最新更新日:2024/04/27 | |
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10月2日 校長室ウェブログ 「秋の灯」
秋の灯
10月2日の京都の日の入りは午後5時40分。秋分を過ぎて日中の時間が短くなり、昏くなるのが早くなってきました。 今年の美工作品展は、「3年生展」が来週10日(木)から、「1・2年生展」がその1週間後17日(木)から始まります。3年生、2年生は専攻で制作した作品を展示しますが、美工作品展が近づいてくるこの時期は、最後の追い込みの時期。これまで専攻実習の時間で制作を進めてきましたが、前期末考査が終わった10月初めは、放課後の時間も実習室で制作をする生徒が多くいます。午後6時頃、グラウンドに出ると各専攻実習室の灯りが輝き、生徒の姿が見えます。日の入りの時間帯は、実習室の窓の灯りが校舎の昏さの中に輝き美しく映えます。グラウンドを取り囲むように建った趣のある本館、記念棟、実習棟。実習室の明るさが一際目立つこの風景は、毎年少し立ち止まってしまいます。「もう一年経ったなあ」「去年の美工作品展前もこんな風景だった」と思いながら、去年の生徒、去年にあった様々なことを回想します。 銅駝の教育活動は、専攻の実習だけではなく様々な学びがありますが、1年生の時「造形表現」という科目で8分野の実習をした後、3分野そして2分野と選択をし、いろいろ悩んで決めた1つの専攻。2年生になって、初めて学ぶ技法や画材・道具、難しい課題と向き合いながら力をつけて、秋の作品展に向けて作品を制作する。美術専門高校ならではのこの学びは、生徒を大きく成長させます。私は春から何度か実習室を回って、細切れではありますが、制作の様々な段階を観てきました。生徒の真剣でひたむきな眼差し、時には厳しいあるいは悩んでいる表情も観てきました。直接指導をする美術科の教員でなくても、約半年、生徒の日常の様子も含めて様々な場面を観たり聞いたりしてきたが故に、毎年、作品展の会場に展示される作品をとても楽しみにしています。 季語には「春の灯」「夏の灯」「秋の灯」「冬の灯」と四季それぞれの「灯」のつく言葉がありますが、「秋の灯」と言う季語は、日常のあるいはこれまでの月日の様々なことを思いながら、自己を振り返ったり、他者に思いをはせたり、どこか懐かしさやものごとの深みを感じる言葉です。 秋は透明感のある空気が満ちた清々しい季節。そんな季節に「美工作品展」を開催します。3年生・2年生の専攻実習の作品、1年生の「表現基礎」で取り組んだ作品も含めて、美工作品展に並ぶひとつひとつの作品に、生徒ひとりひとりの苦悩や葛藤、努力や挑戦の月日が内在している。学校の「秋の灯」を眼裏(まなうら)におきながら、じっくり鑑賞したいと思っています。 2019年10月2日 校長 吉田 功 |
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