京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2020/03/25
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ハートフルマーク

訪問者5 〜???〜

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 うわっ!大きな蚊!誰ですか?蚊なんか撮って!と言われるでしょうか。多くのご家庭で非常に大きな蚊と思われ,すぐに処理されてしまうこの虫はガガンボの仲間です。おそらく「キリウジガガンボ」であろうと思います。廊下に干からびた状態で死んでいました。おそらく夜に灯りに誘われて入ったものの出られずにそのまま昇天したのでしょう。二枚目に横からの画像を入れていますが,生きていればもっと体が上に浮いた状態で止まっていたはずです。三枚目の画像に先日のウシアブ同様,平均棍(へいきんこん)を黄枠で囲ってみました。このガガンボの方が長く体に比して大きいことがお分かりいただけますよね。平均棍がありますから,ハエ・蚊・アブなどと同じハエ目(双翅目)の仲間です。

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 前述でおそらく「キリウジガガンボ」と述べましたが,ガガンボの仲間は結構種類が多い割に研究が進んでいませんので,単純にこれだと同定しにくいのです。ただ,ここ京北に水田が多いことも考え合わせると,おそらく正解だろうと思います。
 ガガンボの幼虫は水中や土中に住み,植物の根などを食しています。特にこのキリウジガガンボの幼虫はイネの根を食べる害虫として知られており,農家にとって大敵の一つだそうです。
 ここで,ガガンボを漢字で表すと「大蚊」「蚊々姥」「蚊々母」があります。一つ目は最も分かりやすい巨大な蚊という意味ですね。またその大きさから,蚊の乳母・姥の意味となる「蚊々(カガ)姥(ウバ)」が転じてとも言われていますし,蚊の母の意味となる「蚊々(カガ)母(ボ)」が転じたとも言われているようです。
 キリウジ(切蛆)とはどういう意味でしょう。それは何と,蛆(ハエの幼虫)みたいな幼虫が腹を途中で切ったように見えることから来ているということです。一度調べてみますか?尻側が千切れ割けたように見えますから。多分呼吸するための鰓みたいなものじゃないかなと思うのですが。
 最後に,ガガンボの名誉のために,決して血を吸いません!そもそも,あの優雅と言おうかよろよろと言おうか,兎に角,あの飛び方で血を吸おうものなら,吸う前に押しつぶされてお終いとなってしましますから,とうの昔に絶滅してしまっていたでしょうね。
成虫は蜜や水を吸っていると言われていますが,樹液も吸っているんじゃないでしょうかね。貴重な樹液を吸うにはのんびり過ぎて他の昆虫に追い出されてしまうでしょうかね…,無理かな…。がんばれガガンボ。

訪問者4 〜ゴマダラカミキリ〜

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 トイレ前で見つけたと持ってきていただいたゴマダラカミキリ。筆者の反応が悪くがっかりされてしまいました。樹木の害虫で特にミカンの木でよく見かけます。
 この虫を漢字で書くと胡麻(ごま)斑(まだら)髪切(かみきり),約(つづ)まってゴマダラカミキリと呼ばれています。実は私は噛み切るが語源と思っていたのです。違ったのですね。
 せっかく持ってきてもらったのだから何か切らせてみようと考え試してみることに。本来なら髪の毛を切らせてみたいのですが,さすがに必要量の毛を集めるのは困難さがあるので,同音漢字の紙で代用しました。意味ない!と言われればその通りです。すみません。
 しかし,再生紙で確かめてみると,さすがに大あごの力が強いことがはっきりします。これじゃ木も簡単に穴をあけられるわなと納得しました。顔を上手に押し付ければ,結構切り進めるかもしれませんよ。

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 胡麻斑髪切,その名の通り黒光沢の字に白い胡麻のような細かい斑模様があることから来ています。では髪切は?これとはっきりした説は分かりませんが,髪の毛をも切るということに関係しているようです。大あごの力がそれほど強いということのようですね。
 実際に調べた方が居られるようで(三春町のホームページに載っていました),約960gの力があるそうです。こんな力で指を噛まれたら穴が開くのは確実ですね。あのクワガタでさえ約650gということなのですごいことです。体重の21倍の噛む力があると書かれていますから60Kgの人の体重に換算すると1.2トンを超えてしまう噛みきる力になるということです。この換算は意味のないことでしょうが,兎に角,噛む力が強烈に強いということが分かってきます。
 この強烈な力のあごを使って樹木に穴をあけ,そこに卵を産み付けます。卵から孵化した幼虫は材の内部を喰い進み空洞を作って成長します。特にゴマダラカミキリはミカンの木の成長を妨げるので害虫として扱われており,農家にとっては駆除の対象になっています。
 しかし,カミキリ虫全体としては,朽木の分解者として樹木を自然に帰す役割を担ってくれているのです。ゴマダラカミキリは生きている木を食しますが,食べるのは樹勢の弱った木であり,早く自然に帰すことで世代交代をさせる役に立っていると考えている人も居るようです。
 どのように解釈するかで見方が変わってくるのですね。

訪問者3 〜ハラビロトンボ〜

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 迷い込んできたこのトンボは,一般のトンボのように腹が細長いスマートな格好とは到底言えない幅の広い腹をしています。ここからその名がとられ,「ハラビロトンボ」と呼ばれるようになりました。誰が聞いても納得するのではないでしょうか。
 三枚目の画像に角度をたがえた頭部を載せてみました。頭の大きさに比べて目が大きいのが分かりますよね。じっと見ているとどこか愛嬌がある顔に見えてくるのは筆者だけでしょうか。

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 このトンボの腹の色は黄色系統ですがこれはメスの特徴でオスは,粉を吹いたような青色をしています。じゃあ,シオカラトンボと一緒?と言われるかもしれませんね。腹の色の特徴としては,シオカラトンボ属と同じですが,仲間としてはハラビロトンボ属として独立しています。
 今回は目(複眼)についてお話してみましょう。頭部の多くを占めるこの複眼,ほぼ全角度を網羅するだけの広さを持っています。人間の目が前半分180度強しか見えないことを思えばトンボの目はすごいといえるでしょう。ただ,ウサギなどでもお分かりのように人間と違って横に目がついているということは,初めからより広い範囲を捉えられるようにできているということです。その中でもトンボの目は左右にあるだけでなく上にも下にも広がっているということで360度全方向が見えていると言えるのです。
 それはすごいと思われるかもしれませんね。また,昆虫の目立つ目は複眼であり,個眼と呼ばれる一つ一つの目が集まってできています(目立たない単眼というのも3つあります。明るさ検知程度の能力と言われています)。トンボで数万個集まっていると言われています。人間の目2個と比べるとこれはすごく物がよく見えるだろうなと羨ましがられるかもしれませんね。でも,残念ながら,たった2個の人間よりも見えていないそうです。資料によると,視力相当で言えば0.01程度だそうです。カメラなどの画素数で言えば,数万画素にしかならず,人間が1000万画素相当と言われていますので如何にぼやけて見えているかがうかがい知れるかと思います。なんだ,それじゃ目がたくさんあってもたいしたことないじゃないですかと思われるでしょう。ところが,コマ撮りの能力はすごいらしいのです。人間なら,蛍光灯がずっと明るく照らしているように見えるでしょう。でも,本当は,1秒間に60回点いたり消えたりしているのです。またテレビ画像は,30分の1秒に一回静止画がコマ送りされているようなものですが,人間の目には連続動画として映っています。トンボの目で見れば,蛍光灯は点いたり消えたりしていますし,テレビ画像は,パッパッパッとコマ送り画像が映しだされているのが分かるということになるのです。ただし,先ほど触れましたように視力が低いので鮮明画像ではなくぼやけた画像がコマ送りされているということです。

訪問者2 〜○○○キリギリス〜

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 夕方,校舎を見回っているとき,児童トイレ前で何やらぴょんぴょん跳ね回っているではありませんか。よく見るとキリギリスでした。尻尾のようにも見える長い産卵管があるのでメスとすぐに分かります。彼女からしてみると私は大きな危険生物に見えるのですから,当然身を守るためにガラスに向かって伸びあがって逃げようとするのですが,目に見えない透明な板ですから出られません。駄目と思ったのか,ならば横から逃げようと移動したり,別の場所がないかとぴょんぴょん跳ね回ったりと大慌ての様相を示していました。
 う〜ん,かわいそうだねと思い,トイレ用の扉を開けて外に逃がしてやりました。外に出られた安心感から?危害を加えられなさそうと分かったから?逃げ回って疲れたから?いずれにせよ,じっとしばらく休憩していました。
 画像をよく見てみると,左後ろ足(後脚)の脛節(人間で言えば膝から足首まで)途中から先がありません。右と比べていただければわかります。どうやら外敵に襲われてとられて無くなったか,逃げるために折りちぎったかでしょう。足が犠牲にはなったものの命は助かったようです。

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 私どもの子どものころは,東北から九州まで画像の虫をキリギリスと呼んでいたのですが,最近は「キリギリス」という種名がなくなったのです。この虫はどうやら「ヒガシキリギリス」となりそうです。
 キリギリスというかバッタ目(直翅目)の研究が進んできて地域によって固有の群れがあることが分かってきたそうです。今の段階で取りあえず,ヒガシキリギリスとニシキリギリスに大別すべきということになっているようです。でも,それらの特徴はというと,どうも外見上からしっかりと特定するのは難しいのではと疑問を持つところです。概略的には,ヒガシタイプは翅の長さが体長に比して短い,翅の黒斑が多いということになります。これは概略であり,各地で交雑等が行われていると思われますので,神奈川県藤沢市の一部群れに両方の特徴を示しているものがいるそうです。この京都にしても,両方が分布しているそうで,しかもニシキリギリスがヒガシキリギリス分布域内に点在しているとか言われています。じゃあ,ここでも交雑が行われている可能性があるということになり同定がますます難しくなりそうです。今後の研究待ちということになりますね。

訪問者1 〜ウシアブ〜

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 いつ入り込んだのでしょう。朝から羽音がブンブンしています。よく見るとウシアブが外へ出ようと窓ガラスにへばりついています。

 せっかくですから,ウシアブについて少しお話しましょう。興味のある方のみお読みください。

 下二枚の画像ですが,まず,上の画像の顔をよく見ると何かハエと似ているような…,と思われる方が居られるでしょう。その通りで,ハエとは遠い親戚になります。
 左の緑箱枠ですが,目(複眼)と目(複眼)が離れています。これはメスに見られる特徴でオスの場合は,左右の目が接しています。このように,アブの仲間はここを見れば雌雄の判別ができるのです。さて,右側の青楕円枠内ですが鋭くとがっています。これは,アブの口吻です。ハエの先端とはまた異なっています。さてこの鋭い口吻を使って動物に突き刺し血を吸い取るということをしています。ですから人に刺しに来て当然ですのでお気を付け下さい。刺されると,激痛が走りますのですぐに分かりますが,その時にはもう吸われています。蚊やヒルと違い,麻酔作用の液を出しませんので,血を取られるは激痛を伴うはでたまらない生き物となります。山などで寄ってきたら血を吸いに来たと思っていただいて間違いなしです。ただ,血を吸うのはメスのみで,蚊等と同じように産卵のための必要な栄養分を摂るためだけです。日頃は,花の蜜などを吸っているそうです。
 下の画像に移りましょう。アブ,ハエ,蚊等の仲間は,双翅目と言って見た目状は二枚翅なのです。しかし,黄箱枠内と拡大図を見てください。翅が変化した平均棍が存在しており,厳密には四枚翅ということになります。この平均棍も前翅と同じように上下振動しており,ジャイロスコープの働きをしているようであるといわれています。ところで,二枚翅だと四枚翅より体を浮かすという点で不利ではないかと思われませんか。これを補うためかどうかわかりませんが,双翅目は前翅を1秒間に何と,六百回から千回も羽ばたかせているそうです。
 なるほど,蚊が耳元でうるさく聞こえるのはこの振動数のためですね。

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こんばんは,失礼します 〜アマガエル〜

 ここ最近,湿気のある夜になると窓ガラスに訪問者が現われます。1枚目の画像が,窓のサッシ枠に上がってきたところです。すぐにお分かりになりますね。カエルです。しかも,アマガエルです。
 2枚目の画像は,あちこちを向いています。窓ガラスにへばりついてじっとしていると思いきやごそごそと向きを変えたり,移動したりしてまたじっとしています。
 何をしているのでしょうね。窓明かりに誘われて筆者の様子を見に来たのでしょうか。挨拶をしようと近づけば,警戒して逃げる態勢を作りますが,よほどのことがないと逃げません。私を見に来たのではないようですがどうやらここに居たい理由があるようです。
 3枚目の画像の左端をよく見てください。小さな生き物が見えますが分かりますか。羽アリです。アマガエルはこの虫をじっと見ています。そうなんです。実はアマガエルは食事にやってきたのです。晩御飯ということになるのでしょうね。
 でもなぜこんな明るい敵に見つかりやすいところに?いやいや賢いと思いますよ。明るいところには,光を求めて虫たちが集まります。そこで待っていれば…。たっぷりと食べることができますよね。また,夜ですから,敵の鳥たちはほとんど行動していませんし,つるつるの窓ガラスではヘビも登れませんしね。どうぞ,灯りがついている間お食事をどうぞ。でも,ヤモリ君は来ていませんね。来ないかな…。
 ここから先はカエルに興味のある方がどうぞ。アマガエルと同定している理由は,鼻から目,耳にかけて黒い筋が走っていることや口先が丸っこいことからです。似たものに,アオガエル科のシュレーゲルアオガエルやモリアオガエルがいますが,上記二か所の特徴が違うことによります。
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水生昆虫のなぞ

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一生のうちの一時期,あるいはすべてを水中で過ごす昆虫のことを水生昆虫といいます。

水生昆虫の多くは幼虫のときは水中で,成虫になると翅を使って跳び回るというものが多いです。トンボなんかもそうですね。

昆虫には心臓があっても血管がありません。私たちのように血液が酸素を体中に運んでくれるわけではありません。ではどうして呼吸しているのかというと,気管というものがあって,外の空気を直接体の隅々にまで運んでいます。

水生昆虫はえらをもっていて,水中の酸素を取り入れて呼吸をしています。魚やオタマジャクシのえらとは構造が違うので,気管鰓(きかんさい)といいます。

写真のヘビトンボの幼虫は,腹部についている足のような突起(偽脚)に気管鰓がついています。ちなみに本当の脚は前の6本だけです。鰓のつき方は種類によってまちまちです。腹部に直接ついているもの,脚の付け根に生えているもの…同じような生活をしていて,なぜこんなにもそれぞれ違うのか?不思議ですね。

でも本当の不思議はここからです。「気管」鰓というからには,鰓の中には空気が詰まっています。しかし,水生昆虫の多くは水中に産卵され,水中でふ化し,さなぎの期間までを水中で過ごします。

つまり,空気に触れる機会は一度もないのに,どうして鰓の中に,呼吸器官の中に空気があるのか?…これはだれにも分かっていない謎なのです。

水生昆虫だけではなく,いろいろな生き物が,「なんでそんなことを知っているんだろう?」というような高度な工夫をして生きています。身近な生き物でも,「知ってるわ。」と言わず,見方を変えてよ〜く観察してみると意外な疑問や不思議を見つけられるかもしれませんよ。
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