京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/27
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概要

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■■高等部職業学科設置の経緯・目的
 平成16年4月,それまでの障害種別の京都市立養護学校6校が,障害種別を超えた児童生徒一人一人の個別の包括支援プラン(個別の指導計画+個別教育支援計画)に基づく教育の推進と,地域支援の充実,通学負担の軽減を目的に,総合養護学校7校に再編された。これを機に,それまで高等部普通科単独設置校であった白河養護学校に,全員の一般就労を目指した職業学科(産業総合科)が設置され白河総合養護学校となった。平成18年度から3学年とも産業総合科となり,学校教育法の改正,特別支援教育の開始にともなって平成19年4月に白河総合支援学校と改称した。通学区域は京都市全域である。平成25年4月に東山分校及び地域総合科が開設された。1学年の定員は本校と東山分校を併せて68名程度である(従前は定員48名)。
■■教育課程
 教育課程は教科別の指導,領域別の指導で編成される。個別の包括支援計画に基づいた学校での学習と企業等での実習を組み合わせるデュアルシステムを取り入れており,演習中心の専門教科の授業時数は週14単位時間で,3年間で約24週〜30週程度の産業現場等における実習を300社を超える協力企業・事業所で行う。
■■学科の様子
職業教育に関する専門教科では,食品加工(家政),農園芸(農業),情報印刷(工業),地域コミュニケーション(福祉)を選択履修教科,流通サービスを共通履修教科としてい
る。平成25年4月の東山分校の開設にともない,平成25年度より地域コミュニケーションを地域総合科での開設教科とし,他の3つの専門教科は引き続き産業総合科での開設教科とした。
 食品加工ではパンや焼き菓子の生産・販売と喫茶の運営,農園芸では農作物の生産・販売,情報印刷では名刺や印刷物の受注制作,地域コミュニケーションでは地域包括支援センターの介護予防事業への参加,配食サービスやカフェ等,地域の高齢者の方々のコミュニティ活動の支援等,地域協働活動を演習としている。また,流通サービスでは働くことの基礎基本に関する学習やビジネスマナーの研修,各選択専門教科における販売に因み,流通に関する学習を行っている。
■■就労支援の取組
 卒業時の目標はジョブマッチングの姿であるが,目標達成に向けたスタンダードプランとして,4つのステージに分けたプロセスを描いている。1働くことに馴染み,基礎基本を習得する,2自分の適性を知る,3目標を決めそれに向けた課題解決を図る,4就職に向けた条件整備と心の準備を行う,といった目指す姿を,各ステージにおける目標としている。節目では,本人の気持ち,内面について聞き取り整理して今後につなげるキャリアカウンセリングを行っている。4つのステージで表されるこれまでの経過と今後の計画を一枚のシートにして表すものを「キャリアデザイン」として用意している。このシートは生徒自身が担任を中心とした支援を職業の時間等に受けながら作成する。これにより,各教科等で何を学習するのか方向づけている。
■■地域と協働する専門教科「地域コミュニケーション」の実践と今後の展望
■地域の理解と支援
 本校は住宅地の中に位置しているが,近隣地域との交流活動が盛んなわけではなかった。喫茶店が設けられパンが販売されることで地域の敬老会の例会等での利用が増えてきた。また,野菜の曳き売りは「おいしい」ということで人気が出た。こうした販売演習を通して近隣との関わりを拡げていった。更に地域との連携を深めるために,平成19年10月の学校運営協議会の発足を機に「地域感謝祭」を催し多数の住民の方の参加を得ることができた。以来毎年開催している。
■これまでの専門教科の課題
職業学科開設時における本校の専門教科は従前が生産活動中心の作業学習であったことの反省を踏まえ,演習の中に日常的に販売や営業活動が入るものを選択した。しかしながら,コミュニケーション課題に常に向き合う必要がある生徒にとっては更なる工夫が必要であった。
■地域包括支援センターとの協働
近年,本校のある左京区南部地域では住民の高齢化が進んでおり,高齢者の方の生活の充実を図る取組に対するニーズが高い。本校の喫茶を利用される高齢者の方々のご縁で,地域包括支援センターの介護予防事業からの申し出があり,会場として本校の多目的室を提供することにった。学校からのボランティアスタッフとしての生徒参加要請に喜んで応じていただいた。
■地域支援活動の広がり
前述した実績を元に,平成21年度より,新しい専門教科「地域コミュニケーション」を開設した。専門教科演習の拠点として,左京区高野地域で本校のサテライト教室を開設することになった。この地域でも介護予防事業の支援活動を始めるとともに,地域包括支援センターに併設されているデイサービスセンターでも活躍の場を与えていただいた。さらに,地域の人たちの寄り集まり型のカフェの開設や近隣の保育所のサポート等,サテライト教室を拠点とした活動を拡げた。平成23年度からは,吉田・岡崎地域で独居高齢者の見守り活動をする地域のNPO法人と提携し配食サービスにも取り組むようになった。
■成果として考えられること
発足当時,地域コミュニケーションには,対人関係を苦手とする生徒達が多かったが,1期生2期生はほとんどの生徒が接客対応を必要とする業務に就いている。地域支援活動の積み重ねによる人間関係形成能力の向上は明らかである。何より,地域に貢献し感謝される経験を積み重ねるということで生徒達の自己有能感が高まった。また,連鎖的に活動が広がった事実からも,地域の側から,総合支援学校が地域福祉に大いに貢献する社会資源であると認知されたと考えられる。また,地域包括支援センターの母体は,比較的規模の大きな医療法人等であり,提携し生徒が信頼を得ることは職場・職域の開発となった。
■東山分校の開校
職業学科進学へのニーズの高まりから,平成25年度4月,白河総合支援学校東山分校が東山区に開校された。ここに地域コミュニケーションを移すとともに,これまでの地域協働の取組を地域のニーズに沿って発展させた演習に取り組むこととした。
東山分校の開設を機に,京都市の伝統である地域ぐるみの教育を更に発展させ,より幅広い課題を抱える生徒たちの就労に向けて,これまでの企業現場での実習を中心にしたデュアルシステムとは違った地域協働の教育システムを構築していくことを目指している。生徒の企業就職をはじめとする社会進出を広げ,充実した社会参加の実現を図りたい。

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