京都市立学校・幼稚園
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北にそびえる 鏡山   西に連なる東山 松のみどりに 包まれて 白くあかるく 照りはえる 希望あらたな 学び舎は 我らの 花山中学校

『東山を西に見て』〜Make legend〜

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「動か不ること山の如し」
「疾如風 徐如林 侵掠如火 不動如山」
 言わずと知れた、甲斐の戦国大名、武田真玄の軍旗に染め抜かれた文字です。(実は、「風林火山」という文言も、諸説があって事実であったかどうかは、分からないということらしいのですが…)
 今でも中学生の多くが、歴史の中でも戦国時代を好みます。ゲームの影響でしょうか、戦国大名の名前を多く知っている生徒も少なくありません。織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は人気のある武将のトップ3だと思いますが、その次くらいには武田信玄がランクインするのではないでしょうか。
 高校生の頃だったか、黒澤明氏が脚本を書き監督した「影武者」という映画を観ました。武田信玄が死んだ後しばらく、武田氏は信玄の死を他の大名に隠します。当時、どの武将も何人かの影武者をもっていたようですが、それが必要とされるのは戦場だけです。しかし、武田氏は徹底して信玄の死を隠すため、評定(ひょうじょう=会議)の場にも影武者を立たせ、側近中の側近しかそれが影武者であることを知らないという筋書きになっていました。信玄に瓜二つであるということだけで、突然城内や陣中の最も高い所へ座らされる羽目になった仲代達矢演じる罪人の男の心情が実に面白く表現されてもいました。 今でも、寝る時間を削ってでも映画を見るほど映画好きな私ですが、ロードショーの期間に2度観にいくことは滅多にありません。それが、両親にも勧めて観に行かせ、自分が2度目に行ったときにはカセットレコーダーを隠し持っていって音声を録音し、家でパンフレットを眺め映像を思い出しながら3時間分をもう一度聴いたほどのお気に入りの映画です。
 その映画の中に忘れられないワンシーンがあります。
 影武者が、評定の場で意見を求められます。それまでは、直接意見を求められることは一度もありませんでした。ただ威厳を見せてその場に座っているだけでよかったのです。側近の、彼を影であると知っている者が代わって答えることが常だったのです。ところが、その時は武田家の存亡をかけた重要な評定の場。戦(いくさ)に打って出るのか否かを決めなければならない場面です。彼を影だと知らない家臣が、殿様の直の声が聞きたいといきり立って返答を迫ります。影も側近たちも窮します。 −暫くの間− 
 やがて影がゆっくりと口を開きます。「山は動かんぞ!」
 さて、ここ何日か、深く考えさせられる悲しいニュースが相次いでいます。
 アルジェリアのテロ事件では、日本人が10人も犠牲になりました。被害にあった方々の家族や犠牲者を派遣していた会社の関係者の心中はいかばかりでしょうか。また、大阪市立桜宮高校の事件では、今も高校内外で、様々な立場の人がてんてこ舞いしていることでしょう。どうか、慌てふためいて正しい判断をし誤らないようにしてほしいです。
 自分のまわりに大きな問題が起こったり課題が山積していたりして、関係者全員が慌てたり不安に思ったりしているときには、決まって映画「影武者」のあのシーンを思い出します。「山は動かんぞ!」どっしり座って、近くから遠くへと先を見渡すようにします。
 

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