京都市立学校・幼稚園
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4月25日(木)〜5月2日(火)は家庭訪問(1・7年)個人懇談(他の学年)です。よろしくお願いいたします。

卒業式  式辞

 今日は第一回目の卒業式にあたり、次のような式辞を述べさせていただきましたのでご披露いたします。

式  辞
 
 厳しい寒さも日々暖かな日差しとともに緩み、東山の峰峰にそよぐ木々も若葉を蓄えながら一気に花開かんとするその時を、ただひたすらに息を潜めて待ち続けています。本日、多数のご来賓の方々、保護者の皆様方にご臨席を賜り、東山開睛館第一回目の卒業式がかくも盛大に開催できましたこと、心より感謝致しますとともに、心よりお慶び申し上げます。

 ただ今、八十九名に卒業証書を授与しました。卒業生番号第一号からの正に本校の歴史にはじめて名を刻む皆様方であります。本当にご卒業おめでとうございます。

 振り返れば、皆さまは今をさかのぼる九年前の平成十五年の四月に、有済・粟田・新道・六原・清水・そして貞教・修道が統合したての東山小の各小学校に入学されました。やがて有済・粟田の二つの小学校は白川小学校となり、さらに進まれた洛東・弥栄の各中学校からこの東山開睛館へと進まれ、再度にわたる校名の変更を経験して来られました。
 そのような稀有な経験をされた皆様が、これからおそらく二十二世紀まで世紀をまたいで引きつがれるであろう、この東山開睛館の栄えある初代卒業生となられたことは、誠にもって慶賀の至りに存じ上げます。
皆様はわが校が責任を持って世に送り出す第一期生であり、その栄えある皆様方に次の三つの言葉を贈りたいと存じます。

一つ目は「誇りを持て」であります。
 誇りは英語ではプライドとなります。「あの人はプライドが高い」と言いますと、かならずしもよい意味ではありません。けれどあのひとは誇り高いというとマイナスのイメージは消えてしまいます。ですから必ずしも誇りとプライドは同義ではないのかもしれません。
 先の震災において、海外メディアが報じた幾多の美談は、昔に我が国を訪れた多くの外国人が綴る紀行文に見られる美談にも通じます。幕末の頃、ある旅籠に宿泊した外国人は、貴重品を預けようと宿の主人に、鍵のかかるところに預かってほしいと伝えたところ、「そんなものはありません」とお盆に載せて棚の上にあげたので、心配で仕方なかったけれど一週間程して出してもらうと、すべてが預けた時のままであった。自分の国ではあり得ない。なんという国民性だろうかと驚きをもって述べています。
世界では震災後に多くみられる治安の悪さも、この国においては国民が整然と列をなしてコンビニやガソリンスタンドに並ぶ姿をもって打ち消され、今もなお、麗しい我が国の姿が連綿と続いているのです。私たち日本人や日本に暮らす人々が、この国の良さにもっと胸を張ってよいのではないでしょうか。

 皆さんの東山開睛館の第一期生としての誇りはいかがでしょうか。わずか一年の学校生活だったかもしれません。されど一年です。皆さんが示した姿に感銘を受けたものは少なくないのです。その一人が私かもしれません。あの組体操で見せた団結力。中学生でここまでできるかといわしめたポスターセッション。小学生のとりわけ低学年の子どもたちに優しい笑顔で接してくれたみなさんの姿は、私自身生涯忘れるものではありません。本当にありがとうございました。
どうかこれからの人生、自分に、そして家族に、学校に、生まれ故郷東山に、そしてこの国に「誇り」を持って生きていただきたい。それが一つ目の願いです。

二つ目は「信念を貫け」であります。
 他者に妥協することなく「名誉」や「誇り」といったものを重視した「気高さ」が感じられるような生き方をしていただきたいと思います。信念と呼べるものを未だ持ち得ていない方は、時間をかけて自らの信ずるところを明らかにしてください。
 信念を貫く前に、あなた自身が周りから認められる存在とならなくてはなりません。自分を律すること、人に対してやさしくふるまうといった、日常の姿があってこそ、あなたは信念のもと生きることができます。「信念は人を強くする」フレデリック・ロバートソンという牧師の言葉です。
 皆さんが尊敬する人は誰でしょうか。答えは様々でしょうが、それがだれであれ、おそらく共通項は「信念を持つ人」に違いありません。皆さんは知らず知らずのうちに「自ら信じるところを貫こうとする姿を尊い」と感じていると思います。信念の人になっていただきたい。これが二つ目の願いです。

三つ目は「たくましく生きよ」であります。
 この言葉は、昨年本校を訪問された宮城県石巻市立雄勝中学校の校長先生が震災後に生徒に送られた言葉です。
 逞しく生きるとはどういうことでしょうか。「逞しい」には様々な意味がありますが、わたくしは「 意志を強くもち、多少のことではくじけない生き方。」だと思います。すなわち「誇りを持って信念を貫く」生き方そのものが逞しく生きるということではないでしょうか。
 また、震災を経験された方の言葉として、さらに深く尊いものを感じます。生死を分ける体験を通して発せられる「逞しく生きよ」とは、正しく動物としての生存本能をフル稼働してでも生き抜いてほしいという、動物的な力までも包含していると考えるのです。
 皆様はこれから社会の荒波に向かって船出されます。大きな波をかぶることもあるでしょう。しかし九年間の義務教育で培った力を総動員し、それを越えていかなければなりません。
 現在の社会は、雇用の問題、環境悪化の問題、一人一人にかかわる人権の問題など、多くの課題を抱えています。東山開睛館が世に送り出す皆様は、船出され向かわれる道はそれぞれ違えども、行く先々で大きな力を発揮される方々ばかりです。
スマップの曲に、花屋の店先に並んだ色とりどりの花を人に見立て「ナンバーワンにならなくてもいい、みんなオンリーワンだ。」という歌詞がありました。花屋に並ぶ花はすでに栽培農園でセレクトされた選ばれた花であります。すなわち、オンリーワンの良さは、ある一定の水準を満たさなければ発揮できないのではないでしょうか。皆さんにはオンリーワンと同時にベストワンもめざしていただきたい。競争社会に果敢に挑んでいただきたいと思います。
 誇り・信念・たくましさ この三つの言葉をはなむけにいたします。頑張ってください。

 さて、子どもたちの晴れ姿に感慨ひとしおの保護者の皆様、長くもあり短くもあった九年間の義務教育を終えられ、今日を迎えられましたこと、誠におめでとうございます。こころよりお祝い申し上げます。義務教育を終えられましても、まだまだ未熟な若者であります。これからもなお一層、親子のコミュニケーション、心の絆を大切にされ、子どもたちを温かく支えてくださいますようお願いいたします。 

 結びになりましたが、ご来賓の皆様方には、公私ともご多忙の中、多数ご臨席を賜わり、誠にありがとうございます。子どもたちが逞しく巣立っていくことができますのも、皆様方がそれぞれのお立場からご支援くださいました賜と、心より感謝申し上げます。これからも地域で生きていく卒業生を、地域の、そしてみなの宝と思い、今後とも温かく見守り、励ましていただきますようよろしくお願い申し上げます。
 
 卒業生の皆さん。卒業は新しい旅立ちです。皆さんの大いなる前途を祝して、式辞といたします。
  
        平成二十四年三月十五日        
              東山開睛館 校長  初田 幸隆

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