最新更新日:2024/04/25 | |
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全国学力・学習状況調査の結果から(4)
全国学力・学習状況調査の結果から、最終回は理科を取り上げます。
《よくできたと言える設問》 ○炭酸水素ナトリウムとクエン酸を混ぜて加熱する実験の結果の解釈を,他者の考えを検討して選ぶ ……グラフの結果をもとに,設題中の「次郎さん」の誤った解釈を正すよう答えを選べました。 ○上空と地上の気温差による降水量の違いを調べる装置として適切なものを選ぶ ……上の2つとも,実験結果の解釈や,何かを確かめるための実験装置を選ぶことができており,理解してほしいことが,丸暗記ではなく,現象や実験を踏まえて理解できているようです。 ○ハゼ,フナ,ナマズのえらぶたの開閉回数が水温によってどのように変わるかを確かめる実験の結果の考察を書く ……さらに,実験結果からどんなことが言えるかを考察することもよくできていました。 ○実験の結果から,凸レンズによる実像ができるときの,像のできる位置や大きさについて適切な説明を選ぶ ○抵抗に加わる電圧と流れる電流から,抵抗の大きさを計算して求める ○音の波形を比較し,音の高さが高くなった根拠として正しいものを選ぶ ……光,電気,音といった物理現象の目に見えにくい事象についての基本的な理解が定着しており,計算の必要な内容についても何度も演習して身につけていることがわかります。 《よくできなかったと言える設問》 ・炭酸水素ナトリウムと硫酸ナトリウムの摂氏40度での溶解度の違いから,それぞれの試験管に溶かした物質を答える ……「溶解度」の意味をかんちがいして、溶けない量ととらえ,逆を答えた人が多かったようです。 ・天気図から風向を読み取り,その風向を示している風向計を選ぶ ・湿った空気が斜面に沿って上昇してできる雲について,それが出来たしくみを説明する ・内部の気圧が変化するさまざまな状態の飛行機と,それに見立てた小さな菓子袋を入れた瓶を用いた実験との対応関係を選んで答える ・露点の理解に基づいて,気温の変化から湿度が最も高い時刻を選ぶ ……風向は読み取れているがその風向のとき風向計がどう動くかが理解できていなかったり,空気を抜くことは気圧を下げることなのだと結びつけられていなかったり,「露点」が何を表す値なのかの理解が不十分だったりしました。「誤りのあるものを選ぶ」という指示の見逃しもあったようです。 ・消化酵素によってデンプンが最終的に分解された物質が何かを選ぶ ……全般に第2分野で,定着させるべき知識・理解がやや不十分なところがありました。1,2年生の内容の参考書・問題集なども用いて知識や理解を確かなものにしましょう。 ノーベル賞に結びつくような研究ができる専門的な教育も一つの理数教育ですが,一方,どんな道に進む人にとっても必要な理数教育があります。社会人として必要な科学的な知識・理解や,それらを使って考える習慣,科学的思考力を,中学校では身につけようとしています。 ゆでたてのパスタにできたてのトマトソースをからめて食べたい。先に火をつけるのはゆでるためのお湯のコンロ? トマトソースを作るオリーブオイルを加熱するフライパンのコンロ? 何度か失敗してから分かってももいいけれど,科学的に考えれば,こうにちがいないと予測できます。 今言う「学力」は、進学したときに高校や大学などでも役立つ「学び方」「解りたいという気持ち」も含んでいますし、社会人になってから仕事をするときの解り方ややり方にもつながっていくものです。こういう意味で、教員もさらに工夫し、生徒のみなさんも、きまった答えを手に入れるためだけに授業を受けるのではなく、調べたり、自分の考えをもち、まとめたり伝え合ったりする学習活動にもいっそう積極的に参加してほしいと思っています。 なお,全国学力・学習状況調査の問題用紙は,これを検索語としてパソコンなどで見ることができます(文部科学省ではなく、国立教育政策研究所のサイト内です)。 |
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