京都市立学校・幼稚園
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なぜ学ぶのか

 校長の恩田です。7月3日(木),人権学習の一環で演劇「知覧のさくら」を鑑賞しました。事前学習も含め,人権について主体的に考える貴重な機会でした。
 「学ぶこと」について少しだけこの機会を通して伝えたいと思います。
学徒出陣で応召した学生たちの中には,出撃の直前まで専門書を手放さなかった者がたくさんいた,という話を聞いたことがございました。劇中の宮原少尉が見事に演じておられました。専門研究が軍隊での技能に大いに役立ち,彼の昇進や延命に役立てるためでないことは明白でしょう。むしろ,そのような知的活動の価値が軍隊,とりわけ戦場では評価されないことはほぼ確実だと思います。ということは,もはや役に立たないことが明らかであるがゆえに,彼らの知的渇望が高まったと考える方が説得力を持つのではないかと思います。
 「どのくらい勉強すれば,どのような職業に就けるか」の相関があった時代から学習時間が激減したといわれます。しかし,学習意欲については,ある職業に就ける確率が上がれば人間の学習意欲が上がり,その確率が下がれば学習意欲が下がる,というほど簡単ではないように思います。先ほどの学徒動員の学生は,専門を活かせる仕事を志していたが,軍隊で死ぬ運命を目前にし,夢が断たれようとしていても彼の学習意欲をそれほどには損なわなかった。というのは,「結果と評価に対する不安」よりも,「自分がやりたいことを思い切りできるいまこの瞬間」を優先させたのではないか。「こうやって勉強していれば,きっといつか『いいこと』がある」という未来予測の確かさに支えられて勉強していたわけではなく,「こうして勉強できるという『いいこと』が経験できるのは,いまだけかも知れない」という未来が絶望的であるがゆえに勉強していたのではないか。学問研究というのは,そういうものではないかと思うのですが,どうでしょうか。
 学習意欲には,「努力に対する将来のリターン」の期待だけではなく,「努力そのものから得られる知的快感」も大きいということではないか。そして,たぶんいまの学校教育や学力問題への課題について,本校が最も伝えないといけないことの一つが,「学ぶことそれ自体がもたらす快感」だということ。単なる進学校ではなく,学ぶこと自体を楽しみにできる学校らしい学校,これを取組を通して発信していきたく存じます。
 劇団自由人会代表の森もりこ様には貴重な時間を割いて対応してくださり,心より感謝申し上げます。せりふに「探究」を使ってくださり感謝感激です。戦争はもとより,我が国と世界の在り方について,宗教観も含めて考え抜く宿題をいただきました。
 知識をこえて「感じた」思いを「言葉」にし,言葉を「かたち」にチャレンジしていこうではありませんか。写真は当日の夕刻よりお話しする機会を与えてくださったEDU・LABO教育イノベーション開発研究所での様子を使わせていただきました。

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行事予定
11/20 第15回教育研究大会(SSH研究開発報告会) 5・6限の授業
11/21 3年1類後記中間・2類、探究科考査 〜28日
11/22 第5回土曜テスト  PST  2年コミカレ(二九 良三氏)
11/23 勤労感謝の日
11/24 振替休日
11/25 1・2年月曜振替授業
京都市立堀川高等学校
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