京都市立学校・幼稚園
最新更新日:2024/04/27
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「美術を学ぶ」から「美術で学ぶ」学校へ。美工(美術工芸高校)は、生徒たちに未来必要な力を身に付けさせる教育活動を展開しています。

第42回入学式 式辞

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 新緑が輝きを増し,すがすがしい春の風が吹き抜けていく今日の佳き日,PTA会長様をはじめ,平素より本校にご支援をいただいております美工交友会,京都パレスライオンズクラブ,銅駝自治連合会のご来賓の皆様,そして,京都市教育委員会様,多数の保護者の皆様のご臨席を賜り,令和三年度京都市立銅駝美術工芸高等学校,第四十二回入学式を挙行できますことは,誠に大きな喜びであり本校教職員を代表いたしまして,心よりお礼申し上げます。

 ただ今,九十一名の新入生の入学を許可いたしました。まずは新入生の皆さん,ご入学おめでとうございます。教職員一同,皆さんを大切にお迎えしたいと思います。

 保護者の皆様,本日はお子様のご入学,誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。これからの三年間,教職員一同,力を尽くしてお子様の成長を支援してまいります。ご理解,ご協力を賜わりますようお願い申し上げます。

 本校は,明治十三年,一八八〇年に「京都府画学校」として創立され,今年で一四一年目を迎えます。美術工芸科単独の高校として長い歴史と深い伝統をもつ学校であり,本校を卒業された諸先輩方は,美術界,産業界ほか,各方面で活躍されておられます。そして二〇二三年春には,京都駅東側,京都市立芸術大学に隣接し,本校は新築移転されます。新しい歴史が刻まれることになります。皆さんは,本日,晴れてこの歴史と伝統のある学校の生徒になりました。しっかりとした自覚と誇りをもって,志高く学習に取り組んでください。皆さんは,今,期待と不安の交錯する気持ちでこの場所に臨んでいると思います。入学の時のその新鮮な感覚を大切にし,美術専門高校での第一歩を踏み出してください。

 新入生の皆さんは,中学三年生になった丁度一年前,今までに経験したことのない学習状況におかれました。本校でも入学式は実施したものの,六月までのほぼ二ヶ月間コロナウイルス感染症拡大防止のため,臨時休校を余儀なくされました。その間,通常の学習ができず,予定されていた行事なども中止や延期となりました。中学校でも同じような状況であったと推測いたします。そのような中で中学三年生として過ごし,本校受検を目指し各自が本当に多くの不安の中,多くの方に支えられながら,自ら考え,行動した結果としてここにいることは,素晴らしく褒め称えることだと考えます。この一年間に培った力はきっと将来の自分の宝となると確信しています。

 校長として,これからここで過ごす三年間の目指してほしい目標を示したいと思います。

 二〇二五年の大阪・関西万博のプロデューサーで「現代の魔法使い」とも称されるメディアアーティストの落合陽一さんは,その著書『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる 学ぶ人と育てる人のための教科書 』の中で,未来の予測がなかなかつかない社会で,大きく価値観が変わる“人生100年時代”といわれている現代に「社会で生き残り続けられるには」の問いに対して,「ずっと続けていられるような好きなことを仕事にすること」だと述べています。つまり高いモチベーションを維持しながら働ける人は,他の人にはないオリジナリティを発揮できるため,これからの社会で生き残り続けるという意味です。続けて彼は,好きなことを仕事にする以前に必要なのは,ストレスと感じずに「やりたいことをやる能力」であるとも述べています。

 皆さんはここ銅駝美工に入学したいと考えた第一の動機は,ものづくりが好きだから,絵を描くのが好きだから,それを思いっきり高校からやってみたいと思ったからではないでしょうか。好きなことを好きなだけできることは,高いモチベーションを保ちながら学び続けられるということです。だからこそ,本校を卒業した先輩方は,各方面で活躍をしているのだと思います。

 また,彼はこうも述べています。「誰かに教えてもらわなくても自分の頭で考えられることが,二十一世紀を生きる人たちには求められている」と。そのためには学び続ける力,考え続ける力が必要不可欠になります。この学校にいる間にやってみたいことに挑戦し続け,試行錯誤を繰り返してください。

 「観て」,「感じて」,「考えて」,「表現する」。美工での学びがこの言葉に集約されています。最後の「表現する」という言葉は作品作りだけを指し示しているわけではありません。言語や身体などによる表現活動も入っていることも忘れないでください。

 ただし皆さんにお願いしたいことがあります。好きなことはとことんやるが,興味関心のないものは全くやらないという生徒をよく見かけます。それでは思考するための基礎力や学ぶための方法論などが全く身に付きません。授業における教科学習や行事やクラブ活動などの特別活動における経験や学びも,しっかりと取り組んでください。その中で,今までに知らなかったことに出会い,知識や経験を得てください。

 結びに,皆さんは一人ひとりかけがえのない存在です。そしてかけがえのない生徒二七〇名がこの学校で学びます。学校は,自分とは異なる多様な他者を知るところ。多様な他者を発見するところです。かけがえのない自分とかけがえのない他者の,存在と自由を共に認め合う,高めあうことを学んでください。

 今,私たちはこれまで経験しなかったような社会状況の中にいます。人工頭脳AIが発達し,人間が時間をかけて考えなくても素早く答えが出せる時代でありながら,簡単に解決できない問題に直面しています。「学校とは何か,学校でできることは何か,学校でこそするべきことは何か」ということも問われています。私は子どもが学ぶ学校は「希望を創るところ」でありたいと考えています。今日から始まる銅駝美工での三年間,本校が「希望を創るところ」になるよう,皆さんとともに心を通わせ力を重ねていきたい,そのことを呼びかけ,式辞といたします。

 令和三年四月八日

        京都市立銅駝美術工芸高等学校長  名和野 新吾

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行事予定
4/29 昭和の日
5/1 新旧生徒会執行部各委員長研修会1日目(放課後)
5/2 大掃除、新旧生徒会執行部各委員長研修会2日目(放課後)、学校安全の日
5/3 憲法記念日
5/4 みどりの日
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