京都市立学校・幼稚園
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4月25日(木)〜5月2日(火)は家庭訪問(1・7年)個人懇談(他の学年)です。よろしくお願いいたします。

学力観を変える

 今回の学習指導要領の改訂では,「読み・書き・計算」などの基礎的・基本的な知識・技能の習得や,言語力の育成,さらには知識・技能を活用する学習活動の充実による思考力・判断力・表現力の育成を強調しています。
 この間,学校等教育現場では,「習得」と「探究」をつなぐ「活用」の学習に関する授業改善が強調,クローズアップされてきました。
 注意すべきは,「習得」「活用」「探究」はそれぞれが個別に存在,もしくは一方向に進行するのではなく,相乗的に関わり合い,絡み合いながら学力を形成して行くものであるということ。また,思考力・判断力・表現力のベースとして,全ての教科・領域等での言語の能力の育成が鍵であり,バランスのとれた学力観を学校現場で共有する必要があります。
 図のように野球の練習を例にとって考えると,「習得」は素振りやキャッチボールといった基本練習に当たるといえます。このような練習ばかりでは面白くありません。その練習の成果をシートバッティングやシートノックで試してみる。これが「活用」に当たります。そしてさらに練習試合(「探究」)をすることで,自分自身の課題に気づき,今まで重要性を認識していなかった素振りの回数を自ら増やしてみようと考えるのです。
 このように,単に知識や技能を習得するだけでなく,それらを活用する場面をつくりながら智恵に深め,さらに自分が設定したテーマを追究しながら問題解決能力を育むこと。これが東山開睛館の教育に求められていると考えています。
 このような学力や,健康で逞しい体,そして豊かな心,すなわち「生きる力」を育むことが,OECDが必要と唱えるキーコンピテンシーや,内閣府の「人間力」,経済産業省の「社会人基礎力」の育成にもつながり,これらはいずれも,近未来の社会を生き抜くために必要な資質能力と考えています。これらの育成はキャリア教育の理念にも繋がっています。

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生活場面で活きる学力を育てる

 PISA調査はOECD(経済協力開発機構)が3年毎に,数学的リテラシー,読解力,科学的リテラシー,問題解決能力について義務教育修了段階の15歳児が持っている知識や技能を,実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかどうかを評価するものです。この調査では,思考プロセスの習得,概念の理解,及び様々な状況でそれらを生かす力を重視しています。
 2003年2006年の調査結果から,学力低下が大きく指摘されたことはよく知られています。2000年の時点で8位であった読解力において,2003年は14位,2006年は15位と下降線をたどっていることへの懸念です。
 このほかにOECDでは,成人を対象とした調査も実施していますがあまり知られていません。下のグラフは成人を対象とした「科学技術の基礎的概念理解度15か国地域共通10問平均正答率」です。調査対象の成人が学校で学んでいた段階では日本の理数教育の水準は世界のトップクラスにあったといわれています。しかしながら,それが日常生活における科学技術の理解度としては大変低いものであり,実社会で生きていないという点が指摘されているのです。
 まさしく「学びと生活のかい離」が問題であり,学習することの意義を見つけられていない子どもたちの姿が浮き彫りになります。

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いじめを考える

 以下のグラフは生徒指導研究センターの「生徒指導上の諸問題の推移とこれからの生徒指導」より転載したものです。
 全国的な調査の結果からは小6までが漸増し,中1で激増,その後漸減の傾向が見て取れます。
 一方でいじめられた時に「誰かに相談するか」との設問に対しては小学生と中学生において大きな差異がみられ,小→中→高と進むにつれ「相談する」という数値が大きく減少します。これは,自我の芽生えとも無関係ではなく,成長に伴い,否定され,場合によっては無視されるという行為が,当人にとっては自己の存在そのものに関わる重大な出来事になるといえます。
 また,「他人に相談するという行為そのものが情けなく恥ずかしい」「相談しても分かってもらえない」「相談することで余計にいじめがひどくなる」「家族に心配をかけたくない」といった考えを持つ生徒も少なくありません。 

 下のグラフからは,年度内の問題の解消について,加齢とともに解消率が減少するものの,中・高においても9割以上が「解消」もしくは「一定解消」していることが伺えます。
 「先生や保護者に相談してもどうせ解決しないから」「相談することで余計にいじめがひどくなる」といったあきらめから,相談する生徒が減少すると指摘する識者もいますが,この数値を見る限りそのような指摘は当たりません。
 もちろん,いじめをはじめとして,教職員個々が日常における人権の視点を踏まえた指導を行うことや,「卑怯を許さない風土」を学校や家庭,地域で築くことなど,日々の人権教育の取組は不可欠です。人を大切にするということは,他人だけでなく,自分をも大切にすることなのだということを,体感的に実感できる場面を意図的に組み入れていく必要もあります。

 東山開睛館では「いじめを許さない」という子どもたちの集団をめざすことはもちろんですが,
 ■小6から中1にかけての急激な増加をどこまで防げるのか
 ■いじめに遭っている子どもの相談率を如何にあげるか
 といった視点で検証していきたいと考えています。

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朝はまず脳を活性化

 説明会ではスパイラル・タイムの取組で,脳の活性化を図るというお話しいたしました。
 毎日朝一番に行うこの学習は,最近脳科学で取り上げられることの多いセロトニン神経にも関係しています。セロトニン神経はドーパミン神経とノルアドレナリン神経の二つの神経に抑制をかけているといわれており,有田秀穂氏(東邦大学医学部生理学教授)によるとセロトニン神経がはたらくことで不安や舞い上がるといった状況から平常心をもつ状態(中庸の心と表現されています)をつくるとされています。
 このセロトニンは一定時間のリズムのある運動(歩行や呼吸法,水泳,リズム体操,チューインガムを噛むこと等)により鍛えられます。
 このような観点から毎朝の15分間で,カスタネットやタンバリンを用い,リズムをとりながら音読や暗唱などの学習を進めることは,朝一番に行う学習としては理にかなっていると考えています。

子どもを取り巻く環境の変化

 子どもたちを取り巻く環境は大きく変化しています。
  ◆核家族化…お年寄りがいないので昔の知恵が伝わらない!
  ◆少子高齢化…兄弟が少なく家庭での切磋琢磨がない!
  ◆使い捨て社会…ものを大切にする必要がない!
  ◆不審者の増加…外で遊べない!
  ◆ビジュアル機器…思い通り遊べて友達がいらない!
  ◆飽食の時代…好きな時に好きなものを。我慢がいらない!
  ◆メールの流行…メールを打てば会話がいらない!
  ◆雇用状況の変化…未来に夢や希望がもちにくい!
 このような生活環境の変化は社会全体の問題であり,決して学校教育でのみ対応していけるものではありません。
 子どもたちの身体的なアンバランスや精神的な未成熟,コミュニケーション能力の未発達も決してこれらのことと無縁ではなく,それらが学校という集団生活の場で様々な問題として表出していると考える必要があります。
 学校が社会の変化に伴い,子どもたちが失いつつあるものを補完するという考え方では立ち行かず,家庭・地域をあげて取組を進めながら,地域社会全体で教育に関わるという風土を,学校が核となってつくり上げていく必要があります。

生き方探究教育を推進

●就職率の好転とニート
 子どもたちの社会的自立を図ることは学校教育の目的でもあります。高校生や大学生の就職率を見ますと(図1),リーマンショックまでの数年は改善が続き高い水準で推移してきました。
 しかしながら図2からは,就職率に見られる雇用の好転が15〜24才のフリーターの減少には好影響を及ぼしているものの,25〜34才のフリーターにはほとんど影響していないなど,深刻な状況は依然として存在しています。
 ニート(15〜34才で,非労働力人口のうち,家事も通学もしていない者)に関しても,年齢が上がるに従い固定化される傾向が顕著に見られます。

●中・高・大は「7・5・3」
 「7・5・3」という数字が何を意味しているかお分かりでしょうか。
 これは早期離職者の割合を中卒,高卒,大卒の順に並べたものです。ここでいう早期離職者とは卒業後3年以内にその仕事を辞める若者のことです。平成17年度卒の就職者で見ると,中卒の66.7%,高卒の47.9%,大卒の35.9%がそれに当たります。さらに中卒では,約2人に1人の割合で一年以内に離職しています。
 これらの問題は単に産業構造の問題としてだけではなく,教育の問題として見ていくことが必要です。京都市では生き方探究教育(キャリア教育)の中で自立と共生の視点から,「人間関係形成能力」「社会参画能力」「情報収集活用能力」「自己決定力」「将来設計能力」という5つの能力の育成を提唱しています。
 開睛において展開する教育活動は,これら諸能力の育成を視野に入れたものとなっています。


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国際理解は日本理解から

 拓殖大学の国際学部教授の呉善花(O Son Fa)氏の「日本の曖昧力」(PHP新書)に日本語の「受け身」の多用について大変興味深いことが書かれています。
 「迷惑受け身」といわれるもので日本語独特の表現であるというのです。「泥棒に入られた」「女房に逃げられた」というような言葉づかいであり,他言語では表現が難しいのです。多くの言語では「泥棒が入った」となるわけで,この違いは「責任は私にもあるという発想」が日本語の根源にあるとされています。
 さらに,同じ「れる」「られる」という表現は,尊敬・可能・自発といった使い方でも同様に用いられ,集約するとすべて自発から派生し,もともと自分を超えた存在や力によって起きることをあらわす意味として使われるということです。この超越的な「神」に通じる感性は,四季に恵まれるなどの気候や,島国であるという地理的条件等により,長い歳月をかけて育まれた日本の精神的風土に拠るとされています。
 このように,私たちが当たり前のように使っている言葉ひとつをとっても,世界の様々な方々とコミュニケーションを図る上で,必ずしも伝えたい事柄がストレートには伝わらないということを理解しておく必要があります。
 他国の言語や文化を理解するということは,裏を返せば,まず我国のそれらを理解しておく必要があるということではないでしょうか。
 開睛英語では,「コミュニケーションのツールとしての言語」という視点を大切にし,同時に確かな国語力を育みながら,これからの社会に通じる人間関係力を養いたいと考えています。

体感的に心に響く活動を!

 東山開睛館では道徳の時間を核としながら,活動場面や様々な体験を通して,感性や道徳的実践力を育てていくことが最も重要であると考えています。  
 「いじめ問題」や「青少年の自殺」等の問題が起こるたびに,「学校でもっと人や命を大切にすることを教える必要がある」というような指摘がされます。
 「いじめはいけない」「命を大切にしよう」と何千回何万回唱えようと,即座に解決できる問題でないことを私たちは知っています。むしろ,様々な体験や経験を通して体験的,体感的に受容した感覚が,様々の機会を通して育まれた人権意識や生命尊重の精神とあいまって,はじめて行動化するのだと考えています。そのためにも,様々な人々と交わりながら,豊かな体験等,活動場面を工夫していきたいと思います。ぜひ多方面からご支援ご協力をいただきますようお願い致します。

早寝早起きはやっぱり大切

 子どもが「学校に行きたがらない」ということに対して,「学校ではお友達とうまくいっているでしょうか」「担任との相性は大丈夫でしょうか」というように心配され,相談される保護者が多くおられます。
 また,教師からは「一時間目など,目がトロンとして学習に集中できていない子どもが心配」という声も増えているように思います。
ここで,学校へ行き渋る原因と思われる事柄の一つである低体温の問題をご紹介します。

 早稲田大学の前橋明教授による1998年の5才児を対象とした調査によると,低体温の子どもが増えており,14.4%の子どもが低体温児であるとの結果が報告されています。
一方「学校に行きたくない」という子どもの割合を見ると
 ■標準体温群の子どもでは,18.8%
 ■低体温群の子どもでは33.3%
というように明らかな差がみられ,低体温の子どもに学校への行き渋りの傾向が顕著に現われていると考えられます。
 この原因の一つには,就寝時刻の遅いことがあげられており,睡眠時間が不足していることから,朝,脳は覚醒しているが体温が上がらず,活動に向かいにくい状態にあるという説明がされています。
 このように,学校に行きたがらない子どもや,学習意欲の低い子どもの問題を,単に心の問題としてのみ捉えるのではなく,低体温というからだの状態から捉えることも大切です。

 テレビやビデオ,テレビゲーム等の深夜に及ぶ視聴や,携帯でのメールのやり取りによる睡眠時間の減少等,家庭での生活習慣が学校生活にいかに大きな影響を与えているかがわかります。
 昔から言われている早寝早起きは,このような点からもしっかりと習慣づけたいものです。ご家庭でも,一度お子たちの就寝時刻等をご確認いただき,健全な成長に必要な生活のリズムがつくれますようご指導よろしくお願い致します。

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学校行事
4/1 初登校 開校式練習(新2〜9年生,転入生は除く)
4/4 開校式リハーサル
4/5 開校式
4/6 始業式(新1年生と7年生をのぞく)  教科書配布等
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