最新更新日:2020/03/27 | |
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そったく12月号から
先日,ローマ・カトリック教会の最高指導者フランシスコ教皇が38年ぶりに日本に来られ,ヒロシマ・ナガサキを訪問し,核兵器への強い怒りや,世界平和への願いを胸に祈りを捧げられました。
言うまでも無く,人の命を無慈悲に奪うテロや戦争は,最大の人権侵害です。 私たちは,第二次世界大戦の戦禍を反省し,1948年12月10日の第3回国際連合総会で,すべての人民とすべての国が達成すべき基本的人権についての「世界人権宣言」を採択しました。そして,12月10日を記念し,その日を「世界人権デー」,さらにその前一週間,すなわち12/4〜10を「人権週間」,12月を「人権月間」として毎年人権を考え,自分を振り返ろうという取組を展開しています。毎年繰り返されるこの取り組みを,中には「またか」とか「別に言われなくても分かっている」と思う事もあるかも知れません。だけど人権について考え続ける事はとても大切な事だと思います。 これまた報道からの話ですが,ふた月ほど前,ある小学校の先生同士の間でいじめがあったと紹介されていました。同業者としてあまりにも情けなく,恥ずかしい思いをした先生が日本中にたくさんおられた事でしょう。でも考え方を変えれば,先生だって,大人だって,時には立ち止まってきちんと人権や自分の行為を見つめ直さなければ,間違いに気づかず,悪に流され,許されない行為を平気で行ってしまう弱さが人間にはあると言う事では無いでしょうか。 私が若い頃,1990年頃にエイズパニックが発生しました。感染すると治療方法が無く,確実に死に至る病として恐れられ,感染者を差別し排除しました。今では治療法が飛躍的に進み,慢性疾患の病気となりつつあるだけで無く,感染経路もはっきりしていて,元々日常生活では極めて感染しにくい病気なのですが,差別は続きました。そこで全国の仲間と性教育に取り組んでいた私は,アメリカから感染者のジョナサン君を招き,児童・生徒の実行委員会を作って歓迎会を京都で開催しました。その打合せの時,実行委員がジョナサンと固い握手をしたいと申し出たところ,通訳の方が「断る。感染したら困るから」と言われました。私は日常生活では感染しないはずなのにどうしてそんな事を言うのか不思議でした。なぜだか分かりますか?違うのです。実行委員にエイズが感染するのでは無く,ジョナサンに知らない病気が感染する事を警戒されたのです。エイズはあらゆる病気に免疫が無くなる病気なのです。私はとても恥ずかしくなりました。自分たちは,差別はいけないと言いながら,結局は感染「させられないか」という自分の事しか考えていなかったのです。自分は感染「させる」人かも知れないという認識が欠如していました。 他人に優しい世界は自分にも優しい世界です。 年に一度とは言わず,最低一度でも人権について考えて行きましょう。一生。 |
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