最新更新日:2024/04/27 | |
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2017年5月1日 鴨川の飛び石私は京阪三条駅から学校に通っていますが、徒歩で川沿いの道を二条大橋まで向かい、橋を渡ってホテル東側を通ります。夏場になると日差しの強さに負けそうになるので、御池大橋を渡って木屋町通りの店の日陰を借りながら高瀬川のせせらぎを聴いて二条通りまで進みます。町なかにありながら豊かな自然と京都ならではの風情を感じ通勤できることを幸せに感じています。真夏と真冬を避けて天気の良い日は時々、鴨川の汀(みぎわ)を眺められる遊歩道に降りて二条大橋をくぐり、鴨川の飛び石を東から西へ渡ります。 「賀茂川」と「高野川」が合流する出町柳付近から下流を「鴨川」と表記しますが、「かもがわ」の飛び石はよく知られているのが4つ。(本当は5つあって西賀茂橋の北に水没しかけのものがあるそうです)。1つ目は、北大路橋の北、「賀茂川」の府立植物園付近に、2つ目は出町柳の合流地点、3つ目は荒神橋の北、そして4つ目が二条大橋の北、わが銅駝美術工芸高校の実習棟の東に見える飛び石です。 この飛び石は、左右にずらして石が置かれているので、単純にまっすぐ渡って進むことはできません。石と石の間は意外と幅があり、普通の歩幅で跨(また)げる感じではなく少し負荷がかかります。さらに石と石の間の水の流れは思っていたよりも速く感じます。石から石へさらりとかっこよく渡ることにこだわる私は、足元を見ながら、普通の歩幅よりちょっと広げる踏ん張りで渡っています。今のところ川にはまって濡れた姿で出勤、という失態は見せていませんが、少し緊張感をもたないと、はまってしまうかもしれません。のんびり歩くようには渡れないという少々の負荷、ささやかな踏ん張りと緊張感、耳に届く川のせせらぎ、頬にあたる川の風。この1分少々の時間がなんとも爽快で、よくぞ勤務先の間近にこの石を置いていただいたものだと感謝しています。(もちろん皆さんに渡ることを推奨しているわけではありません、念のため) 新しい年度が始まって1ヶ月が経ちました。生徒の皆さんは、新しい仲間、新しい教職員、新しい教室、新しい科目と出会って、緊張感や不安、期待や希望、新しいことを経験する負荷を感じてきたことでしょう。高校生活での一歩一歩は、気楽にまっすぐというわけにもいかず、鴨川の飛び石のように右へ左へ、直面する状況に応じて判断し対応しなければなりません。そして踏ん張りの必要な負荷がかかること、水の速さを感じるような胸がキュッとなることもあるでしょう。しかしそれは自分が成長するとき、自分が変わるときに必要なことです。山や川が間近にあって水音や鳥のさえずり、風の温度や強さ弱さを体中で感じながら、その中に身を置いて日々を過ごし、自分を変えていけることは、ありがたいことだと思います。この1ヶ月で経験したこと、感じたこと、そのことを素直に受け入れてください。何ならそれを他の誰かに話してみてください。私にも聞かせてくれませんか。 風薫る5月が始まりました。さあ、新しい風を感じながら、少々踏ん張って、次の石へと川を跨(また)ぎましょう。 2017年5月1日 校長 吉田 功 |
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