、能登という地理的条件が復旧に向けて与える影響など、学術的見地からご講演をいただきました。
地震のメカニズムについては、日本列島の地形形成史という大きなスケールからその要因を解説していただきました。能登半島では輪島市で最大4mほどの隆起が起こりましたが、これは能登半島を挟むように断層が位置しており、こんにゃくゼリーのカップを両側からつまむような力が加わったなど、生徒にとってイメージしやすく説明していただきました。 また、地震と聞くと地震=災害=悪と捉えられがちではあるけれども、実は過去に起きた地震によって生じた地殻変動が、人々の暮らしにも活かされているというお話も伺いました。能登で有名な揚浜式の塩田は、地震によって地面が隆起して形成された海岸段丘の段丘面を活用していたり、能登の伝統産業である七輪で使用される珪藻土も、この隆起によって海底面に堆積した地層が陸上で採掘することができたために産業として成立していたり、地滑りによって生じた緩斜面を水田として利用していたり…時間的スケールを変えることで地震という自然現象が、人間にとって災害にも恩恵にもなるという、自然と人間の相互依存関係というものをわかりやすく説明してくださりました。 しかし、緩斜面が形成され、水田に利用されることにより能登半島の各地で定住が進み、小規模な集落が成立したことで、災害復旧時にそういった集落の支援が困難となる要因になってしまっているということもあるそうで、地震の恩恵により得られた人々の生活が、自身の被害を拡大させることもあるのだと、私自身も感心させられました。 青木先生によれば、石川県は大きな地震の被害が過去にあまり多くないことから、あまり地震に対する防災意識というのは高いとは言えないと仰っていました。京都に住む私たちも同じではないでしょうか。地震の被害が直撃することがあまり多くない京都に暮らす私たちも、その危険性は分かっていても、いざ起きた時にどう行動するか、そこまでシュミレーションしている人は少ないように思います。「備えあれば憂いなし」と言いますが、まずは自分たちの住んでいる地域にどのような地形的特徴があり、どのような災害リスクが把握すること、そしていざ発災したときの行動指針を考えておくこと、「備えあって、憂う」姿勢が大切なのだと再認識させられました。 この2泊3日、多角的な観点から「能登半島地震」について学びを深めることができました。大事なのは、これを客観的事象として捉えるのではなく、同じ日本に暮らしている人間として、当事者意識を持つことだと思います。災害の被害を少しでも小さくするために、私たちの暮らしている地域がどのような地形で、どのようなリスクが存在するのか、そして発災した時にどのような行動を取るべきなのかシュミレーションしておくことが必要だと痛感しました。 ![]() ![]() 【11月学校説明会】
11月15日(土)には、大変多くの中学生・保護者のみなさまにご来場いただき、ありがとうございました。
この日に堀川高校に来校することのできなかったみなさまに向けて、学校説明会当日に、午後の中学2年生対象に行われた全体会の録画を配信します。よろしければご覧ください。 また、中学3年生対象に行った学習アドバイスの各教科の動画は、当日お渡しした二次元コードからご覧いただけます。5教科に加え、当日の校長挨拶もアップロードしましたので、ご確認ください。 1年生普通救命講習(中京消防署協力)![]() ![]() 生徒たちは初めて触れる器具や動作に緊張しつつも、真剣な姿勢で取り組み、いざという時に「行動できる人」になるための大切な技能を身につけました。今回の講習を通して、生徒たちが自分や周囲の命を守る意識を高め、日常生活にも活かしてくれることを期待しています。 ご指導いただいた中京消防署の皆さま、本当にありがとうございました。 【27期生宿泊研修】金沢・能登方面研修、3日目です。
27期生(1年生)宿泊研修の事前学習・金沢市・能登半島方面フィールドワーク、最終日です。昨日のフィールドワークの疲れも取れ、生徒たちはあいにくの雨模様ではありますが、全員元気に金沢大学に向かっています。
本日は、午前中に金沢大学で震災復興に関わる研究をされている先生を訪問し、その後、金沢駅に戻り、夕刻帰京予定です。 【27期生宿泊研修】金沢・能登方面研修、2日目が終了しました。
2日目。この事前学習のメインテーマの一つである、震災によって甚大な被害を受けた石川県輪島市に視察に向かいました。
午前中、輪島市役所に到着した私たちは、輪島市役所観光課の向面(むかいづら)さんより発災時の様子や被害状況、当時の住民の思いなどご講演をいただきました。 発災時、家族と共にしていた向面さんは、ご家族を避難させた後、ご自身は当時ご勤務されていた市民病院へ赴き、次々と運ばれてくる患者さんに対応されたようです。つい先日までお会いしていた知り合いの方が、変わり果てた姿で運ばれてくる。そうした凄惨な現場で、ご自身の家族の安否も分からない中で、「心を無にして」職務を全うされる。言葉にするには難しい、本当の意味で過酷な日々と向き合った向面さんのお話は、生徒の心に強く響いたことでしょう。 ご講演後は、輪島市の中でも最も活気のあった「輪島朝市」跡に視察へ訪れました。そこにあったのは、鬱蒼と雑草の生えた、荒涼とした風景。地震発生後に起きた火災によって消失した家屋が撤去され、残された電柱は黒く焼け焦げ、傾いたまま。火災から逃れようと逃げる人、倒壊した家屋の下敷きになり、「助けて」と叫ぶ声ーーそうした阿鼻叫喚の惨状が、まるで信じられない不気味なまでの静けさに覆われた大地が、そこにはありました。付近の「キリコ会館」(キリコとは、能登半島の祭りで使用される巨大な灯篭)にて、展示されたキリコが地震により倒壊した現場も視察しました。代々に渡って受け継がれてきた想いを象徴したキリコが、無惨にも破壊されている様子は、心にくるものがありました。 午後は場所を移し、「のとじま水族館」へ。震災の被害は、住宅だけではなく、当然の如く観光施設にも広がっていました。特に生き物を扱う水族館では、地震によって破損した水道管や、なかなか復旧しない上下水道が、飼育する生き物の命に直結してしまうことから、飼育員さんをはじめ多くの人が尽力された様子が、パネル展示されていました。また、全国の水族館が一時的に生き物を引き取って、何とか通常営業に漕ぎつけようと努力された姿も、パネル越しに伝わってきました。 最後に、向面さんのご講演で印象に残った言葉から一つ。遠く離れた私たちにできることは、「忘れないで」いてほしい、そして「勇気づけて」ほしい。欲しいのは物的支援ではなく、「気持ち」であると。終わりの見えない復旧・復興に向けての一歩を踏み出していく彼らを支えていくために、この経験を、友達や家族に伝え、決して過去の出来事として風化させないこと。これが私たちに科された使命だと思います。是非、京都に戻った後、この経験を様々な人に語り伝えていって欲しいと強く願います。 ![]() ![]() ![]() 【11月学校説明会】終了しました![]() ![]() ![]() 午前中は、中学3年生を対象に、午後は中学2年生以下を対象に、実施させていただき、合計で約1,400名の中学生、保護者のみなさまにご来校いただきました。ありがとうございました。 当日は、校内各所で、堀川高校生、堀川高校の教職員と中学生との対話が生まれていたように思います。個別相談以外にも、堀川高校生の自宅の机を写真で撮影して紹介する展示や、「BIG BOX」と呼ばれる校舎の見学ツアー、堀川高校の探究活動に関する発表や体験、27期生(1年生)が計画中の宿泊研修の紹介、また1年生2名、2年生1名によるプレゼンテーション、中学3年生対象の独自問題の解説授業などを通して、堀川高校を知っていただき、中学生のみなさん、そしてご家族が、次のステージになる高校を選ばれる際の参考になる一日になっていれば、幸いです。 今年度の、本校の学校説明会はこれで終了しますが、堀川高校生の活動については、このホームページで日々お知らせしますので、ぜひご覧ください。 また、12月13日(土)には、第2回探究道場も実施します。ぜひ、こちらにも参加をご検討ください。 第15回科学の甲子園京都府予選会![]() この大会は、生徒の科学に対する興味・関心を喚起し、科学的なものの見方や科学的思考力を育成することを目的に、高等学校等の生徒チームを対象として、理科・数学・情報における複数分野の競技で知識や技能を競い合う取り組みです。 生徒たちは、終始リラックスした様子でしたが、競技が始まると真剣に問題に取り組み、リーダーを中心に議論を進める場面、黙々と個人で取り組む場面と様々な場面が見られました。チームでうまく役割分担し、朋と支え合いながら問題に向き合い、競技終了後も出題された問題について議論を深めている様子でした。今回の京都府予選での優勝校は京都府代表として、全国大会に出場します。 結果発表につきましては、12月上旬に発表予定です。6名の生徒たちの挑戦を引き続き、応援したいと思います。ご支援、ご声援のほどよろしくお願いいたします。 令和7年度「第2回探究道場」のご案内![]() 本校の生徒がみなさんと一緒に探究テーマに取り組みます。中学生のみなさん,ふるってご参加ください。 詳細はこちらをご覧ください。 開催日時:令和7年12月13日(土)受付開始9:30 9:45〜12:30(予定) 場所:京都市立堀川高等学校 本能館 探究テーマ:「商品開発プロジェクト」 身の回りに溢れかえる“モノ”。 それらは“商品開発”から 生まれている。 では、この開発のプロセスとは どのようなものなのだろうか? 商品開発を通して 探究を体験してみよう! ********* 申込み方法:申込ページ https://forms.gle/K1H53G4Wp3vSSsbb7 をご覧ください。 申込み受付期間:令和7年11月15日(土)9:00 〜 11月21日(金)17:00 【27期生宿泊研修】金沢・能登方面研修、2日目です。
27期生(1年生)宿泊研修の事前学習・金沢市・能登半島方面フィールドワーク、2日目です。生徒たちは、全員元気にバスで移動しています。
本日は、午前中に輪島市に移動。輪島市役所を訪問し、その後、輪島市内をフィールドワークします。午後は、震災復興に取り組まれた「のとじま水族館」などを訪問予定です。 【校長室から】自分の人生を生きるということ
アトリウムから見上げる、ガラス越しの空が澄み切った朝となった。
眩いほどの秋の陽光が校舎を照らし出した昨日、1500名を超える中学生と保護者の方々に、堀川高校にお越しいただいた。中学校3年生対象の進学説明会、そして中2生以下の学校説明会の一日。近い将来、本校で一緒に生活するかもしれない中学生に出逢える日であることを考えると、何日も前から胸が高鳴った。それは、日々関わる高校生との大切な時間に、毎日胸の高鳴りを感じるのと同様に。 学校説明会は、100名を優に超える高校生がスタッフとして作り上げた。リーダーがコアメンバーとなり、同級生、あるいは学年を超えたスタッフとともに、一つのプロジェクトを創造する。一ヶ月以上をかけて準備してきた成果を存分に発揮し、アリーナの舞台上では数名が渾身の発表を行い、各教室では学校生活、探究基礎の取組、探究道場の活動、宿泊研修のコース別準備などについて、工夫を凝らした展示とプレゼンを行った。個別相談の会場では、現役高校生の立場から、毎日の生活について存分に語り尽くす様子があった。語ったのは、等身大の自分について、いいこともそうでないことも。 舞台裏や廊下の陰では、黙々と準備と後片付けに取り組む生徒の姿がある。案内や誘導、帰って行く人々への見送りなども含めて、高校生たちは、見えるところでも見えないところでも、来場される中学生、保護者の皆さんへの想いを込めて、一日の活動が続く。長い一日も、過ぎ去ってみればあっという間。精一杯のおもてなしと、自己表現と。もちろん、早朝から夜遅くまで、バックヤードから生徒を支え続けた、教職員の姿があった。 学校説明会の前日、準備の様子を見ている中で、ふと数枚の写真に目が留まった。「堀川高校生の机」というタイトルが添えられ、整然とした机上の写真が掲示されていた。自宅の机の様子であろう。思わず近くにいた生徒に声をかける。「こんなに片付いているん?」すると、一人の生徒が少しいたずらっぽく笑いながら答えた。「片付いている生徒のものを掲示したんですよ。」そうか、と自然に頷く。本当は、片付け上手な生徒もいれば、そうでない生徒もいるだろう。それで自然。それが高校生。それこそが「人」というものの姿である。上手くいくこともあれば、そうでないこともある。いいこともあれば、そうでないこともある。 体育祭からちょうど一ヶ月が経過した。雨天が続いた一週間。その日だけ快晴となり、嵯峨野グラウンドは、眩いほどの太陽に照らされた。(急な真夏日に日焼けしてほころんだ笑顔も、今はすっかり落ち着き、全てが冬の装いへと変わりつつある。) 開会式直前、3年生の男子生徒の一人が、応援合戦に参加してほしいと頼みに来た。タオルを振り回して一緒に盛り上げてほしいという。「とても嬉しい申し出だけど、あなたの色のチームだけを応援するわけにはいかないなあ。全ての色、全ての生徒を応援しているから。もちろん、今日欠席していて、この場に来ていない生徒も含めて、全員を応援しているからなあ。」そう伝えると、はい、と言ってその生徒は自席のテントに戻って行った。10分後、6色全ての鉢巻きを束ねて、彼は戻ってきた。ここにいる全員が、あるいは、ここに来ていない人も含めて、堀川高校に関わる全員にとって、楽しい一日に。応援し合える一日に。そんな想いを込めて、ためらうことなく高校生たちと一緒にタオルを振り回し、青空に投げ上げた。 学校説明会、体育祭のみならず、秋は学校行事や各種イベントが目白押しの季節である。探究道場サミット、地域の文化祭への出演、教育研究大会での公開授業、春の選抜大会につながる部活動の公式戦、文化系部活動の発表会などなど。数え上げることができないほど、学校を取り巻いて、多くの取組、行事、イベントが続く。その中で、上手くいくこともあれば、そうでないこともあるだろう。高校生も、大人も。だが、それで自然。それが高校生であり、それが人というもの。 人生の中で、他人が羨ましく思える日もあれば、どうして自分だけ上手くいかないのだろうと悲嘆に暮れる日もある。そもそも、自らの人生を生きるうえで、他者と何かを比べることにさしたる意味などない。けれど、もし人生がすべて思い通りに進み、自分の望み通りにだけ世界が動くとしたら―それは一体、どのような帰結を生むのだろうか。 たぶん、気が付かないだろう。見えないところで支えてくれている誰かの存在に。光の当たる道ばかりを歩むことで、その陰で働く人々の想いに。陰影を解せぬがゆえに、自分と気の合う者だけで奇妙なグループをつくり、そうでない人々を排除する。−そんな生き方すら選んでしまうかもしれない。そんな人生を、一体誰が望むだろうか。 「失敗」という言葉は、「失い」「敗れる」と書く。「失わず」「敗れることがない」のであれば、「失敗ではない」ということになろう。立ち止まり、それを自ら敗北と決めた瞬間、それは初めて「失敗」となる。だが、歩みを止めなければ、それは「経験の蓄積」となり、やがて「未来への財産」となろう。昔から言うではないか。「失敗は成功のもと」と。言い換えるならば、「すべての出来事は、今この瞬間より先へ続く時間へのギフト」であるのかもしれない。上手くいく日もあれば、そうでない日もある。それで自然。それが高校生であり、大人も子供も変わらず、それが人というもの。 人々が集い、お互いにリスペクトし合い、相互に承認し合いながら、思い切って成長していける。それぞれが自分の人生を描く。高校生も、大人も。 それぞれが自分の人生を生きることのできる学校。そんな堀川高校として、歩みを続けてゆく。 船越 康平 ![]() ![]() ![]() |
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