京都市立学校・幼稚園
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物理的な距離と通い合う心

 ある高校でWeb会議システムzoomを活用した公開授業が実施されるというお知らせを聞き,昨日にその授業を拝見させていただきました。他県の高校で,本校と同じく臨時休業期間中です。高校3年生を対象とした「政治・経済」の授業。受講する生徒は約30名。担当された先生にとってははじめてのzoom授業。
 「教師がはじめてzoomで授業をしたらどういうことになるか」ということをテーマの1つとし,その様子を校内外の先生方に公開して,できることとできないことを考えていきましょう,というお誘いでした。「人との物理的な距離social distance」がある中で「心通わせ合うclose education」に挑もうとされる先生の意欲と,新たな授業の可能性を模索しようとされる好奇心に,私は吸い寄せられてしまいました。
 授業は,新型コロナウイルスによる困難を乗り越えた後の世界を題材とし,ともに生きる私たちは“ポスト・コロナ時代”をどのように描くのかを考察するというものでした。先生と生徒のやりとりはもちろん,チャット機能を使って生徒の意見を集約したり,途中で英語や数学の先生が登場してその専門的見地から解説したり。画面に映る生徒たちは基本的には自分の部屋で授業を受けていますが,ある生徒は自分の代わりにお家の犬をちょこんと椅子に座らせて,まるで犬が授業を受けているように見せてみたり,またある生徒は先生の「聞こえたら手を挙げて」という問いかけに対して「いいね!」サインで返してみたり。生徒たちは授業を渇望していたのでしょう。先生とともに楽しんでいる様子でした。一方,予定していたグループワークができなくて困ってしまう場面も見られました。
 授業は生き物です。その先生は授業を「舞台芸術」と表現されていました。シナリオがある一方,ハプニングも生じる。体を使って演じる技や大小の道具を活用する術を身につけることは重要です。でも,表現を通して伝えたいこと,届けたいものは何か,そしてそれをそれぞれの教師ならではのストーリーで生徒の頭と心にどのように響かせるのか,ということがより大切だと思います。通じ合えたときには,人とのつながりがまた強くなり,学ぼうとする意欲が増すことにもなるのだろうと思います。大変勉強をさせていただきました。
 堀川高校では,ある学年が,生徒にも参加をよびかけて,明日はじめて試行的にzoomを使用します。その先生たちは今日,それに向けた予備実験を行っていました。「みんながガヤガヤしてうるさくなったらどう操作するの?」「生徒1人だけにしゃべってもらうにはどこを押すの?」「生徒をグループに分ける方法は?」など,1つ1つが悩ましい。でも,わからないこともあるけど,まずやってみる。ただのスキルアップだけを目的とするわけではなく,先生の声や生徒どうしが話す機会を届けたい,という先生たちの想いです。本校でzoom授業を実施するにはまだ少しハードルがありますが,SHRなどの実施から段階的に進めていきたいと考えています。
 12日には,多くの先生たちで郵送の準備を行いました。すべてのHR教室を使って,3学年一斉に郵送する資料の仕分けと袋詰め。ある学年の作業が終われば,その先生たちは階段を昇り降りして別の学年のヘルプへ。事務室にいる職員たちも大変活躍してくれました。ありがたい。その作業の様子をHPでご覧になったある保護者の方からは,「届きました」という感謝の言葉をいただきました。これもまた,ありがたいことです。
 最初にあげた,zoom授業をなさった先生が授業の最後に,「このやり方より,やっぱりみんなの前で授業がしたいなあ」といった本音を生徒に伝えておられたのが印象的でした。生徒への信頼があるからこそ出てくるこの言葉。私たちも1日でも早く,みなさんとともに授業を創ることができる日を楽しみにしています。
 stay homeも大切,ただそんな中でもstay openでありたい。あともう少しです。

橋詰 忍

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行事予定
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1/8 月曜振替授業
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