最新更新日:2024/04/26 | |
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はたらいて生き抜く人間に!「7・5・3」という言い方で表現されるのですが中卒生,高卒生,大卒生の就職して3年以内の早期離職率が,それぞれ7割,5割,3割という驚異的な数字であるとしています。 下のグラフは早期離職した理由を尋ねたものですが,「仕事の内容が自分に合わない」「人間関係がうまくいかない」という回答が圧倒的に多くなっています。 一方,NEETといわれる若者(職につかず、学ばず、職業訓練も受けていない状態)への聞き取りを行うと,「自分が何に向いているのかわからない」「社会が自分の良さに気付いてくれない」などの悩みや不満が出てきます。 これらのことを考えると,義務教育段階での,より質の高い進路指導が必要であると考えます。特に「自分をしっかり見つめる」「学ぶこととはたらくことをつなげて考えられる」等の具体的なスキルを身につけさせると共に,しっかりとした勤労観や職業観をはぐくみ,自分で自分の人生を切り拓いていく逞しさや,人のために役立とうとする高い志を育むことが大切であると考えます。 スクール・コミュニティを目指して
従来、学校に子どもを任せるまでは家庭の責任。学校に子どもを預けたら学校に任せる。そして子どもたちは学校を卒業したら地域に出ていくものだ。というような時間軸を中心にした考え方があるように思います。(下左図のイメージ)
けれど今を生きる子どもたちは、まさしく今学校で学び、今家庭でしつけられ、今地域で支えられる、という同時に3者の影響を受けながら育っています。(下右図のイメージ) ぜひ東山開睛館という学校社会に参画していただきながら、保護者や地域の皆様方と共に、子どもたちの可能性を最大限伸ばしきる教育を展開してまいりたいと考えています。 家庭、地域、学校の大人全てに共通する願いは,「わが子を」「地域の子ども」そして「お預かりする子どもたち」のそれぞれの良さを最大限に伸ばし,これからの人生を幸せに歩み、人のために働ける人間として育てたいという一点にあります。 その共通の願いを達成するためにも、それぞれにかけがえのない子どもたちを,暖かく,そして時には厳しく導きながら,なにより子どもたち自身が誇りや志をもち,社会を生き抜いていける力を蓄えることのできる学校にしてまいりたいと考えます。 やればできるという自信
「勉強に対する意欲をどのようにして高めるのか」ということは教師や保護者に共通する関心事です。「教師や保護者のやらせたいことを頑張らせる」にはそれなりの手腕が必要でしょうが,何ごとにでも頑張って取り組もうとする意欲そのものは個々の子どもたちのこれまでの経験や,その上に立つ「生き様」そのものに大きく関わっているのだと思います。
私は頑張る子どもを育てたいと願っています。頑張る子どもは頑張りが心地よさとして自分に返ることを知っている子どもです。その前提として「やればできる」という自信,さらには「人のために役立つことは嬉しい」という実感が必要であり,自己肯定感や自尊感情を育てることが何よりも大切だと思います。 このような実感を毎日の授業で味わわせることができれば,東山開睛館の子どもたちは間違いなく頑張る子どもに成長してくれます。 ご家庭でも子どもが子どもなりに努力した場面を適切に評価して,頑張ることの心地よさを味わわせていただければと思います。 育てようとする学力
これまでの学校は,子どもたちが社会に出て必要となる知識や技能を,一定の水準で保障するという役割を担っていました。けれども,これからの社会では、これらの知識や技能に加え,高度情報化社会といわれる様々な情報が氾濫する中、課題の解決に向けてそれらの情報を取捨選択し、課題解決に向けて判断する力や、相手に的確に様々な方法を用いて伝え表現する力が必要となります。いわゆる課題解決力と呼ばれる力です。
また、人生のそれぞれの段階で必要となる課題解決に向けたスキル等を,絶えず学び続けようとする意欲や態度が問われています。 生涯にわたり学び続けようとする力ともいえます。このような学力を子どもたち一人一人に身につけさせる教育を行ってまいりたいと考えています。 子どもたちの身体は…
上のグラフは1965年と1997年の背筋力指数を表しています。古いデータしかないのは1998年より学校では背筋力調査を実施していないためです。これは,調査により腰痛を訴える児童生徒が激増したため調査項目から外れたことによります。
子どもを抱くときに必要な指数は1.5,老人介護に必要な指数は2.0と言われています。1997年の時点で男女とも半数がこの指数を下回っています。すなわち腰痛予備軍であるわけです。 岐阜県中津川市立西幼稚園では5才時から廊下の四つん這いによる拭き掃除を取り入れ,改善を図っています。 活動的な遊びで一日の大半を過ごしていた時代と異なり,家庭や学校での遊びや過ごし方の中で,工夫ある取組が求められているのです。 体位血圧反射法は、仰向けに寝た状態からいきなり上半身を起こし,2分後の血圧の回復状況で良・不良を判定する調査法です。1956年の東大猪飼教授の調査では,6才児の不良が5割近くいたのですが,19才では1割近くにまで減少し,加齢によって改善すると考えられていました。 ところが今回の調査では,加齢により益々調整不良が増えるという実態が憂慮されています。子どもたちの身体の状態は大きく変化しています。まず逞しい体づくりに取り組まなければなりません。 今の子どもたちは外で遊びたくても遊ぶ場所がない,あったとしても不審者のことが心配で,保護者も遊ばせられない。ますます家の中でのテレビ,ビデオの視聴やテレビゲームに走ってしまうという悪循環の中にいます。 身体を使った遊びの中で育まれるべき身体の諸能力が,このような環境下では育ちきらないのも当然といえます。 家庭と共に,また地域をあげての取組として何ができるのか。開睛での取組を共に考えてまいりたいと考えます。 市民性を育む
上表は大卒と大学院卒に企業が求める要件です。よく「学校は企業が求める人材を育てる場ではない」というような意見をお聞きすることがあります。理由として「子どもたちは必ずしも企業に行くとは限らない」とか「企業にはめようとすること自体が教育的でない」といわれます。
それでは企業が求める人材と私たちが学校教育で育てたい姿には大きなずれがあるのでしょうか。第一位にある「熱意」二位の「行動力」をはじめ,全人格的な形成を求める教育の方向と齟齬はなく,むしろ学校現場での課題と一致しているといえます。 教育現場では,企業というものを、ややもすると「利潤を追求し過酷な労働を強いる悪」と捉えるきらいがあります。けれども多くの企業には崇高な経営理念があり,社会に対しての貢献を社是として挙げられるところもたくさんあり,これら企業のCSR(社会貢献)活動を活用し始めている学校も少なくありません。 東山開睛館では,国民の一員として権利の主張だけでなく義務を果たそうとする。「私」と「公」を区別し,社会の仕組みの中で人の役に立つ生き方ができる。などの「市民性」を育てるために,教科書だけでなく,体験的な活動を取り入れた教育活動を,企業を含めた様々な社会のしくみと手を携えながらすすめてまいります。 「礼」の仕方にもこだわりを
ある高等専修学校の先生から次のようなお話しを伺ったことがあります。
「うちの学校は他の高校に入れなかった子どもたちが多く集まってきます。多くの生徒は卒業後就職をするのですが就職率については胸を張れる数字です。『どうしておたくの学校は就職率が高いの』とよく尋ねられるのですが,徹底して指導をしているのは挨拶と礼の仕方です。会社の人事の方とお話をする中で『面接時の態度がおたくの生徒さんはズバ抜けて素晴らしい。あいさつがきちんとできる人間は当方としても信頼できますし,そのような生徒を育てているおたくの学校も信用しています。』とおっしゃいます。挨拶と礼をきちんとすることがわが校の伝統になってきました。」 何と幸せな子どもたちではありませんか。挨拶と礼を徹底して指導していただいたおかげで就職ができ社会自立できるのです。 「人は見かけで判断してはいけません。」とよく言います。その通りだと思います。しかし初対面において,人は99パーセント見かけで判断されるのです。そのことを子どもたちに教える必要があります。 中身も大事だが見かけも大切。それで救われる子どももいるということを忘れずに日々取り組んでいきたいものです。なにより挨拶や礼の大切さのわかる子どもたちを保護者,地域の皆様と共に育てていきたいと思います。 学力観を変える
今回の学習指導要領の改訂では,「読み・書き・計算」などの基礎的・基本的な知識・技能の習得や,言語力の育成,さらには知識・技能を活用する学習活動の充実による思考力・判断力・表現力の育成を強調しています。
この間,学校等教育現場では,「習得」と「探究」をつなぐ「活用」の学習に関する授業改善が強調,クローズアップされてきました。 注意すべきは,「習得」「活用」「探究」はそれぞれが個別に存在,もしくは一方向に進行するのではなく,相乗的に関わり合い,絡み合いながら学力を形成して行くものであるということ。また,思考力・判断力・表現力のベースとして,全ての教科・領域等での言語の能力の育成が鍵であり,バランスのとれた学力観を学校現場で共有する必要があります。 図のように野球の練習を例にとって考えると,「習得」は素振りやキャッチボールといった基本練習に当たるといえます。このような練習ばかりでは面白くありません。その練習の成果をシートバッティングやシートノックで試してみる。これが「活用」に当たります。そしてさらに練習試合(「探究」)をすることで,自分自身の課題に気づき,今まで重要性を認識していなかった素振りの回数を自ら増やしてみようと考えるのです。 このように,単に知識や技能を習得するだけでなく,それらを活用する場面をつくりながら智恵に深め,さらに自分が設定したテーマを追究しながら問題解決能力を育むこと。これが東山開睛館の教育に求められていると考えています。 このような学力や,健康で逞しい体,そして豊かな心,すなわち「生きる力」を育むことが,OECDが必要と唱えるキーコンピテンシーや,内閣府の「人間力」,経済産業省の「社会人基礎力」の育成にもつながり,これらはいずれも,近未来の社会を生き抜くために必要な資質能力と考えています。これらの育成はキャリア教育の理念にも繋がっています。 子どものキャリア発達を支援
学校や家庭という社会で,人のために役立つ(はたを楽にする)こと,すなわち「はたらく」ことについての資質や能力の育成が,勤労観や職業観の育成,さらには将来展望の拡大へとつながります。
保護者の方が家で「○○のお手伝いができるようになってほしい」という願いをもたれ,子ども自身が学校で「仲間のために○○ができるようになったよ」という自信をもったとします。教員はこれらの願いや思いをつなぎながら,子どもへの働きかけを行う。そんな連携を続けながら,単に学力という視点だけでなく,いわゆるキャリア発達を保護者とともに支援できる体制で臨みたいと考えています。 具体的には一人一人の学びや育ちの記録をポートフォリオ(情報を収めたファイル)にまとめ,9年間をつなぎたいと考えています。また,成長の様子を本人・保護者・教員で共有できるように工夫してまいりますのでご協力よろしくお願いします。 生活場面で活きる学力を育てる
PISA調査はOECD(経済協力開発機構)が3年毎に,数学的リテラシー,読解力,科学的リテラシー,問題解決能力について義務教育修了段階の15歳児が持っている知識や技能を,実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかどうかを評価するものです。この調査では,思考プロセスの習得,概念の理解,及び様々な状況でそれらを生かす力を重視しています。
2003年2006年の調査結果から,学力低下が大きく指摘されたことはよく知られています。2000年の時点で8位であった読解力において,2003年は14位,2006年は15位と下降線をたどっていることへの懸念です。 このほかにOECDでは,成人を対象とした調査も実施していますがあまり知られていません。下のグラフは成人を対象とした「科学技術の基礎的概念理解度15か国地域共通10問平均正答率」です。調査対象の成人が学校で学んでいた段階では日本の理数教育の水準は世界のトップクラスにあったといわれています。しかしながら,それが日常生活における科学技術の理解度としては大変低いものであり,実社会で生きていないという点が指摘されているのです。 まさしく「学びと生活のかい離」が問題であり,学習することの意義を見つけられていない子どもたちの姿が浮き彫りになります。 |
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