京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/26
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花から華へ


3月2日(月)午前10時から、本校アリーナにて、第67回卒業証書授与式を挙行いたしました。春の足音が聞こえるこの日に、普通科82名、人間探究科56名、自然探究科112名が卒業式に臨みました。ご多用の中ご臨席くださった関係各位をはじめ、本校を支え、応援して下さる皆様に心より感謝申し上げ、式辞の概要をお伝えします。


14期生の皆さんに,豊かな人生を歩んでいくために必要な能力とは何か。
3つのテーマでお話ししたい。

(1)本校校訓の一つ「友愛」の現代的に解釈と異質な他者との付き合い
 1月の激励会の際に宿題にしていたシャルリ・デュブレの事件とフランス革命のスローガン「リベルテ(自由),エガリテ(平等),フラテルニテ」のフラテルニテを博愛と翻訳することについて,現代のフランスをはじめ西ヨーロッパ諸国が国益として目指す「多文化社会」,ダイバーシティの課題に関わる課題だと考えられるのではないか。「フラテルニテ」ということばは,現代のフランス人にとっても難解であるため,大統領の演説などでも「レスペ・オ・ゾートル」と言い換えられることが多いそうです。「博愛」イコール「仲良くすること」ではなく,「異質な他者を尊重すること」というのが,指導者の意思ではないか。「仲良くする」とか「同じ心を持つ」などという必要はなく,極端に言えば「惜しみ合ったまま」でもかまわないということです。わが国の「同質性の信仰」ともいえる文化に対し,人々の間に多様性や対立があることを前提とし,「社会全体のルールづくり」についても「自由の中での約束・契約」についても,異質な人々が冷静・建設的に議論を行い,相手を打ち負かす技術とは違った,集団意思形成や当事者問合意形成を実現していくために必要な力も大切なのではないか。

(2)胆力と言われる力について
 太宰治が『惜別』にも書いた,魯迅の「藤野先生」は,今のわが国と近隣諸国との諸課題を考えるうえで非常に考えさせられる作品です。この作品には魯迅が医学の道を捨て作家になることを決意した若き日の原点のようなものが語られています。「医学ではなく,文学運動を通じた中国の覚醒」へと向かい,日本の中国への侵攻を批判し,中国の覚醒と「抗日運動」をリードする魯迅にして,「夜ごと,仕事に疲れてなまけたくなるとき,仰いで灯火のなかに,彼の黒い,痩せた,今にも抑揚のひどい口調で語り出しそうな頗を眺めやると,たちまち私は良心を発し,かつ男気を加えられる」と机の前に藤野先生の写真を貼ったと書いています。決して温厚で篤実な人というわけではなかったようですが,それでも貧乏な患者からは診療費をとらなかったことといい,雨の中を「笠とゴザを着て往診の途中に倒れて,翌朝亡くなった」という話が,この人の人生を象徴するものだと思います。かつてわが国には,こういう人物が数多く存在していたのです。周辺の時代の空気が,日清戦争から日露戦争に向かい,中国を蔑視している雰囲気の中での,本人の記憶にも残らないほどの些細な判断に,民族の理性や品格が滲み出るのであり,それ胆識というのではないかと思います。

(3)効率性や失敗しない「処理能力の速い脳」と「強い脳」についてとまとめ
 「ミスター半導体」といわれた西澤潤一先生は東北大学の工学部1年生で終戦を迎え,これからのわが国が食べて,生きていくためには,製造業,それもよそでは絶対につくられていないものを創造するのが工学部の使命であり,わが国を自立させるためにそれしかないと,真剣に考えられたそうです。それにいたるまでの研究生活は困難の連続で,前例のない研究でしたから潤沢な研究費もなく,最低条件で常に研究を続けてきた結果の発明だったようです。曰く,振り返るとそういった過酷な環境がかえってよかったと。高価な実験装置が購入できないので自分で造るしかない。しかし企業と同じものをつくっていては勝負にならない。新しい原理,新しい機構を開発しなければならない環境にいたことが独創的な研究につながったとおっしゃる。このいわば「強い頭」はどのように形成されるのでしょうか。基礎研究でも応用的な研究でも,裏付けを取り,常識と言われていることでも自分の頭できちんと考え,自ら検証し,さらに研究を積み重ねる。こういった愚直な仕事の基礎があって「強い頭」が形成され,物事をとことん突き詰めて考え,常にあきらめず,自分を見失わない。「強い頭」は独創的な研究に必要なだけではなく,探究的で豊かな人生を送るためにも大切なことだと結論付けておられます。
 立花隆は,その著『東大生はバカになったか』で「教養とは何かを抽象的に論ずるならば,それは『人類社会の遺産相続』の問題であるということができます。そして大学の使命というのは,そのような遺産相続人を時間をかけて育てることであり,学生の側からすれば,その遺産を相続するに足る資格を大学の教育を通じて得るということです」と述べています。ここで考えてほしいのは,現実的に「知的な遺産相続」とは,生身の人間として生身の人間に出会うことによって啓発され触発されるものではないかということです。つまり,誰と出会うかが決定的なのではないかと。評論とと現実のギャップについて,若者は大人の判断の背後にある欺瞞をじっと見抜こうとしているはずです。人間の力と学問の力がこれまで歴史を推し進めてきたとするなら,歴史的転換点に立たされた世界の状況と学問もまた,人類史の発展を阻止している国際的規模での諸関係,世界的な諸要因を否定し,飛躍的展開を遂げるのが人類の新たな英知でなければなりません。歴史の歯車を前に推し進めるとき,学問はその真価を発揮することと思います。若者らしい知的欲求と人類の行方を思う熱い心は,炎となり,その実現の志を胸に,若者たちは巣立って行きます。転換期世界の今日,若者は悩み,叫び,走り,翔ぼうとしています。つぼみを咲かせようとしています。この若者たちの熱い思いに応えられる高校・大学教育が求められており,私ども教育者もまた,これに応えられなければなりません。これが探究に未来の若者の英知と志を育むことに意欲をかきたてられる所以です。学び続け,学び直す探究の旅,そのことにより,若者は自らの情熱の方向と生き方を学び,知的訓練を通して新しい知的世界を切り開いていくことと確信しております。それは現代史を担う若者と学問の歴史的使命のように思えてなりません。
花の14期生のみなさん,華のある探究の旅へ

平成27年3月2日 第67回卒業式 京都市立堀川高等学校長 恩田 徹


上:14期生が入場
中:皆勤賞授与
下:卒業生の言葉
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失敗も糧に

 前期選抜の発表に際して,本校を志願してくれた中学生のみなさんにお伝えしたいことがあります。
 昨年の4月以降,様々な学校説明会や相談会の場でお会いした皆さん,とりわけ7月末と11月の本校での説明会に来てくれた皆さん,私どもは,その際のアンケートで書いていただいていた皆さんの本校に対する熱い思いに感動を覚え,「このような中学生にぜひ来てほしい」と思うと同時に,期待に応える教育の改革推進に背中をおされる思いでおりました。選抜の結果とはいえ,残念ながら不合格となった皆さんの落胆と次に向けた頑張りに心からエールを送りたいと思います。京都市・乙訓通学圏の皆さんは中期選抜で本校にチャレンジする機会がありますので,是非前向きに検討してください。それ以外の通学圏の皆さんは本当に残念ですが,切り替えて,どうか頑張りぬいてください。
 前期で合格が決まった皆さんは,どうか合格がゴールと考えずに,残念ながら不合格となった仲間の分まで学び続ける決意をしてください。それぞれの中学校の仲間の一人一人が胸を張って笑顔で卒業式を迎えられる,その一員として責任を果たしてください。

 学校長 恩田徹

「英華発外」

 14期生,「花」学年は,すでに進路の決まっている人も,これから決めていく人も,堀川を旅立ち自立に向けて挑戦し続ける残りの時間を,自分自身の手でよいものにしていく決意です。
 被災地への対応はもとより,わが国の将来について,どう考えたらよいのか,どう行動したらよいのか,そのような中で入学してきた14期生に,名づけ親にあたる荒瀬克己元校長先生は,希望という言葉を「花」に託されたと聞いております。
 この旗に込めた「千紫万紅」は,一人ひとりの特色が発揮できる場,つぼみから花へと咲き乱れる学年であってほしい。そして一人ひとりの内面のすぐれた才能や精神や美しさなどが外に発信され,そして他人の役に立ってほしい。他人と違うそれぞれの才能を世の中の役に立てることで「花から華」に思いを込めました。
 ピッチに出る前に,100%決まっていないと安心できないのは並みのアスリートといわれます。あれもやっておけばよかったとか,まだ不安。しかし,100%の準備なんか,高みを目指せばありえないと,腹をくくって,出来ることをやりながら,適応し,試合の中で進化するのが一流のアスリートです。みなさんもそうあってほしい。
 幾多の大きな山場,重圧,困難が待っているでしょうが,ヌ・ソム・デ・フルール,君たちならできるはず。
 立ち向かっていこうではありませんか。これからの行動が過去と現在を決めていきます。自立,卒業に向けて,
 14期生をはじめ,堀高生一人ひとりのチャレンジを心から応援します。


学校長 恩田徹

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つぼみから花,花から華へ

 校長の恩田です。ネットワーク整備のため,2014年最後の更新となります。
本年,大変お世話になりました皆様に心から感謝申し上げますとともに,2015年が堀川高校にとって挑戦し甲斐のある年となるよう精いっぱい頑張ります。進路探究に驀進する「花」の14期生を先頭に「自立する18歳」を目指す堀高生を応援してくださるようお願い申し上げます。皆様よいお年を。
 サッカーを通していくつかメッセージを出させていただいておりましたが,何のためにサッカーをしてきたのか,自立した人間なるためではないのか,このことに向き合いたかったことも理由の一つです。サッカーに限らずスポーツは,できなかった(見えなかった)ことができる(見える)ようになる,とか,どこまで頑張れたとか,次に困難な場面に出くわしても大丈夫,といった応用が効くような自分への誇りがあったと思います。勝利へのこだわりもありますが,どちらかを選べと言われると,私は自立した人間としての誇りをもてるようになることの方をとります。集中し,考えている以上のパフォーマンス発揮につながるような経験,自分の限界を超える感覚を経験し覚えることは至上の喜びです。緊張していたのに,今までに味わったことのない充実感,達成感,大舞台で普段と異なる感覚でチャレンジした結果,飛躍的な結果を手に入れ,土壇場で自分自身も知らなかったものすごい力を発揮して想像を超える結果にたどり着く。
 勉強も同じ。「花」の14期生,浪人して頑張っている卒業生にも乗り越えてほしい。

校長 恩田 徹

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リスクをとってシュートを狙うチャレンジ

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校長の恩田です。学校閉鎖期間が終わったとはいえ,まだお盆真っ只中の16日の土曜日。それにもかかわらず,生徒たちは文化祭準備に熱心に取組んでいます。サッカーネタで2回にわけて,これからの教育について考えたことを書かせていただきたいと思います。
3対2の有利な状況だったのにシュートまで持ち込めないとか,ファーストタッチがまずくて2対2の状況に追い込まれていたりするなど,とにかくシュートに持ち込むうえで大切なスキルを身につけなければ世界で戦っていけないことが今回のW杯であらためて明らかになりました。相手ボールになると,シュートを打つこと自体に失敗の原因を求めてしまい,子どもたちが思い切ってゴールを狙うということ対してに躊躇うのは当然です。
 今回優勝したドイツの若手選手育成は2000年ころから先進的になり,アタッキングサード(相手ゴール側の3分の1のエリア)に侵入してシュートを狙わない選手は監督やコーチから厳しく指導を受けるようになりました。もちろん,闇雲にシュートを打つわけではありません。ゴールを狙う「スイッチ」を入れる瞬間を逃さないサッカー観を育成し,そこでいざ勝負となれば,逃げずに必ずシュートまでもっていく。そういうことを試合だけでなく,練習から行動に起こせるような指導に変えたと聞きました。試合の評価が「今日のボール回しはよかった」ではすまなくなったといえます。
もしかして,「学校」から「社会」,「学ぶこと」から「はたらくこと」への移行についても,「ボール回し」が多すぎるのではないでしょうか。本校の取組も「リスクをとる探究者」育成に向かってさらなる脱皮が求められているのではないかと感じています。
 生徒は毎回テンションが異なることも想定に入れるべきですし,1分1秒ごとに変化する繊細な心の持ち主です。失敗してもチャレンジしたことをほめる心の広さと,成果を出した喜びを実感できるのが本校の探究活動。その活動には「高みを目指す」からこそプレッシャーがあり,かつ高度な判断力を必要とします。教師も人間だからうまくいかない指導をしてしまうこともあります。そんなときは生徒に素直な感想を聞いてもいいと思います。

なぜ学ぶのか

 校長の恩田です。7月3日(木),人権学習の一環で演劇「知覧のさくら」を鑑賞しました。事前学習も含め,人権について主体的に考える貴重な機会でした。
 「学ぶこと」について少しだけこの機会を通して伝えたいと思います。
学徒出陣で応召した学生たちの中には,出撃の直前まで専門書を手放さなかった者がたくさんいた,という話を聞いたことがございました。劇中の宮原少尉が見事に演じておられました。専門研究が軍隊での技能に大いに役立ち,彼の昇進や延命に役立てるためでないことは明白でしょう。むしろ,そのような知的活動の価値が軍隊,とりわけ戦場では評価されないことはほぼ確実だと思います。ということは,もはや役に立たないことが明らかであるがゆえに,彼らの知的渇望が高まったと考える方が説得力を持つのではないかと思います。
 「どのくらい勉強すれば,どのような職業に就けるか」の相関があった時代から学習時間が激減したといわれます。しかし,学習意欲については,ある職業に就ける確率が上がれば人間の学習意欲が上がり,その確率が下がれば学習意欲が下がる,というほど簡単ではないように思います。先ほどの学徒動員の学生は,専門を活かせる仕事を志していたが,軍隊で死ぬ運命を目前にし,夢が断たれようとしていても彼の学習意欲をそれほどには損なわなかった。というのは,「結果と評価に対する不安」よりも,「自分がやりたいことを思い切りできるいまこの瞬間」を優先させたのではないか。「こうやって勉強していれば,きっといつか『いいこと』がある」という未来予測の確かさに支えられて勉強していたわけではなく,「こうして勉強できるという『いいこと』が経験できるのは,いまだけかも知れない」という未来が絶望的であるがゆえに勉強していたのではないか。学問研究というのは,そういうものではないかと思うのですが,どうでしょうか。
 学習意欲には,「努力に対する将来のリターン」の期待だけではなく,「努力そのものから得られる知的快感」も大きいということではないか。そして,たぶんいまの学校教育や学力問題への課題について,本校が最も伝えないといけないことの一つが,「学ぶことそれ自体がもたらす快感」だということ。単なる進学校ではなく,学ぶこと自体を楽しみにできる学校らしい学校,これを取組を通して発信していきたく存じます。
 劇団自由人会代表の森もりこ様には貴重な時間を割いて対応してくださり,心より感謝申し上げます。せりふに「探究」を使ってくださり感謝感激です。戦争はもとより,我が国と世界の在り方について,宗教観も含めて考え抜く宿題をいただきました。
 知識をこえて「感じた」思いを「言葉」にし,言葉を「かたち」にチャレンジしていこうではありませんか。写真は当日の夕刻よりお話しする機会を与えてくださったEDU・LABO教育イノベーション開発研究所での様子を使わせていただきました。

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闘争でしか身につかない能力もある

 校長の恩田です。縁ありまして,高体連のサッカー専門部長を仰せつかっております。6月8日(日)はインタハイ京都府予選3位決定戦と決勝がございました。優勝した京都橘高校は,京都の代表として,また準優勝だった立命館宇治高校,第3位の久御山高校が近畿大会でリベンジを果たし,しかも優勝する快挙を期待したいものです。捲土重来,失敗から学ぶ精神で二回り以上進化,成長を遂げて,新年を飾る高校選手権で日本一を目指してほしいと願っています。撮影してくれた高体連の委員で本校サッカー部監督の木村彰吾先生ありがとうございます。
 さて,コミュニケーション力の重要性はサッカーでも例外ではありません。一つに,伝えるだけではなく,コミュニケーションのゴールが伝えたい相手の行動でないと結果は出ません。二つに,チーム全体が優先してなすべきこと,なさざるべきことを共有し,一丸となっていないと成果は必然となりえません。世界最高水準のプロであっても,これから始まるW杯の長丁場の闘いで軍団化しているかどうかが最後は問われます。地元であるが故のプレッシャーと64年前の失敗をカナリア軍団として乗り越えることができるのか。前回王者スペインが成功体験に酔わず,前回の成果をブレイクするようなチャレンジングなチームに仕上げてくるかどうか。この2チームは予選の結果次第でベスト16の初戦で対戦することも考えられる一方で,ドローに恵まれたドイツとアルゼンチンがベストパフォーマンスをベスト4以上で発揮できるか,このように絵に描いた通りにいかないのがサッカーの現実です。わがサムライ・ブルーにも頑張ってほしいのですが,トップ5といわれるチームと比べて欠けているのが,PK戦も含めた負け方のなさであります。チームとしてのコンセプト,理念を創造するうえで,決定的に劣っているのがテレビ等のサッカー解説の質,またはそれを演出できないマスコミ事情ではないかと思いますが,どうでしょうか。
 体罰に象徴される「勝利至上」は,実は勝利から遠く離れた場所にあるのではないでしょうか。本校のようなごく普通の運動部においては,指導者が部員の尊厳を敬うことなしに「勝利追求」は実現しません。高い目標を掲げるほどに襲いかかる難問や挫折に立ち向かう主体的な態度を身につけさせ,それを監督やコーチや部長が共有し挑戦すべきではないでしょうか。ルールとフェアの違いもスポーツに真摯に取り組むことで身につけられる資質の一つです。世の中では合法か非合法かを問われます。しかし,スポーツの場では,合法だとしても「ズル」や「汚いこと」をすれば尊敬されません。得をしても,自分があとから嫌な気持ちにならない人がいることも事実かもしれませんが,得をし,有利になることに線を引き,闘争の場にあっても「きれい」であることを追及することこそスポーツの人間形成の強みではないでしょうか。

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堀川高校「学校いじめ防止基本方針」

平成26年度京都市立堀川高等学校
「学校いじめ防止基本方針」


https://cms.edu.city.kyoto.jp/weblog/files/3006...


ひと月遅れのご挨拶

 新しい校長の恩田徹と申します。始業式で生徒の前では申しましたが,年明けのイタリアのメディアでは私の名前が頻繁に登場したと聞きました。イタリア語はもとよりフランス語,スペイン語などラテン系言語では語頭のHは発音しないので,それはACミランに移籍した本田圭介のことです。私はHondaではなく,純粋Ondaです。どうかよろしくお願いいたします。

○1か月が過ぎました
 ・全国から注目される高校に転任してまいりましてひと月の間,とてつもないプレッシャーと重圧を感じる毎日でした。それらをエネルギーに転換し,跳ね返し,そこから自分らしさと私なりのこだわりを100%発揮できるように心がけてまいります。ウェルカム困難,サンキュー重圧の精神で,生徒,教職員が来ていて誇れる学校生活,誇れる職場を創造していきます。
 ・「周りから嫌われたくない」「ソーシャルネットワークの世界で自分だけ浮いてしまって,村八分になるのが怖い」「彼女にするのに,一番人気の人は避け,第2,第3志望を選ぶ」こういった風潮があると聞きます。皆さん,一度の人生,第一志望に臨む人生を選んで下さい。第一志望に集中すると,決断が速くなり,結果,自分の時間も生み出せます。それが出来ないと,常に,他と比べて迷うことが多くなり,失敗や挫折に責任が果たせず,言い訳や愚痴が出ます。

○人間は自分が発した言葉通りの人生を歩んでいくもの
 ・人生は出会った言葉の質と量で決まるのではないでしょうか。だからこそ,たくさんのよい言葉のシャワーを浴びておくことが大事です。
 ・そこで,9つの禁句。(1)聞いてません,教えてもらっていません(普通の人は聞きたくないこと,見たくないことは聞こえなかったり,見えなくなったりします。自分から質問することが肝心) (2)上が(または先生が)バカでやってらんない(もう立派なオヤジの仲間入り。社会では,もし,相手が切れものだったらこんな人は即クビ) (3)時間がない(核心から逃げる人の常套句,チャンスを自分で放棄) (4)ねえ,ちょっと聞いて(井戸端会議,ひそひそ話。本気で提案を通したいなら,愚痴を言うエネルギーをチャレンジに変えろ) (5)ゆっくり検討します(決断できないか,断ることが出来ないから先延ばしするのか,ここ一番では,決断力。断るのも即断の方がかえって信用される) (6)電車が遅れまして(本当なのだが,ギリギリで行動している側に非がある) (7)今,やるところです(まずを謝罪すること) (8)あきませんか,やっぱり(断られるのに慣れてしまい,押せばいいのに自己規制。恋愛でも負ける) (9)別に,どっちでも(発した瞬間に周囲とのコミュニケーションが遮断,重大な選択を他人のせいにする)
 
 おじいさん・おばあさんや幼児・児童から,「学校で今、どんなことをしているの?」「探究ってなんなの?」と質問されたとしましょう。おそらく彼・彼女らがききたいのは、どんな学校に通って,何に取り組んでいるかではなく,私たち堀川'sがどんなことにやりがいを感じ、どんなことに喜びを見出しているか,どのように社会に役立つのか,ということではないかと思うのです。原点に立ち返り,「もし堀川高校がなくなったら,社会は何を失いますか?」これに応える教育改革を生徒・教職員が軍団となって取り組んでいきたいと思います。

  校 長 恩田 徹

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「空」へ −志の羽をひろげ,しなやかに,したたかに−

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晴れやかに,入学式を挙行いたしました。ご多用の中ご臨席くださった関係各位をはじめ,本校を支え,応援してくださる皆様に心より感謝申し上げ,式辞の概要をお伝えいたします。

○共有すべき伝統
創設以来106年間,変わることなく受け継がれる自主自立の精神をもった「若き狩人」のマインドを引き継ぎ,私も含めて,新しく堀川の一員となったものが共有すべき歴史と伝統。2008年の創立100周年の際,生徒会が提案し採択された堀川高校憲章の言葉「ひとつになる,高みを目指す,ひとりになる」。アトリウムに掲げた旗に書かれている堀川憲章の精神を,新入生諸君は心に受け止めてほしい。
堀川高校の校訓は「立志・勉励・自主・友愛」。単に覚えるだけでなく,ひとりひとりが自分の課題と目標を具体化,明確化するうえで,適切に解釈し,成果につなげることが大切。
○立志について
皆さんには社会のリーダーとして生きていく方法を学んでほしい。第一歩は意思決定力を身につけること。平たく言えば,自分で選択する力。自分で選んで,責任を果たす。選ぶということは,実は一方を捨てること。捨てたことの分まで頑張り,失敗しても挫折しても選んだ責任を果たす。これがリーダーの第一歩。最大の敵は,考え抜くことをしない態度。考えない癖がつくと,すぐ目の前にあるにもかかわらず,見たくない現実が本当に見えなくなる。これが一番怖い。反対を否定ととらえると孤立し,しばしば極端に陥る。リーダーは面倒なこと,困難なことを多く抱えられる人。しかし,我が国は,頭が良くても意思決定力のない人が多いのも現実。社会に貢献すべきここ一番の頑張りどころで,その苦しい立場を簡単に放棄する人が多いのも現実。逃げ場を残す術も時には必要だが,ここ一番で力を発揮できる意思決定力を持とう。
○自分らしさとこだわりを持つ
他人がリーダーとしてのあなたについていこうとするのは,あなたがどんな価値観を持ち,どんな時に立ち上がり,どんな時に自分を捨ててでも立ち向かいたいと思う人なのか,どんなことに怒りを感じ,何を大切にして生きていこうとしているのか,どんな時に人の支えになろうとするのか,それを感じたときに,他人はあなたをリーダーと認めるもの。国籍や家族構成,出身地や所属を抜きに,あなたの良さ,あなたらしさを表現できる人になってほしい。これがグローバルに生きるための一歩。意思決定力と自分らしさの発揮は,これまでの成果を捨ててでも新しいことにチャレンジし,失敗や挫折を他人のせいにせず,向き合うことでしか生み出せないオリジナリティや独創性,いわば基礎学力以外に社会が求める能力を身に着けること。偏差値が高く,発想力があり,やる気と常識が身につけば鬼に金棒。リスクを背負えるリスクテイカーとして,しなやかで,したたかな社会のリーダーを目指そう。
○「自立」について
自立は孤立ではない。必ず皆さんとともに立つ人がいる。第1回合格者登校日に,学年主任が君たち16期生諸君と交わした三つの約束「学校は学びの場だ「学校は小さな社会だ」「学校は楽しいところだ」を思いだそう。そしてとくに強調された二つ目の「小さな社会だ」について,言葉を大切にする学校,言葉の通じる学校であるということを学校生活で強く意識してほしい。世の中「そんなつもりで言ってません」「そんな意味で言ってません」が蔓延。堀川高校生は常に思いやる想像力を持った言葉の使い手であれ。それは「感じる力」だ。正解が一つではない問いに立ち向かうには,探究すべき目標,その根拠,そのための手段の設定の主体性。やらされ感ではブレイクできない。
○「空」の人たちへ
本館BIG BOXは,THE NEST OF YOUTH,若者たちの巣箱。巣立ちに向け,人と交わり夢の実現に向けて自らを見つめて,力を培うための巣箱。ここで,志という強く,しなやかな羽を身につけ,大空に羽ばたいていこう。雲が垂れ,大雨,嵐のときも,逆風をしたたかに利用して,雲の上まで,まだ見ない未来という「空」に向かって,進もう。 
 16期生の言葉は「空」。志の羽をもって,果てしない可能性の世界「空」に飛び立とう。
平成26年4月8日 京都市立堀川高等学校長 恩田 徹

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行事予定
3/7 PST  1年海外研修結団式  コミカレ「文学歳時記」岸本久美子先生
3/8 マレーシアコース出発〜13日  アメリカコース出発〜16日
3/9 2年学年末考査  ヨーロッパコース出発〜17日
3/10 2年学年末考査  オーストラリアコース出発〜17日  スクールカウンセラー来校日
3/11 2年学年末考査
3/12 2年学年末考査
京都市立堀川高等学校
〒604-8254
京都市中京区東堀川通錦小路上ル四坊堀川町622-2
TEL:075-211-5351
FAX:075-211-8975
E-mail: horikawa@edu.city.kyoto.jp