京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/05/03
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「美術を学ぶ」から「美術で学ぶ」学校へ。美工(美術工芸高校)は、生徒たちに未来必要な力を身に付けさせる教育活動を展開しています。

第43回卒業式 式辞

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●第43回卒業式 式辞

 木々の芽吹きが始まり、春の息吹を感じる今日の佳き日、令和四年度京都市立銅駝美術工芸高等学校 第四十三回卒業式をかくも盛大に挙行できますことは、卒業生はもとより、教職員にとりましても大きな喜びであります。

 本日、京都市教育委員会をはじめ、PTA役員の皆様、並びに、平素よりご支援をいただいております 美工交友会、京都パレスライオンズクラブ、銅駝自治連合会よりお越しくださいましたご来賓の皆様のご臨席を賜り、卒業生の前途を祝福いただきますことを、心より御礼申し上げます。また、保護者の皆様、お子様の栄えあるご卒業を心よりお喜び申し上げます。

 ただいま、卒業証書を授与されました八十七名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、入学以来たゆまぬ努力を積み重ね、美術工芸の専門高校で三年間の学びを全うし、ここに晴れて卒業の日を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。
 皆さんは明治十三年、一八八〇年に創立された京都府画学校以来一四二年を超える歴史と伝統をもつ美術学校の卒業生として、社会に巣立ちます。その誇りと大きな志をもって、それぞれの新しい道を歩み始めてください。

 さて、今、皆さんが飛び立とうとしている社会は、第四次産業革命とも言われる AI の急速な進化など、技術革新が目覚ましく進展・普及し、超スマート社会 Society5.0が到来します。それに伴い人の働き方や生き方を含めた社会全体の構造までが激しく加速度的に変化しています。具体的にどのように変わっていくのか、その変化の速度や姿は誰にも予測することはできません。そのような時代を生き、時代を切り拓いてほしい皆さんに伝えたいことがあります。

 それは、違う景色に出会い、違う景色を創り出していってほしいということです。それは何かを創り出したり行動を起こしたりする上で必要不可欠な「好奇心」や「わくわく」という気持ちを持ち続けて欲しいということです。皆さんはクリエイターですから、分かってもらえると信じています。
 「違う景色に出会う」ことについて、二つのエピソードをお話しします。
 一つ目は、日本の資産家で、二〇二三年に民間人初の月旅行への挑戦を表明している前澤友作さんについてです。彼は二〇二一年、「ディアムーンプロジェクト」という月に行く計画を発表し、「宇宙へ行くチャンスをより多くの、より多様な人に開きたい」と、同乗者八名を世界中から公募。二四九の国と地域から約百万人の志願者が集まり、実際に前澤さんと一緒に月へ旅立つ八人のクルーが選抜され、昨年末の十二月に発表されました。前澤さんはインタビュー映像の中で、「なぜ月に行くのか」の問いに対し、「理由は三つあり、一つ目は、好奇心。まだ見たことのないもの、行ったことのない場所に行きたい、という好奇心を満たしたい。二つ目は、地球の素晴らしさを改めて感じたい。自分の生まれ育った地球、偉大な地球、ここに改めて感謝したい。三つ目は、自分の小ささ、未熟さを改めて実感したい。そういうことを通して、もっと頑張ろう、もっと成長しよう、きっとそう思えるんじゃないかと思っています。」と答えています。

 理由の一つ目にあった「好奇心」。この好奇心はまさに未知のものに対する「わくわく」した気持ちなのではないでしょうか。この話を聞いて、皆さんはワクワクしましたか。チャンスがあれば月に行ってみたいと思いましたか。私は山に囲まれた土地で過ごしていた幼少の頃から、空を飛ぶ飛行機を眺めては、「あの山の向こうには何があるのだろう。大きくなったら飛行機に乗って、違う世界を見てみたい。できれば外国に行ってみたい。」という思いを抱いていました。大学時代、ようやく夢が叶っておよそ一ヶ月間ヨーロッパに滞在し、様々な文化や多様な人々に出会った日のことを、昨日のように覚えています。その時の肌身で感じた感覚は今でも自分自身の考え方や行動の根幹をなしていると思っています。今やグローバル化が進み、海外へ行くことも当たり前の時代となりました。また、実際に行かなくてもインターネット上でいくらでもバーチャルとして体験することもできます。
 しかし、現実に自分の足で、違う文化や景色に触れることが、それまでの自分自身の価値観や見方・考え方を大きく変えるきっかけになると私は思います。

 エピソードの二つ目は、私の好きな物語の一つに、モンゴメリー夫人が書いた『赤毛のアン』があります。その物語の終盤に主人公アンは、素晴らしい未来を信じてこう言います。「今、その道は、曲がり角に来たのよ。曲がったむこうに、何があるかわからなけど、きっとすばらしい世界があるって信じていくわ。それに曲がり角というのも、心惹かれるわ。曲がった先に、道はどう続いていくのかしら。緑の輝きや、そっときらめく光と影があるかもしれない。新しい景色が広がっているかもしれない。美しいものに出逢うかもしれない。その先でまた道は曲がって、丘や谷があるかもしれない。」
 この物語には、前向きな姿勢と豊かな想像力で様々な困難を乗り越え、新たな世界に向かうアンの姿が描かれており、多くの読者に勇気を与え続けています。アンのように「違う景色を見てみたい」という好奇心は、人を新たな自分へと解き放ち、人生を豊かにしてくれることでしょう。

 知らない世界を見てみたい、訪れてみたいという「好奇心」、それは「わくわく」とした感情であり、今までとは違う景色を見てみたいと思う気持ちに他なりません。この気持ちが心を動かし、発想を豊かにし、何かを生み出したいという原動力となります。本と出会う。人と出会う。知らない土地を旅してみる。今までに経験したことのないようなことを体験する。少しだけいつもとは違う行動が、あなたを体験したことのない世界に導いてくれます。

 先程、私はディアムーンプロジェクトの話をさせていただきました。
クルーに選考された八名はクリエイターやアーティストがほとんどです。いつの時代も、新しい世界をイメージし、創造するのはクリエーターたちです。この月への旅行が実施された後に、彼らがどのようなクリエイティブな提案をしてくれるのかが、私も今から大変楽しみです。
 美工の卒業生となる皆さんもクリエイターの一人です。好奇心を持ち続け、新しい景色を想像し、新しい世界を創り出していって欲しいと切に願っています。家族や世界中の人が幸せを感じられ、他者に優しく世界を創り出してください。

 本校もこの四月、新しい景色の場所へ移り、校名も「美術工芸高等学校」として新たに出発します。我々教職員も在校生も、わくわくした思いと勇気をたずさえて、新しい世界へ旅立ちます。そして、新たな景色を創り出す学校になっていきます。卒業生の皆さんには、校舎が変わり校名が変わっても、美術工芸高校が母校であることには変わりはありません。いつまでも愛し、見守っていてほしいと思います。

 結びに当たり、保護者の皆様、この三年間、本校の教育活動に深いご理解と温かいご協力を賜りましたこと、高い所からではございますが厚くお礼申し上げます。慈しみ大切に育ててこられたお子様の立派に成長されました姿に感慨もひとしおのこととご推察申し上げます。本校での3年間の高校生活を経て、お子様は心身ともにたくましく、頼もしい大人へと成長されました。どうかお子様の輝ける前途を温かく見守り、時には励まし、これからも支えていただきますようにお願いいたします。

 八十七名の卒業生の皆さん、皆さんはこれまで誰も経験したことのなかったコロナ禍の状況を初めてを経験し、素晴らしい対応力で乗り切り、美工での学びを全うされました。そして立派に成長をされました。これらの力を糧に、一人ひとりがそれぞれの道に向かい、力強く旅立ち、その前途が洋々たることを願って式辞といたします。

 令和五年三月一日

        京都市立銅駝美術工芸高等学校長  名和野 新吾


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