最新更新日:2024/05/22 | |
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園だより 7月号より
「シャボン玉は子どもの命」
園庭で石鹸遊びが始まりました。もも組の子どもたちは,始めは先生が用意した泡で遊んでいました。その後,手で泡の感触を十分味わってほしいという先生の考えで,子どもたちは石鹸から泡を作り,ジュースやクリームを作って楽しんでいました。そして,だんだん濃度が濃くなり,シャボン玉ができ始め,大きく膨らんだり,割れたりすることを見たり,試したりしていました。そのような遊びが続いているある日のことでした。 園庭でシャボン玉遊びをしようと靴を履き替えていた○ちゃんが私に話しかけました。 ○ちゃん 「園長先生,シャボン玉って子どもの命なんやで」 私 「えっ?子どもの命?」 ○ちゃん 「そう。子どもの命」 私 「命がどうなるの?」 ○ちゃん 「パチンと割れて命が死んじゃうねん」 私 「え?死んじゃうの?それでシャボン玉はどうなるの?」 ○ちゃん 「浮かぶ。命は浮かんでいく」 私 「そうなんか…。○ちゃん,いろいろ教えてくれてありがとうね」 何気ない会話かと思っていたら,深い話でした。それを職員室で話していると,未就園時に○ちゃんを担当していた◇先生が「○ちゃんとお母さんはよく絵本を楽しんでられました。その話も絵本で読まれたのかもしれません」と伝えてくれました。 幼稚園ではいろいろな感触を味わったり,気持ちを開放させたりして遊ぶことをねらいとし,この時期によく石鹸を使っての遊びが展開されます。もちろんその中で,不思議だなぁと感じたり,なぜこうなるのかなと考えたり,試したりすることも大事にしています。そのような遊びが始まって,今日もシャボン玉で遊ぶのだなと当たり前のように思っていた時に○ちゃんの子どもの命の話を聞き,驚きました。4歳の子どもが「子どもの命が消える」,「子どもの命は浮かんでいく」というのです。なんて詩人,なんて哲学とその瞬間,受け止めました。その後,未就園児の時から絵本が大好きで,お母さんによく読んでもらっていたという様子を◇先生から聞き,単に○ちゃんが子どもの命という言葉を出したのではないこともわかり,私の胸にぐっと迫ってくるものがありました。野口雨情作詞の♪シャボン玉♪には,幼い子どもが亡くなる,はかない命とシャボン玉の様子を重ねているという説があることを思い出したのです。お家の人によると,絵本で読んだり,テレビで聞いたりしたということでした。「命」「はかない」などの言葉の意味をしっかり捉えられるまでは至っていないかもしれないけれど,○ちゃんはシャボン玉を大事にしよう,シャボン玉には大事なことが詰まっているということを思っていたのではないでしょうか。 お家の人と一緒に過ごす中で,お家の人の子どもの命ははかなくて大切なものだという思いを子どもが受け止め,感じ,それら思ったことや感じたことが子どもの心の奥に蓄積されているという深いものに触れたひと時でした。 |
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