京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/26
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4月29日(月・祝)14:00〜 管楽アンサンブルコンサート 5月2日(木)18:00〜 弦楽アンサンブルコンサート を本校ホールにて実施します。入場無料・全席自由です。 詳しくは「カテゴリ」の「コンサート」をクリックしてください。本校生徒の演奏をぜひお聴きください。ご来場お待ちしております!  

第4回卒業式 式辞

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  弥生3月を明日にひかえても、風はまだ寒く、冬は未だ去らず。されど、日はやや長くなり、時には暖かい風も。また 本校東門に植えられた寒紅梅のつぼみも少しほころび始め、ようやく春の到来は遠くないなと期待できる時節となりました。
  本日は、京都市教育委員会より学校指導課太山指導主事様、PTA音友会石田会長ならびに役員の皆様、京都堀音同窓会藤本会長ならびに副会長様、堀音父母の会後藤会長様、城巽自治連合会会長宮崎様のご臨席を賜り、ここに、京都市立京都堀川音楽高等学校第4回卒業証書授与式を挙行できますことを厚く御礼申し上げます。
  ただ今、京都堀川音楽高等学校第65期生40名に卒業証書を授与いたしました。めでたくこの日を迎えた卒業生の皆さん、「卒業おめでとう」。本日受験のため、やむを得ず式に出席できない卒業生もいますが、健闘を祈りつつ、ともに卒業を祝福したいと思います。 また、保護者の皆様におかれましては、本日のお子様のご卒業誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。ご家族を含め、これまでの道のりはけっして平坦なものではなかったであろうと拝察いたしますだけに、今日の晴れの日をむかえられ、感慨も一入のことと存じます。ご入学以来、本校の教育活動にご理解をいただき、様々なご支援を賜りましたことを、心より感謝いたします。ありがとうございました。
  さて、卒業生の皆さんは、今からちょうど3年前、本校への入学を果たしました。それは、この城巽の地に新築移転し、校名も改称され新たな一歩を踏み出した「京都堀川音楽高校」が、その2年目をむかえる年であり、また、あの東日本大震災発生の直後でもありました。特に同じ志を持ちながら被災された高校生やご家族に心を寄せながら、君たちは、3年間、60数年の歴史と伝統を誇る、この名門音楽高校で、先輩たちの後に続き、音楽の専攻実技や専門知識はもとより、普通教科の学力と教養、将来社会を生き抜くために必要な力を培ってきました。加えて、最新の恵まれた施設の中で、様々な行事や取り組みを通して仲間とともに、経験を積み重ね、新たな歴史を刻んできました。実技試験、オーケストラ定期演奏会、音高祭、ヨーロッパ研修旅行、等々、それぞれの経験、その度ごとに、まちがいなく大きく成長をとげてきた学年といって過言ではないと思います。
  センター試験の前日、40名全員が顔をそろえ、お互いに今後の健闘を誓いあった最後のLHRは、いろいろな意味で、本当に価値ある素晴らしいものでした。学校生活における様々な経験を通して、こころとこころを合わせ、ともに成長してくれたことを誇りに思います。その際、校長から君達へのエールとして、吉田松陰先生の言葉を紹介し、「未来」と揮毫した大書を示しました。『一瞬の前は過去なり。一瞬の後は未来なり。二者を去らば即ち現世なるもの幾ばくぞや。しかるに世の人、其の暫しの苦に堪へずして、其の久しき楽を失ふは、何ぞや。』 〜 苦しみが大きい時はその後にくる喜びも大きく、苦が小さい時は喜びも小さい。一瞬の前は過去で、一瞬の後は未来。現世の長さなどどれほどのものか。どんなに苦しくとも、その後にこれを思い返せば一笑するのみ。この道理を理解せず、短い苦に耐えかねて永遠の喜びを失う者のいかに多いことか 〜 松陰先生は門弟にこう話したといいます。 未来の「未」の文字は、木々がこの先さらに枝を伸ばして成長していく可能性を形であらわしたものであり、未来の「来」の文字は、もともとは麦の穂が垂れた姿をあらわしたもの。文字通り、卒業生40名の「未来」と、そしてその豊かな実りへの期待や可能性は無限に広がっています。まだまだ道は長く険しく、 楽しいことばかりでない苦悩の連続かもしれませんし、そもそも芸術の道は、一生かかっても窮まることの無いものを敢えて追いかける 「無窮を追う」ものなのでしょう。だからこそ 君達には、明るい未来を見据え、時間を無駄にすることなく、しっかりとした足取りで旅を続けてほしいと思うのです。 様々な出会いや経験、すべてがひとつに繋がり、力となって、時には軌跡を起こすことだってあるはずです。高校時代、保護者や地域の方々はもとより、先生方や先輩方、関係機関・団体等の大きな支援があっということをけっして忘れず、これからは、その感謝と誇りを胸に、大きく羽ばたいていってほしいと願います。校歌「海を遠く」にあるように、『たたんだ翼をひろげ、その翼が巻き起こす風をしたがえ、世界の静まる中で、響き出す、本物のかがやきへ、おそれずに』向かっていってください。挑戦してこそ道は開けます。ただし、「本物に近道なし。」この先に待ち受けている世の中は、けっして甘いものではありません。高校時代とちがい、数々の試練に一人で立ち向かい、挑戦していかなければなりません。人に求めるだけでは自分も世の中も変わりません。本当に変えたいなら自ら考え、思い切って行動することです。まして、君たちは、「音楽」という、大きな財産と力と、そして可能性を持っています。根拠は十分にあるのです。自信を持って羽ばたき、未来を切り開いていってほしいと思います。しかしそれも、時に翼を休め、補給する「安全な基地」があってこそできることでしょう。その基地とは、当然家族という絆であり、また、共通の夢や目標をもつ友人同士が切磋琢磨して創り上げた、この京都堀川音楽高校という強い絆でもあるはずです。卒業後もずっと母校を基地とし、時には出発点にもどり、また時には後輩たちを叱咤激励し、我々に力を貸してほしいと思います。
  さて、現代の社会は、情報化時代といわれて久しく、「時間」の流れはあまりに速く、世の中の変化とそのスピードに対応していくことの非常に困難な時代だと言わざるをえません。政治、経済、文化、教育、様々な分野で諸問題が浮き彫りとなり、毎日のようにマスコミにも取り上げられています。地球規模で人間の未来を見つめる心と力が必要です。だからこそ、落ち着いてしっかりと物事の真理を求めて生きてゆく姿勢が不可欠です。一口に「時間」といっても、物理的な時間と生物的な時間の長さはちがうと思います。芸術は、すべてのつくりごとの中で、時空を超えたところにある、もっとも美しいつくりごとだと言います。そして「音楽」は、まさに敢えてその「時間」を音の表現として創り上げる芸術。時代はどのように移ろうとも、音楽文化のもつ力は永久に不変です。せわしい、混沌とした時代だからこそ、君達には、音楽を追求し発信することの価値や可能性を模索し、提示し続けてほしいと心から願っています。
  最後に、君たちへのはなむけの言葉として、辻井喬氏の詩を贈ります。
『 もの総て 変わりゆく 音もなく 思索せよ 旅に出よ ただ一人 鈴あらば 鈴鳴らせ りん凛と 』
第65期生の「未来」に幸多かれと祈念するとともに、美しく、そして確かな鈴の音が、日本の、世界のあちこちから聴こえてくる日を楽しみにしています。

平成26年2月28日
                         京都市立京都堀川音楽高等学校
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