京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/27
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「美術を学ぶ」から「美術で学ぶ」学校へ。美工(美術工芸高校)は、生徒たちに未来必要な力を身に付けさせる教育活動を展開しています。

(アーカイブ2016年12月12日) 他者を感じる 他者に想いを馳せる

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 11月末に、全国高等学校長協会 人権教育研究協議会 熊本大会が開催され、参加してきました。研究協議会は月曜日の午後からでしたが、熊本へは前日の日曜日に入りました。それは、震災によって損壊した熊本城の状況を見たかったこと、もう一つは、本校生徒が行った2回目の熊本震災復興支援募金活動で集まった募金を直接熊本県庁へ届けるためです。熊本到着後熊本城へ向かいましたが、現在中へ入ることはできません。堀より外の駐車場や周辺道路からしか見ることはできませんが、それでも城壁の崩落や天守閣の損壊がはっきり見えました。明治初めにも地震の被害を受けたそうですが、今回の被害は、17世紀初めに加藤清正が築城して以来最大の規模だそうです。そして築石の修復は、震災前の写真や図面をもとにすべて番号をつけて位置を特定した上でもとに戻すため、周りの建造物の復旧も含めて城の復興には約20年かかるとのことでした。翌日午前中に熊本県庁へ出向き、募金を渡した担当主任の方からも復興事業のたいへんさを聞きました。熊本城は単に歴史的建造物、観光の名所だけでなく、熊本の人々にとって日常生活とともにあるシンボルであり、永きに渡り損壊の姿を目にし続けることの哀しみはいかばかりかと思いました。

 先日、NHKのETV特集で「15歳 私たちが見つけたもの 熊本震災 3年3組の半年」を観ました。私は今回熊本市内のごく一部しか見ていませんが、番組では震源地となった益城町の中学生が取り上げられていました。震災の甚大な被害の映像は重いものでした。震災のあと、我が家に住めず離れたところに住むことを余儀なくされた、あるいは違う中学校へ一時通わなければならなかった中学生。授業や行事、クラブ活動、そして進路。中学生最後の大切な時期に “日常”が一瞬にして寸断され、思いもしなかった生活を送ることになった中学生の葛藤や悩み、苦しみ、そして様々なきっかけでそれを乗り越える力を呼び醒ます姿を観ました。この厳しい状況で支えになっていたのは、人と人の繋がりと思いやりです。地域にとって子どもや学校はとても大切な存在であるということも改めて痛感しました。損壊した我が家が解体される日、中学生が言葉で表せないような哀しい眼差しで見つめる中、祖母が「積み上げていくのはたいへんだけど崩すのは簡単」と言った言葉が印象に残っています。

 “当たり前の日常”に浸かり切っていてその“日常”の中にある大事なものに気づかなかったり、軽く流してはいないだろうか、その大事なものをかけがえのないものだと認識しながらしっかり守っていくことで、“特別”な出来事、“非日常”に遭遇した時にそれを乗り越える力を引き出せるのだと思います。映像の中で様々な壁に直面する中学生が、それを乗り越えて成長する姿を観ていると、乗り越える支えになっているのは、言葉でのやりとりだけでなく言葉に出さなくても“日常”の中で中学生一人ひとりの中に醸成されてきた他者を感じる力、他者に想いを馳せる力ではないかと思いました。

 本校生徒の東日本大震災、熊本震災への復興支援の活動は今も続いています。“特別”な出来事に対する“特別”な想いと行動をたいへんうれしく思っており、大いに支えていきたいと思っています。加えて“日常”の中で他者を感じる力、他者に想いを馳せる力が生徒の一人ひとりの中に醸成されていくことを願ってやみません。
 
2016年12月12日        
              校長  吉田 功

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行事予定
5/5 こどもの日
5/7 3年学科模試(河合塾)
5/8 生活指導強化週間(〜5/12)3年実技模試(授業中)
5/9 1年美術研修 検尿 3年実技模試(授業中) 3年志望理由書説明会(放課後)
5/10 検尿
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