京都市立学校・幼稚園
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卒業生へのメッセージ(令和5年度卒業式式辞)

厳しい寒さもようやく緩みはじめ、春の足音も聞こえてくるこのよき日に、京都市立日吉ケ丘高等学校第75回「卒業証書授与式」を挙行するにあたり、京都市教育委員会 指導部 学校指導課 首席指導主事 小野恭裕様、学校運営協議会理事長および同窓会長 審 政義様、教育後援会会長 千賀 修様、PTA会長 南 了仁様を始め、多数の御来賓、保護者の皆様方の御臨席を賜りまして、心からお礼申し上げます。
 
ただいま、3年次生227名に卒業証書を授与いたしました。
 
卒業生の皆さん、御卒業おめでとうございます。3年間の高校生活を終え、本校を巣立ってゆく皆さんに心からお祝いを申し上げます。
 
皆さんは、本校が進学型単位制普通科高校となり、その8期生として、そして最後の3コース制での入学生として3年間本校で過ごしました。

3年間を振り返ると、高校生活の始まりは、まだ、新型コロナウイルス感染症の流行の影響を受け、学校生活の制限がありましたが、少しずつ、日常に戻っていく中で、毎日の授業、学校行事、研修旅行、部活動、そして友だちとの日々の生活など、学校で大いに学び、たくさんの経験ができたと思います。

皆さんもよくご存じのように、本校の育てたい生徒像は、「世界をつなぐ越境者」です。これに関して2つお話したいと思います。

一つ目は、「越境」、壁や境を超える経験の大切さについてです。
人間には、「コンフォートゾーン」という慣れ親しんだ居心地のいい行動範囲や思考範囲があります。それは、常に同じものを見て、同じように考えて、同じような人と接して不安を感じない安心できる範囲のことです。コンフォートゾーンの壁の向こう側にあえて跳びださなくても何不自由ない生活ができます。しかし、コンフォートゾーンに居続けていると、自分とは異なる価値観を理解することが難しくなってしまったり、将来の自分の可能性の芽を摘んでしまったりする危険性があるのです。

皆さんは日吉ケ丘高校で、勇気を出してチャレンジしてみた経験、努力を重ね成功した経験、一歩踏み出して他人と分かり合えた経験など、いくつ壁や境を超えようとした経験があるか数えてみてください。緊張しながら普段話さない友達に話しかけたこと、成績を伸ばそうと一人自習室で勉強してみたこと、研修旅行やフィールドワークで学校外の人と本気で話をしたこと、部活動でいつもと違う戦略を試してみたこと、英語村で英語を使って話しかけてみたこと。コンテストやコンクールに応募してみたこと。越境祭で大勢の前で発表したこと。それらすべて、コンフォートゾーンから抜けて越境した体験です。

コンフォートゾーンから一歩踏み出した経験が多い人ほど、内面が強くなり、変化に対する適応力が高くなり、自信をもってさらに大きなチャレンジができるといわれています。このような体験はあなたたちの成長の糧となっています。日吉で小さな越境を繰り返してきたことはこれからの大きな越境のための準備となり、将来に向けての大きな自信となっているのです。

アメリカの著述家のニール・ドナルド・ワルシュ氏は、Life begins at the end of your comfort zone.と述べました。人生はコンフォートゾーンの終わりから始まる、という意味です。皆さんは高校という一つのコンフォートゾーンから今、新たな世界に踏み出そうとしています。卒業後も「越境」を続けて、自信をもって自分の人生を切り開いていって下さい。

二つ目は、「つなぐ」についてです。
アップルの創業者のスティーブ・ジョブズ氏は、イノベーションに必要な創造力について、「いろいろなものをつなぐ力であり、一見すると関係ないように見える様々な分野の疑問や課題、アイデアやひらめきを上手につなぎ合わせる力」だと述べました。独創的と言われるものは、何もないところから急に現れるのではなく、すでに存在するものを、誰もが行わなかった方法で、単につなぎあわせた結果である、ということです。また、それは多様な経験をしてきた人にしかできないともジョブスは述べています。これは、今、これまでにないつなぎ合わせ方をすることにより新たな価値や新たな解決策を生み出す「新結合」とも言われている、まさにイノベーションのことでもあります。

「世界をつなぐ越境者」の「つなぐ」には、社会や世界の中にある様々な価値と価値、人と人とをつなぐ、つまり架け橋になる、という意味があります。しかし、ジョブスの「つなぐ」の視点から同様に考えると、「つなぐ」ことにより思いがけず全く新たなものが生まれてくる可能性もあるのです。これは新たなものやサービスだけに言えるものではありません。社会や世界には、多様な価値観が存在しています。それらを理解し、多様な経験をし、価値と価値、人と人をつないでいく中で、これまでにない新しい価値や新たな世界を作り出せる可能性があるのです。

今、世界を見渡すと、3年目に突入したロシアによるウクライナ侵攻や昨年度勃発したイスラエルとハマスの衝突など、世界情勢はより一層緊迫化しています。「戦争はよくない」というのは簡単ですが、誰にもそれを止められない現実には、価値と価値の共存の難しさや何千年も変わっていない人間の姿が浮き彫りにされています。しかしそのような厳しい中でも、もし私たちにできることがあるとすれば、それは、自分とは異なる価値観を排除するのではなく、理解し、多様な経験をし、これまで誰もがやらなかったようなやり方で価値と価値を「つなぐ」ことにより、新たな価値、新たな境地を見出していくことかもしれません。一見非常に難しいことですが、今は、それを可能にできる人が求められている時代ではないでしょうか。

「世界をつなぐ越境者」には様々な意味が込められています。この言葉を3年間浴びて育った卒業生の皆さんは大きな可能性に満ちています。どうか、自信をもって広い世界に飛び出し、自己実現はもちろん、社会の発展や世界の平和に貢献してほしいと思います。

最後に、高いところからではございますが、保護者の皆様に一言御挨拶を申し上げます。

本日はお子様の御卒業、誠におめでとうございます。高校生活を通して、お子様は立派に成長されました。これから一人の大人として、自分の意志で社会を歩んでいくお子様を、引き続き温かく見守っていただきたく存じます。また、この三年間、物心ともに御支援と御協力を賜りましたことに、厚く御礼申し上げます。

卒業生の皆さん、明日からは、この日吉ケ丘高校が母校となります。いつの日か皆さんそれぞれの「世界をつなぐ越境者」として成長した姿を、見せてくれることを期待いたしまして、式辞といたします。

令和6年3月1日
京都市立日吉ケ丘高等学校長
太山 陽子


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行事予定
4/29 昭和の日
4/30 金曜授業
5/1 分野別講演会(2年LHR)    SC
5/2 留学ガイダンス(希望者)
5/3 憲法記念日
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