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最新更新日:2025/07/11 |
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校長室から(学校だより7月号より)
7月に入り、今学期も残すところ3週間となりました。子どもたちが楽しみにしている夏休みも目前に近づいてまいりました。
さて、私が小学生の頃、夏休みにはとにかく外が暗くなるまで遊びまわっていたことを覚えています。朝のラジオ体操から始まり、ザリガニやカエル等々の虫を採ったり、公園で野球をしたり、泳ぎに行ったり等々、本当に楽しかった思い出しかありません。それを考えると、今の子どもたちは長い夏休みを実際どのように過ごしているのでしょうか。 先月、6年生自然体験宿泊学習の引率で福井県若狭へ行きましたが、そこでこんな光景を見ました。ある子が海でカニを見つけたところ、それを聞きつけた子が多く集まり、一匹のカニをみんなでじっくり見ているのです。それはそれは真剣な様子でした。その後先生の「集合です、戻りなさ〜い!」という声に渋々戻っていったのですが、興味津々で目の輝いている子どもたちの姿を見ることができ、何かほっこりしました。 子どもが育つ上で大切にしなければならないことはたくさんありますが、その中でも特に重要なものとして、子どもの「好奇心」があるように思います。でも好奇心とはこちらが与えるものではなく、すべての子どもがすでに持っているものなのです。ですから私が宿泊学習で見た子どもの姿はごく普通の姿であって、それが本来の子どもの姿であるように思います。子どもというのは、まさに「好奇心のかたまり」といえます。そして好奇心があれば子どもというのは自然に学んでいく。しかし、この子どもの好奇心はなぜなくなってしまうのか。その一番の原因は我々大人たちの声掛けにあるのではないかと思うのです。 劇作家の平田オリザ氏は、先日次のようなお話をされていました。 「よく親が子どもに掛ける『勉強しなさい!』という言葉、この『勉強しなさい』という言葉を“毎日”繰り返し掛け続けるのは、時に逆効果になってしまうこともある。場合によっては子どもの好奇心を奪ってしまうことにもなる。子どもは好奇心さえあれば自分で学ぶんです。自分で伸びるんです。」 私たちがしなければならないことは何なのでしょうか。それは、子どもが本来持っている好奇心を育てていくことであり、『学びたい』と思う気持ちをしっかりと子ども自身の『学び』につなげていくことなのではないかと思います。あらためて「子どもとは好奇心があれば自ら学んでいくもの」ということをしっかりと理解し、子どもの好奇心を育くんでいくような声かけを、保護者と学校が一致してしていきたいものです。 時代が変わっていっても、子どもが持っている好奇心は今も昔も変わりせん。今年の夏休み、好奇心旺盛な子どもたちが夏休みを十分に満喫し、始業式には目を輝かせて登校してくるのを教職員一同迎えたいと思います。 校長 野村 昌孝 校長室から(学校だより6月号より)
突然ですが、私が中学校教員として数学を教えていたとき、よく次の質問を子どもたちに投げかけられました。「先生、何のために数学の勉強をせなあかんの?」確かに子どもたちにとって、到底生活では使わないと思われる方程式や関数、そして証明などは「学ぶ意味があるのだろうか」と思うのも当然なのかもしれません。またさらには「勉強は何のためにするの?」という質問をしてくる子もいました。そのような質問に対して「高校入試に必要だから!」といった、その場しのぎの無責任な答えをしたこともあったように思います。好奇心旺盛な子どもたちにとって、自分がしていることの目的がわからないまま行動することは、とても“しんどい”ことであるのは間違いありません。ですから、子どもたちが納得いくまで「これはね、●●のためにやるのですよ」としっかり伝えること、これは教員のみならず大人の責務であるように思います。
本校では「教育目標」ではなく「教育目的(何のために教育をするのか)」を定めています。本校の教育目的は『未来を創造し、たくましく生き抜く力の育成』であり、読んで字のごとく、「未来をたくましく生きる力をしっかりつけて社会に出ていってほしい」という強い願いが込められています。このように目的をはっきり示すことは、子どもが意欲的に、そして活力に満ちて行動する上でとても大切なことのように思います。「やらなければならないから仕方なしにやる」のはとても残念なことではないでしょうか。 数十年も昔のことですが、パナソニック創業者の松下幸之助が惰性的に電球を磨く仕事をしていていた社員に対して、次のように言ったそうです。『この電球はどこで光っているか知っているか?あんたが磨いたその電球で町の街灯に明かりがつく。その街灯のおかげでどうしても夜遅くに駅から家に帰らなあかん女の人、いつも怖い思いをして帰っていた女の人が安心して家に帰ることができる。子どもたちが絵本を読んでいると、外が暗くなって、家の中はもっと暗くなる。そうなれば、絵本を読むのを途中でやめなあかん。でもな、あんたが磨いている電球1個あるだけで、子どもたちは絵本を読むことを続けることができるんや。あんたは電球を磨いているんやないで。子どもたちの夢を磨いているんや。子どもたちの笑い声が聞こえてこんか?物作りはな、物を作ってはあかん。物の先にある笑顔を想像できんかったら、物を作ったらあかんのやで。子どもたちの夢のために、日本中、世界中にこの電球をともそうや。』 「何のためにこれをしなければならないのだろう?」と悶々としている子どもたちに、「あなたは●●のためにこれをしているのですよ」と、我々大人がはっきりその目的を伝え、子どもたちがそれを理解し、自分の意志でエネルギッシュに行動していく、そのような生き生きとする姿が見られるとしたらどんなに素晴らしいでしょうか。東山開睛館の子どもたちが、“未来をたくましく生きる力”をつけて巣立っていけるようこれからも励んでまいります。引き続き皆様方のご支援をどうぞよろしくお願いいたします。 校長 野村 昌孝 校長室から(学校だより5月号より)
5月に入り、新緑がとても美しい季節になりました。子どもたちは新たな学年、クラスにも徐々に慣れてきたように思います。4月8日の始業式では、新たな1年をこのように過ごしてほしいという願いを込めて、次のような話をいたしました。
『全校児童生徒のみなさん、進級おめでとう。では一体何が「おめでとう」なのでしょうか。何が「めでたい」のでしょうか。東山開睛館ができてこの4月で15年目を迎えます。ちょうど学校ができた年の1か月前、日本で大変な出来事がありました。2011年3月11日に起こった東日本大震災です。この地震では多くの人が亡くなっただけでなく、みなさんと同じような小、中学生、そして高校生合わせて500名もの人が命を落とし、楽しみにしていた新しい学年に進級することができませんでした。みなさんは、今、「生きて」います。「生きて」新しい学年を迎えられるということは、とても「おめでたい」ことなのです。そして「生きている」ということは「命がある」ということです。「命がある」ということはどういうことでしょうか。それは「自由に使える時間を持っている」ことといえます。どのくらいの時間があるのでしょうか。人の一生を1日24時間で表してみましょう。人の一生は80年から90年です。2年生は今7歳ですので、1日の時間で表すと午前2時6分になります。3年生は2時24分、4年生は…、9年生は午前4時12分となります。まだみんなが寝ている時間ですね。では田口先生は何時でしょうか。実は午前11時になります。校長先生はどうでしょうか。校長先生は、なんと、午後4時30分です。先生たちと比べるとみなさんは自由に使える時間がたくさんあります。この時間をどのように使うかをしっかり考えてほしいのです。「自分の得意なことに挑戦しよう」と思う人もいれば、「夢を実現するために努力する」という人もいるでしょう。また、「もっとしっかり勉強して世界の戦争をなくしたい」というような志を持っている人もいれば、「スポーツ選手になって人を勇気づけたい」と思う人、また「人の役に立つことをしたい」と思う人もいるでしょうし、「友達に優しくしたい」という人もいると思います。みなさんには与えられた時間を使って何かに挑戦してほしいのです。新しい2025年度、先生たちは色々なことに挑戦しようとするみなさんをしっかり応援していきたいと思います。一緒に頑張りましょう』 このような話をし、始業式を終えました。 こどもたちが、自分の『夢』や『志』に向かってしっかりと歩んでいけるように環境を整えること、これこそ我々大人の重要な役割です。『学校は勉強を教える以上に“人を創る”ところである。ダイヤモンドの原石として東山開睛館に入ってきた6歳の子どもを9年間かけてしっかりと磨き、卒業するときには光を放つ存在として社会に返していく』という信念を持ちつつ、教職員一丸となって教育活動に当たっていきたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 校長 野村 昌孝 校長室から![]() 年度当初にあたり『令和7年度学校教育目標』を以下にお示しいたします。 ■最高教育理念 「澄みゆく心」「かがやく志」の育成 ■校訓 克己 進取 礼節 ■教育目的 未来を創造し、たくましく生き抜く力の育成 ■めざす子ども像(卒業時) ・挑戦的に学ぶ姿の実現 ・卑怯を許さない姿の実現 ・つながりを喜びとする姿の実現 ■めざす学校像 ・人権文化にあふれ、一人一人が大切にされ、安心して自分らしく過ご すことができる学校 ・「社会で許されないことは学校でも許されない」という、社会規範に 照らした指導を実践する学校 ・義務教育学校のよさを最大限に活かし、豊かなつながりのあふれる 学校 ・課題意識と探究心を持ち、社会を生き抜く子どもを育てる学校 ・持続可能でウェルビーイングな社会を創造していくことのできる学校 ■めざす教職員像 ・教育者として崇高な使命感を持ち、社会的な責務を常に自覚した行動 がとれる教職員 ・自らの姿を通して子どもに生き方を教える、子どものモデルとなる 教職員 ・「めざす子ども像」の実現に向けて、自ら明確なビジョンを持ち、 主体的、協働的に学校経営に参画する教職員 ・学ぶ意欲にあふれ、常に自らの専門性の向上を目指して成長する 教職員 ・愛情と慈しみの心を持って子どもたちに接し、未来の人材を育成する という信念を持つ教職員 この春の人事異動で、新たに多くの教職員の方々に東山開睛館にお越しいただくことになりました。開校時から本校が大切にしているものを継続させながらも、地域に根差し社会に順応した新たな東山開睛館を創っていきたいと思います。 皆様のご支援とご協力をどうぞよろしくお願いいたします。 校長 野村 昌孝 |
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