最新更新日:2024/04/01 | |
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入学式2(新入生に伝えたかったこと)
(式辞より)私は皆さん生徒・保護者の味方でありたいのですが、今の学校や社会の現状を考えると厳しいことも言わなければならないと思っています。この2年間の経験から、率直に言って「学力」や「ルール・規範」についての認識が薄いと感じます。さらに幼児みたいだなとあきれることもあります。入試や進級・卒業について見直しが必要だと思うことが多くあります。「やりたい放題」と「手取り足取り」が若者をダメにしていると思います。その結果、文句は言うが、主体的には何もしない、「うたれ弱く」「精神的にひ弱な若者が増えた」というおそらく社会全体の傾向があります。今回の未曾有の大災害を社会と人の連帯で乗り越えるに際して、教育を受けるものとして決意してほしいことがありますので聞いてください。
(1)世の中は自分の思い通りにならないことの連続に決まっています。それでいちいち心が折れたり、すねたり、駄々をこねたり、クレーマーになったり、周りを攻撃するようでは、社会で通用しない。こういう大人は仕事に使えない。君たちの人生は高校卒業後の方がはるかに長い。この2年間、就職超氷河期の中で就職戦線を戦ってきてつくづく思ったのは、社会の中で自分の居場所を得て生きていく上で、本当に必要なのは、学力や技術では基礎・基本。それに加えて、思い通りにならない時に、自分を失わず、それに耐え、前向きの気持ちで乗り越えていける「心のつよさ」だということです。こういう力は挫折や失敗の経験の中でしか育ちません。しかし、最近の学校や社会では、何かあるとすぐに周りが「それ以上傷つかないように」と気をまわし、そしてクレームを恐れ、蓋をして安全な所に避難させ、失敗をさせないために代わりにやってあげるような偽りの優しさの風潮が強すぎはしないかと感じます。 (2)我々の世界にはいろいろな法則やルールがあります。「努力もせずに、いい結果だけ期待してもそれは無理だ」という法則があります。勉強していないのに成績が上がってほしいとか、親切にしていないのに彼女に振り向いてもらおうとかいうのは非常に甘い考えです。与えれば与えるほど、求めれば求めるほどかえってくる。このことに気付き、それを真摯に実行した人が、世の中でより幸せになり、より心豊かになります。それに気づかない人は、成果を得るために最小の努力しかしない。余分なことは一切しない。他人の足を引っ張り、集団の足を引っ張れば、自分は最小の努力で済むことを知らない間に学び、平気で授業を妨害したり、それを先生のせいにする。大人になったら「休まず、遅れず、働かず」冷ややかな評論家。それが体に染み付いてしまいます。そんな生き方はつまらないですよ。 (3)3月18日の集合の時の洛陽の生徒であるための3つの約束を覚えていますか。挨拶、ルール、貢献。この3つの共通目標に加えて、「折れない心のつよさ」を身につけることに挑戦しませんか。安全地帯から文句ばかり言うのではなく、思い通りにならない場面で「それで、どうする?」と具体的な課題にして自分で解決する取り組みを教職員と一緒に取組もうではありませんか。 (4)ここに深刻な調査結果があります。自分に人並みの能力があると思うか尋ねたところ、「あまり思わない」「全く思わない」と答えた日本の高校生は46.7%。また、「自分はダメな人間だと思う」についても日本がずば抜けて高く、「とても思う」「まあ思う」を合わせると、65.8%。「学校の活動や取組に参加したい」、「外国へ留学したい」などについても、他国に比べて最も消極的。そして、「よく疲れていると感じる」高校生が83.3%もいるのが今の日本の姿です。2人に1人が「自分は人並みの能力はない」と言い、3人に1人が「孤独を感じる」と言う。5人に3人が「自分はダメな人間だ」と思っていて、5人に4人がなんだか疲れている。そして、5人に3人が「自分が参加しても社会は変わらない」と言う。政治が変わばよくなるのでしょうか。経済が回復すれば変わるのでしょうか。ゆとり教育をやめれば変わるのでしょうか。明確な正解はありません。私たちは、全力でひたむきにがんばるってカッコイイことなんだ」って思えるようになることを、やっていきたい。 (5)高校生活はスタートダッシュで決まります。まず来週からの1週間、手を抜くことなく全力で取り組んでください。次はゴールデンウィークまでのダッシュで決まります。入学がゴールと考えるのは今すぐ捨ててください。スタートダッシュの失敗が年度末での不調につながっています。生活の乱れは致命的です。ゴールデンウィークまでに勉強をいい加減にした人、事件を起こした人はうまくいったためしがありません。 (6)あなたはどんな人生を生きたいですか、どんな人に会いたいですか、そしてどんな目標を持ち、何にチャレンジしたいですか。私たちと一緒になって、その気になって、やる気になって、本気になって、根気を持って、一気に行きましょう。頑張っている人には頑張っただけ、次の目標が高く困難になります。全力で、本気に、手を抜かず、同じ志の友達と一緒になって、挑戦し、突破しましょう。私たちは今回、何の落ち度のない、大災害の犠牲者の方とそのご遺族の無念にこたえなければなりません。その無念を考えるとき、私たちはより高い目標をもって代わりに生きようではありませんか。その思いをあえて背負っていこうではありませんか。そしてみんなで、チーム洛陽で頑張っていきましょう。本日ここに180名の新入生を迎え、「希望に満ちた未来」という大きな夢に向かって、生徒、教職員一体となって、さわやかに力強く歩み続けたいと思います。 平成23年4月8日。京都市立洛陽工業高等学校校長恩田徹。 |
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