2020年に東京でのオリンピック・パラリンピック開催が決定し、日本中で歓喜の声が上がりました。その朗報に触れ、感じたことを少し述べてみたいと思います。
まず一つは、2020年には成人となっている生徒諸君のことです。学生や社会人など、一人ひとりそれぞれの道を歩んでいることでしょうが、日本のみならず、世界において活躍できる人材としての一歩を踏み出してくれているだろうか。楽しみでもあり、気がかりでもあります。
これだけ変化の激しい現代社会において、各自が目指す未来に向かって、彼らはどのような青年時代を迎えているのか、私たち大人は今、そのためのどんな「種」を蒔き、深く彼らの「心」を耕しているだろか、自らに問いかけています。
もう一つは、表題にもありますように、オリンピックと同時開催されるパラリンピックのことです。今回の招致におけるプレゼンテーションでは、パラリンピアンの佐藤真海選手(陸上)のお話が非常に印象的でした。日本における障害者の方々への様々なサポートが、本当の意味でグローバル化される好機になるのではないか、という大きな期待を感じています。
ただ、全く課題がないわけではありません。最近の傾向として、オリンピックと同様にパラリンピックも、メダルを取れるかどうかで注目度が違ってきています。つまり、メダルを取ればその選手や祖国の名誉となる反面、選手の競技環境や生活環境に与える影響が大きくなっています。これは、競技スポーツとしての発展を意味するとともに、現在のオリンピックが抱えるさまざまな問題を、障害者スポーツも抱えることを意味します。
「結果主義」と「成果主義」。私たちはスポーツにおいても、教育の場においても、どちらの道を目指すのか、明確にすべきであろうと考えます。「結果」を得るためには手段を選ばない道ではなく、「成果」を生み出すための過程を大事にし、そこにも価値を見いだす道を、オリンピック・パラリンピック開催までの7年間、生徒諸君とともに歩んでいきたいと思います。