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最新更新日:2025/07/14 |
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ちょっといい話―56―![]() ![]() ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『たった一つの命だから,希望を持って生きたい』 僕は小さいときから,できのいい子と呼ばれる子どもだった。祖父も父も伯父も兄弟も全て一流大学をストレートで卒業し,いわゆるエリート一家という環境で育った。 父と兄は医者の道に進み,僕は人と話すことが苦手なこともあり,司法の道を選んだ。 僕も2年前ストレートで一流の大学に入り,それなりの学生生活を送っていた。しかし,今年の春,僕は希望を突然失った。何のために自分は生まれているのか…僕は誰なのか…僕を知っている人は,僕の何を知っていて,僕がどういう人間なのかを語ることができるだろうか…鏡の中の自分に問いかけた。友人に聞いた。お前は個性のないやつだから,難しい質問はするなと言われた。それから,この先が見えなくなった。外に出ても白黒の世界…人が無表情にしか見えない。外に出るのが怖くなった。人と合うのもイヤになった。教授と話して大学は休学して,夏に帰省した。10キロやせて帰ったので母親が心配した。病院にも行った。 そんな時ラジオから「マイペースで生きなさい」という言葉を聞いた次の週も聞いた。人って生きていてつらい思いをするものなんだなと思った。何週目かに19歳で声が出なくなり,体が動かなくなった大学生の話を聴いた。大学を受けなおしたと聞いた。 ショックだった。 なぜなら,僕は親にも誰にも言い出せずどこかで悶々としていた自分の姿を重ね,違う道に進ませてくれと心が叫んでいることに気づいたからだ。また,違う悩みが始まった。親にどう説明したらいいのかわからない。 今日公園に行った。お昼に老夫婦が隣のベンチに座って僕におにぎりを差し出してくれた。かしわ餅…僕の好物だった。僕はこのおばあちゃんに悩みを打ち明けた。そしたら,「そんな魂の抜けた息子の姿を見ることほど親は辛いものはない。思い切って話してごらん。」と言ってくださった。 やっと今日親に相談した。やりたい道に進んだらいいと両親が言ってくれた。兄貴は早く言えと僕をしかった。 やっと心が晴れました。やっとトンネルから抜け出しました。もう一度受験勉強をやります。そして僕は誰なのか,堂々と人に言えるよう頑張ってみます。 たくさんの人のメッセージが,僕を生き返らせてくれました。ありがとう。今日のおばあちゃんありがとう。ドリームさんありががとう。ワンライフプロジェクトさんありがとう。僕は心を打ち明けることが出来る人をすごいなあと思っていました。でも,今日そんな自分になれた。まだまだ,この先いろいろなことがあると思う。思うけれど昨日までの自分ほど悩むことはないと思う。 僕は医者の足りない国で働く医者になります。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 紆余曲折・試行錯誤しながらも、自分を見つめなおし、本当の自分を探し出した彼にエールを送りたい気持ちになりました。家族をはじめ、公園のおばあちゃん、またラヂオの聴講者の皆さんの支えが、悩んでいた彼を元気づけ、勇気を与えてくれたのだと思いました。(写真は、春日丘中学校区地域生徒指導連絡協議会のカレンダーで掲載されました人権ポスターです。) |
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